5 / 12
5
しおりを挟む
混乱が治まらないまま、あれよあれよとディオとエールのお家に到着。帰りたい?言えるわけないだろーが!甲冑まみれの人達に囲まれてる上に、ディオががっちりホールドしてやがる!絶対に逃がさない気だ!そして極めつけは…目の前にそびえるバカでかい城…。
「えっ…家…これが…」
想像とかけ離れた目の前の光景に言葉が続かない。人間は城が家なのか?では俺が住んでいたあの家は?果たして家と呼べるのか…?ってか…エール…お前よくあの小さな家で我慢出来たな…。
人間という生き物は俺の想像を遥かに上回る行動を取る事は理解していたが…ここまでくるとちょっと…。
「家って…ココか?」
首をこてんと傾げ指を刺し一応確認してみた。そうだよ、ミルル、と優しく答えてくれたディオだが…俺は見た!!上っ面には騙されん!!甘いマスクで隠しているつもりかしらんが、質問をした途端にディオの目が獣になる様を俺は確認しました!!
しっぽの毛が逆立つ。おお可哀想に…俺のしっぽよ…。胸に抱き締めヨシヨシ怖かったなと、自分のしっぽを自分で慰める。目線はしっぽに固定。ビシビシ視線を感じるけど無視。今ディオを視界に入れるのは危険な気がする…。ってか怖すぎ…。お家に帰りたい…。そんな俺の心も知らず、
「ミルルー!今日からはずっと一緒だね!!」
と天使の様な笑顔向けて話しかけてくるエール。毎日一緒に寝ようね、何して遊ぼうか、ミルルの手作りお菓子が毎日食べれるだのなんだと、矢継ぎ早に語り出す。
一つ一つセリフが胸にグサグサ刺さって痛い…。わざとじゃないよね?!子供とは時に残酷な生き物だ。無邪気な笑顔で心を抉るとは…。
俺は、あぁ、そうだな、と言いながら口の端をひくつかせた。なんなら白目剥いてたかもしれない。
ゆっくりと御一行が城の中に歩みを進め出す。この中に入ったら外には出られないんじゃないか?と一抹の不安がよぎり身震いした。俺の直感は当たるんだよ…。どうか今回ばかりは外れてくれ!!だが、俺の直感力は素晴らしかった…。
城の中に着いて通された部屋は、あまりにも豪華過ぎて居心地が悪い。なんだこのフカフカなソファは?!めっちゃ体が沈む!おまけに机の上に置かれた香しい匂いを放つ見たことも無いお菓子!!
目を爛々と輝かせ見つめていると、幸せな気分を打ち砕く衝撃の事実が語られた。それは…ディオが王様でエールが王子様って事…。
あぁ…なんだか耳鳴りがする。俺の可愛いらしいお耳は機能を停止したようだ。数々の無礼、非礼を思い出し気が遠くなってきた。
つ、ま、り、豪華な差し入れは俺を逃がさない為の餌。食料なけりゃ死ぬでしょ?的な。頻繁に自分で食料を持って来ていたのも、逃げてないよな?エールに危害加えてないだろうな?と確認する為。
俺を投獄するつもりなのか?逃がすつもりはないとの意味を込め最後のがっちりホールド…。なるほど、なるほど、納得!!情報処理を諦めた俺の頭はバグりだす。
自分でも自覚している可愛い容姿だ。投獄なんてされたら…。色んな人間にあんな事や…そんな事…。こんな所で逞しい想像力が幸をそうした。
イヤ──────────ッ!!そして俺は全力で逃げ出した。おぞましい未来から逃げる為に!!獣人様の身体能力を嘗めるなよ!!
闇雲に走りまくり中庭らしき場所に到着した。そこは綺麗な花々が咲き、木々も綺麗に切り揃えられていた。流石、城内。手入れが行き届いているなー。
綺麗だな、癒される…。森生活が長い俺は自然が大好きだ。非常事態だと分かっているのに吸い寄せられる様に花に顔を近づけクンクンと匂いを嗅ぐ。甘い匂いがツーンと奥に広がり幸せな気分になる。
もうひと嗅ぎしようとした時、腕が痛くなるほど、後ろからがっちりホールドされた。グヘッ。突然の事に思わず変な声が出た。ギ、ギ、ギ、と壊れたおもちゃのように振り向くと、額に青筋を浮かせ、頬をピクピクと器用に動かすディオの顔がすぐ近くにあった。
イケメンって怒っててもイケメンなのな。おれはどーでもいい事を考え現実から目を逸らした。
「えっ…家…これが…」
想像とかけ離れた目の前の光景に言葉が続かない。人間は城が家なのか?では俺が住んでいたあの家は?果たして家と呼べるのか…?ってか…エール…お前よくあの小さな家で我慢出来たな…。
人間という生き物は俺の想像を遥かに上回る行動を取る事は理解していたが…ここまでくるとちょっと…。
「家って…ココか?」
首をこてんと傾げ指を刺し一応確認してみた。そうだよ、ミルル、と優しく答えてくれたディオだが…俺は見た!!上っ面には騙されん!!甘いマスクで隠しているつもりかしらんが、質問をした途端にディオの目が獣になる様を俺は確認しました!!
しっぽの毛が逆立つ。おお可哀想に…俺のしっぽよ…。胸に抱き締めヨシヨシ怖かったなと、自分のしっぽを自分で慰める。目線はしっぽに固定。ビシビシ視線を感じるけど無視。今ディオを視界に入れるのは危険な気がする…。ってか怖すぎ…。お家に帰りたい…。そんな俺の心も知らず、
「ミルルー!今日からはずっと一緒だね!!」
と天使の様な笑顔向けて話しかけてくるエール。毎日一緒に寝ようね、何して遊ぼうか、ミルルの手作りお菓子が毎日食べれるだのなんだと、矢継ぎ早に語り出す。
一つ一つセリフが胸にグサグサ刺さって痛い…。わざとじゃないよね?!子供とは時に残酷な生き物だ。無邪気な笑顔で心を抉るとは…。
俺は、あぁ、そうだな、と言いながら口の端をひくつかせた。なんなら白目剥いてたかもしれない。
ゆっくりと御一行が城の中に歩みを進め出す。この中に入ったら外には出られないんじゃないか?と一抹の不安がよぎり身震いした。俺の直感は当たるんだよ…。どうか今回ばかりは外れてくれ!!だが、俺の直感力は素晴らしかった…。
城の中に着いて通された部屋は、あまりにも豪華過ぎて居心地が悪い。なんだこのフカフカなソファは?!めっちゃ体が沈む!おまけに机の上に置かれた香しい匂いを放つ見たことも無いお菓子!!
目を爛々と輝かせ見つめていると、幸せな気分を打ち砕く衝撃の事実が語られた。それは…ディオが王様でエールが王子様って事…。
あぁ…なんだか耳鳴りがする。俺の可愛いらしいお耳は機能を停止したようだ。数々の無礼、非礼を思い出し気が遠くなってきた。
つ、ま、り、豪華な差し入れは俺を逃がさない為の餌。食料なけりゃ死ぬでしょ?的な。頻繁に自分で食料を持って来ていたのも、逃げてないよな?エールに危害加えてないだろうな?と確認する為。
俺を投獄するつもりなのか?逃がすつもりはないとの意味を込め最後のがっちりホールド…。なるほど、なるほど、納得!!情報処理を諦めた俺の頭はバグりだす。
自分でも自覚している可愛い容姿だ。投獄なんてされたら…。色んな人間にあんな事や…そんな事…。こんな所で逞しい想像力が幸をそうした。
イヤ──────────ッ!!そして俺は全力で逃げ出した。おぞましい未来から逃げる為に!!獣人様の身体能力を嘗めるなよ!!
闇雲に走りまくり中庭らしき場所に到着した。そこは綺麗な花々が咲き、木々も綺麗に切り揃えられていた。流石、城内。手入れが行き届いているなー。
綺麗だな、癒される…。森生活が長い俺は自然が大好きだ。非常事態だと分かっているのに吸い寄せられる様に花に顔を近づけクンクンと匂いを嗅ぐ。甘い匂いがツーンと奥に広がり幸せな気分になる。
もうひと嗅ぎしようとした時、腕が痛くなるほど、後ろからがっちりホールドされた。グヘッ。突然の事に思わず変な声が出た。ギ、ギ、ギ、と壊れたおもちゃのように振り向くと、額に青筋を浮かせ、頬をピクピクと器用に動かすディオの顔がすぐ近くにあった。
イケメンって怒っててもイケメンなのな。おれはどーでもいい事を考え現実から目を逸らした。
24
お気に入りに追加
248
あなたにおすすめの小説

