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俺、期待される
しおりを挟む晩餐会は思ったより苦痛ではなかった。何故なら…ゆう君がマシンガントークしてたから。俺は空気となれた。
日本で食べた事のないフルコース。味だけでなく、見た目でも楽しませてくれる。素晴らしい盛り付け!! 黙々と出される食事を楽しむ事に集中する。だって国王様も王子様も、俺に質問なんてしてこないし。俺も聞きたい事なんて無い。むしろ関わりたくない。
ってか、俺、王子様って攻略対象者かな?とか思ってたけど…どう考えても年齢が低すぎる…。まだ子供じゃないか。美少年だけど。一体このゲームの攻略対象者は誰なんだ?宰相のシヴァさん、あとミストさんって人でしょ?ハーレムって事は他にも何人かいるはずなんだけど…。恋愛シミュレーションゲームはあんまり得意じゃないからなー。
話に花が咲き楽しそうなゆう君をチラッと見る。また攻略対象者の名前呟かないかなー。まぁそんな上手い話ないか。気付けば晩餐会は終わり、部屋に戻りベッドに大の字て寝転がる。おなかいっぱい…幸せだわー。寝て起きたら、夢でしたなんてオチないかな…。今日はもう疲れました。おやすみなさい。
▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣
おはようございます。朝です。昨日の出来事は夢ではありませんでした。何故ならば俺の上には今、王子様が乗っているからでず。そして叫ばなかった俺は偉いと思います。全く重くなかったんですけど…いつからそこに?
「…」
「おはようございます?」
一応朝の基本的な挨拶をしてみた。ここ俺の部屋で合ってるよね?夢遊病で王子様の部屋に迷い込んだとかないよね?牢獄は嫌!!
「おっ、おはようございます」
顔を真っ赤に染め、挨拶をしてくれる王子様。何故、俺の上に乗っかっているのか非常に気になるが…あえてスルーする。知らない方が幸せな事もあるからね。
しっかし可愛いなー。目の保養だ。ピコピコと動く耳が可愛いさを更に引き立てている。短く揃えたプラチナブロンドの髪に、澄んだ海の様な瞳。これまたThe王子様ですね。眩しいですわ。
「王子様、俺に何か…?」
言いにくそうに下を向く王子様。顔が曇っている…なんだ?!
「名前…」
えっ?名前…そーいや知らない…。ヤバイ!!人としての基本中の基本じゃないか!!不敬罪にしないで!!俺のゲームに関わりたくない気持ちが無意識に出ているのか、全く人の名前を聞こうと思わないし、覚えたいとも思わない。
「すみません…何とお呼びすれば…」
王子様のご機嫌を伺うように恐る恐る質問をする。
「エレと…エレと呼んで欲しい」
「エレ様ですね。で、何故ここに?」
美形だけど、子供相手だと流暢に話せるわ。
「ッ…エレと…呼び捨てがいぃ…」
えっ?えぇ──────?!何その可愛いお願い!!まっ、まさか…ショタもショタっ子も攻略対象者なのか?!そうなのか?!どうなんだ?!ゲーム設定どないなっとんねーん!!思わずツッコミを入れてしまった…。
恐ろしい…フラグは立ってないだろうな…。
「すみません。王子様を呼び捨てには…」
「…」
沈黙…。目に見えない何かに押してぶされそうな圧迫感…さすが小さくても王子様ですね…。そっ、そうですよね!!子供のお願いを無下にする奴なんかダメですよね!!
「エレ…」
「はっ!!なんだ?!」
笑顔に花が咲くとはこうゆう事を言うんだろうなー。可愛いわー。何この可愛い生き物。ショタもいいんじゃない?と思い始めてる自分が怖いわ。
「それで…ご要件は…?」
「カーラが…イシスの傷を癒したときいた…お願いがある…」
いきなりの呼び捨てに驚いたが、エレの話に更に驚いた。なんと、エレのお母様つまりは正妃様はご病気で床に伏せているらしい。一年前から徐々に体調を崩し、3ヶ月前には歩けない程に…そして今は…。イシスさんの話を聞き、藁にもすがる思いだったと。だから召喚の儀に参加出来なかったのね。
んー。正妃様でしょ?お決まりのやつじゃないのかな…?誰かが亡き者にしようと思って毒盛ってるとかさ。だってゲームだろ?在り来りな展開だと思うんだけど…。
「エレ、お母様の部屋に案内してくれるかな?」
勿論!!護衛の二人もご一緒にね!!正妃様に俺が何かしたと思われたら、牢獄どころか首と胴体がおさらばしてしまう!!
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