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⑸
しおりを挟む無言でクラウスの次の言葉を待つ。当然目は合わせる事が出来ない。
「マーベル…」
「マーベル…ぐっ…」
えっ?はっ?!クッ、クラウスがな、な、な、な、な泣いてるだと?!先程までのよがり泣きとは全然違う!!それほどまで…それほどまでに私がした事に屈辱を受けていたとは…頬を流れる涙を見て、胸が締め付けられる。
「クラウス。申し訳ありません。謝って済む事ではないですが…。それ程までに嫌だったとは…。私は自警団を辞します。あなたの目の前にも二度と現れないと誓います。申し訳ありませんでした」
罪悪感に押しつぶされそうで、クラウスを見ることなく、足早に風呂場に向かう。くっそ!!自分に悪態をつく。はぁ、タオルは何枚必要だろうか…
「マーベル…」
急に後ろから声をかけられ体がビクッっとなる。振り返ると思ったよりも近くにクラウスが居て更に驚く。…まだズボン履いてなかったのか…。
「風呂に入りたいんですか?タオル出しておきます。安心してください。何もしませんよ」
「もう…何もしないのか?」
「えぇ…あなたの恋人に殺されたくありませんからね」
「…恋人などいない」
恋人がいないだと?話が噛み合わない…じゃぁ
「体だけの関係ですか?意外です。私には関係ない事ですけどね。では…」
もう話なんて聞いていられるか!!体だけの関係なんて…今日は失恋記念で朝まで飲んでやる!!
「マーベル…俺は…誰にも体を許した事はない」
「はぁ?私を救うためですか?そんな嘘つかなくても結構ですよ」
「違う!!ほっ、本当に…誰にも…」
「じゃぁ、どうしてラブグッズの事を?」
「…で…じっ、自分で…」
ふぇ?!じ、じ、自分で使っていたのか?!
「俺は…俺はッ!!マーベルが…好きだ…好きなんだ…。だが…お前が…。くっ、お前を抱いた男が居ると…団員が噂話をしていた…やっぱりそっち側なんだと…ましてや俺のようなゴツイやつ…」
「今の話、本当ですか?私を好きだと…」
噂話をしていた奴は見つけて半殺しだ。
「すまない…俺なんかに好かれても困るだろう。何も面白みのない男だ。体もデカい」
「ラブグッズはどの様に使っていたんですか?」
「噂で店の事を知った。いつも…マーベルの事を思って…」
なんて事だ!!まさかクラウスのバージンを奪ったのが、私が開発したラブグッズだったとは…。なんたる悲劇!!
「クラウス…。私もあなたに話があります。ラブグッズを開発した理由は…クラウスあなたです。いつも…犯す姿を想像してました。もっと気持ち良さそうな姿を全身見たい。そんな貪欲な願望がラブグッズ開発に繋がったんです。クラウス…好きです。愛しています。どうしようもないぐらいに…」
「マーベル…続きをして欲しい…ずっと夢に見ていた…」
「えぇ!喜んで!!」
あぁ…クラウスの体を好きにして良いだなんて…私だって夢のようだ…。これからは一人でラブグッズに頼ろうと思えない程に可愛がってあげよう。慰める為ではなく、二人の愛を確かめる為にラブグッズを使おう。楽しみだ。クラウスも楽しみだろう?
*
「クラウス、この書類間違っていますよ」
「くっ、すまない…」
「今日はミスが多いですね。わざとですか?」
「そんなわけッ!!…ぐっ…んぁっ…」
「あーぁ、イく時はなんと教えましたか?」
「イっ、イキたい。イかせてと…」
「仕事中にお尻にバイブを突っ込んで善がるクラウスは最高ですよ」
机に向い、座って仕事をしているクラウスに後から抱きつく。両手で胸全体を強く揉みしだく。ついでに頭についている耳の付け根も舌で刺激を与える。
「あぁんッ…マーベル…これ以上は…」
「クスッ、可愛いですね」
そのまま胸の尖りを指で軽く挟む。
「私のクラウス。どうして欲しいか教えてください」
「。。。」
小さく放たれた言葉に笑みを浮かべ、胸に置かれた手を腹に、そしてもっと下にスライドさせていく。今日も、私のクラウスは愛らしくて厭らしい。
[完]
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