神子召喚に巻き込まれた俺はイベントクラッシャーでした

えの

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俺、ピンチです

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「しかし…」


言い淀むシヴァさん。確かに二人も居たら、どっちが神子様が迷うよね。ここは!!部外者である俺が助け舟を出さなくては!!


「あ、あ、あ、あの…俺は…部外者でして…その…帰る事は…」


盛大に吃る…挙句に途中で途切れるし…無理でした。ごめんなさい。チキンな俺には大勢に注目されながら話すなんて無理ゲーです。でも部外者ですとは伝えたから!!


「すみません…実は、召喚もやっとの事で…」


はい、お決まりですね。つまり、日本に帰す事は無理なんですね?はぁ…悲しい…。帰りたい…。はぁ…もう一度、遠慮がちにため息をつく。だって盛大にため息ついて睨まれたら嫌だし。神子様じゃないくせいに生意気な!!とか思われたくないし。なんせ巻き込まれた脇役だから。


しかし、ため息をついたあと、周りからほぅ…っと息を吐く声が重なって聞こえた。周りをチラリと、伺うと皆が目を細め俺を見ている。えっ?何?!不敬罪とかのフラグ立ってないよね?!


「とっ、とにかく場所を変えましょう。ここではなんですから…」


焦った様子で急かすシヴァさん。俺ですか?俺が帰れるのか聞いたから、場の雰囲気が壊れたんですか?!召喚成功だー!との喜びから一転、帰りたいって言う空気読めない奴がおるぞと…ヤバ…



「早く行きましょうよ!!」



他のキャラにも会いたい!!と飛び抜け明るい声で高校生君が叫び、シヴァさんの腕に自分の腕を絡ませ引っ張っている。ふぅー助かった…。遠慮がちに俺もその後を着いていく。これからどうなる事やら…。




▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ 




話を聞く為に案内された部屋は、豪華な内装にインテリア…おまけに部屋にシャンデリアだと?!映画に出てくる様な宮殿みたいだ…。シヴァさんの話を真剣に聞きたいのに全然頭に入ってこない…。恐ろしい程に高級そうなティーカップに持つ手が震える。落としたら…きっと牢獄行きだ…。しかし出された物を飲まないのも失礼にあたるし…。恐る恐る口に運ぶ。ゴクリ。ゴクリ。一飲みする事に動く喉。ふぅ…全く味がしない…。


高校生君をチラッと横目で見ると、窓の外ばかり気にして、全く話を聞いていない。誰かを探してるのか?きっとゲーム内容とか知ってるんだろうな~。他のキャラにも会いたいって言ってたし、ハーレムってことは何人か対象者がいるって事か。



自分を奮い立たせて聞いた、シヴァさんの話を要約すると、この世界は黒の瘴気に汚染され始めた。瘴気が発生した場所は植物も枯れ、魔物は凶暴化する。人も長い間、瘴気に触れると病にかかり、死に至る。光魔法を持つ者であれば瘴気を取り払う事が出来る。そこで光魔法を強く持つ者、神子様を異世界から召喚し、助けていただこうと考えた。世界を周り、瘴気を取り払って欲しいと…。んーありふれた設定!!高校生君頑張って!!



魔物に魔法ときたら冒険者でしょー!!勿論ギルドとかあるよね?もうちょっと色々知りたいけど…図書館とかあるのかな?言葉通じるし…文字も…読めるよね…?


「私とした事が、失念しておりました!!お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」



シヴァさんが大変申し訳なさそうに、眉をキュッと寄せ俺を見ながら謝ってくる。止めてください。神子様は俺ではありません!!フラグを立てないで!!心の中で両手を合わせて祈る。



「僕は柳 優!!ゆうって呼んで!!」


俺が名前を名乗ろうと思った時、高校生君が会話に割り込んできた。突然に会話に割り込んでくるとかコミュ力高ッ!!俺には到底出来ない技だ…。思わず感心してしまう。


「ゆう様ですね。あの…」


俺は…ゲーム名でもいいかな?


「…カーラです」


「カーラ様…」


俺の名前を小さな声で呼ぶシヴァさん。しっぽが小刻みに早く揺れている。なんだろう…会ったばっかりだし、帰りたいと言ったけど…嫌われてないよね?あと様付けは止めてください!!


何回か俺の名前を復唱した後、思い出したかの様にシヴァさんが話題を変える。


「国王と王子は所用が有り、召喚の儀には立ち会い出来ませんでした。晩餐会は是非にとの事です」


「やったー!!勿論!!ちょー楽しみ!!」


高校生君はぴょんぴょんと跳ねて、体全身で喜びを表している。対する俺は不安による緊張か身が震える。


「…」


「カーラ様?」


「…その…あまり…食欲が…」



ばん・さん・かい。晩餐会。無理。無理です!!国王様?王子様?冗談でしょ!!一緒に食事なんて出来るか!!神子でもない俺が?嫌だ!!行きたくない!!行きたくないよー!!どうする俺?!どうする──────!!





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