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しおりを挟むまだクラウスは来ない。もてなす料理も張り切りすぎて、随分前に作り終わってしまった。メインディッシュの肉は来てから焼けばいい。
暇だ…。そうだ、昨日のラブグッズ製作の続きをしよう。カウンターの椅子に座り、アレコレ考える。やや細身の棒はソフトな素材に、振動機能も付けて…あとは柔らかいコブをつけ、自由自在に曲げることが出来るようにする。これはなかなか…初心者からいけるモノが出来きそうだ。
次は上級者向けのラブグッズ。極太に力強い振動機能付き。前立腺どころではなく、全体を掻き回す様な代物。持ち手は港のイカリ型にして、挿入したまま外に出れる様にしよう!!これは良い!!クラウスに挿入したままお散歩なんて最高だ!!
公園の中で突然蹲るクラウス…
「ぁんっ…お願いだ…取ってくれ…」
「ナニを取って欲しいんですか?そんな所で蹲ってたら邪魔になります。あちらのベンチに…」
クラウスの瞳を見つめ、笑顔を浮かべ注意をする。
「中の…中に入っいるモノを…ぅっ」
クラウスの手を引き、ゆっくり、ゆっくりと一歩ずつ中に入っている物が出ないように、ベンチまで案内する。小刻みに足を運ぶクラウス。体に似合わない小動物の様な動きに愛しさが込み上げてくる。
「あぁ、まだダメです。だって…一番強い振動を試していないでしょう?」
クラウスをベンチに座らせ、自分も隣に座る。そして手の中にあるリモンコンのスイッチを押した。
「ひぃぃっ…!!マッ…ベル…いやっ…あぁ…」
半開きの口から卑猥な声と、懇願する声が漏れる。
「聞こえません。座ってても違和感はないでしょう?弾力のある柔らかい素材。丸みを持たせて、座っても楽しめる様に考えたんですよ。気持ちいいでしょ?特に外では」
図星をつかれたのか、クラウスは一瞬肩を揺らし動揺を露にした。
「あっ、いぃ…恥ずかしぃ…っからぁ…」
「クラウス。ズボンの前にシミが出来てますよ?まさかイったんですか?外で?はしたないですね。そんなに良かったですか?」
私の言葉にクラウスの耳としっぽがしゅんと垂れる。顔はうっすらと赤く染まり、目には少し涙が溜まっている。可愛い!!なんて可愛いんだ!!今すぐにでも、ぶち犯してやりたい!!が外なので当然無理だ。それに…
「そんな姿で外は歩けませんよ。このフードつきマントを使ってくだい」
「マーベル…すまない」
「いいんです。クラウスをそんな顔に出来るのは私の特権です。その顔を見れるのも私だけ。誰かに見せたら殺します。相手を。勿論、クラウスもお仕置しますけどね」
「マーベル…」
そして二人の顔が重なり…
コンコンッ
「マーベル。俺だクラウスだ」
まずいっ!!まずいぞ、まずいぞ──────!!!!呑気に妄想に励んでる場合じゃなかった!!
カウンターに散らかっているラブグッズを急いで箱に片付ける。少し勃ちかけた自身を気合いでおさめる。バレたらドン引きどころではない!!
コンコンッ!!
「マーベル居るか?」
先程よりも強くなったドアを叩く音。
ちょちょちょっと待てー!万が一を狙って、開発したフェロモン香水をふっておく。これでよし!!
ふぅー。
狼狽えを隠し、平静を装い、ドアを開けて迎え入れる。
「すみません。キッチンに居たので聞こえませんでした。どうぞ、入ってください」
「邪魔する。これ赤ワインだ」
掲げられたワインボトルに目を落とす。良いセンスだ。
「赤ワインですか?今日は肉料理なので合いますね。ありがとうございます」
ゆったりとした足取りで、クラウスを食卓までエスコートする。
「さぁ、座ってください」
ワインで乾杯をした後、クラウスは食事が美味いと酒が進む、そう言ってワインボトルを空にする勢いで煽っている。大丈夫か?クラウスが少し酔ったのか、グラスを傾け、揺れる赤い液体を見詰めながら、野暮な質問をしてくる。
「マーベル…お前は結婚しないのか?別に俺に気を遣う必要はないんだぞ…俺は好きで独り身でいるんだ」
ほんとに人の気も知らないで…自分の事より私の心配をするとは…
「はぁ。相手も居ませんし、出会う暇もありません。出会いたいとも思っていませんよ。そのうち親が適当に見つけてくるでしょう」
あなたが好きですと言えたら…。くだらない。
「クラウスより先に結婚しない事が、私の優しさですよ。それより飲み過ぎです。明日も仕事があるのをお忘れですか?」
「確かに…少し飲み過ぎたようだ…トイレを借りる」
立ち上がりフラフラと歩くクラウス。危なっかしい…トイレまで着いていこう。そう思って自分も立ち上がった時、クラウスがよろけてカウンターに置いてあった箱にぶつかった。
ガシャーン!!
派手な音を立てて、箱の中身が床に飛び散る。なっ?!そっ、それは!!さっきまで開発していたラブグッズの…まっ、不味い!!
「クッ、クラウスッ!!それはッ…」
床にしゃがみ、箱中を拾おうとしている背中に向い、静止の言葉を投げかけ様とした時、
「これは…新作か…」
クラウスがラブグッズの試作品を手に持ち、小さな声で呟いた。
えっ?新作…?
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