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
【完結】オーロラ魔法士と第3王子
N2O
BL
全16話
※2022.2.18 完結しました。ありがとうございました。
※2023.11.18 文章を整えました。
辺境伯爵家次男のリーシュ・ギデオン(16)が、突然第3王子のラファド・ミファエル(18)の専属魔法士に任命された。
「なんで、僕?」
一人狼第3王子×黒髪美人魔法士
設定はふんわりです。
小説を書くのは初めてなので、何卒ご容赦ください。
嫌な人が出てこない、ふわふわハッピーエンドを書きたくて始めました。
感想聞かせていただけると大変嬉しいです。
表紙絵
⇨ キラクニ 様 X(@kirakunibl)

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった
無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。
そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。
チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

不幸体質っすけど、大好きなボス達とずっと一緒にいられるよう頑張るっす!
タッター
BL
ボスは悲しく一人閉じ込められていた俺を助け、たくさんの仲間達に出会わせてくれた俺の大切な人だ。
自分だけでなく、他者にまでその不幸を撒き散らすような体質を持つ厄病神な俺を、みんな側に置いてくれて仲間だと笑顔を向けてくれる。とても毎日が楽しい。ずっとずっとみんなと一緒にいたい。
――だから俺はそれ以上を求めない。不幸は幸せが好きだから。この幸せが崩れてしまわないためにも。
そうやって俺は今日も仲間達――家族達の、そして大好きなボスの役に立てるように――
「頑張るっす!! ……から置いてかないで下さいっす!! 寂しいっすよ!!」
「無理。邪魔」
「ガーン!」
とした日常の中で俺達は美少年君を助けた。
「……その子、生きてるっすか?」
「……ああ」
◆◆◆
溺愛攻め
×
明るいが不幸体質を持つが故に想いを受け入れることが怖く、役に立てなければ捨てられるかもと内心怯えている受け


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる