44 / 48
もふもふは狂気《番外編》
しおりを挟む気持ち悪い。吐き気がする。クロノたん以外に身体を触られるなんて…。早く…早く…この行為が終わりますように…。固く目を瞑り願う事しか出来ない。耳を犯すピチャピチャという音に喉元まで嫌悪が込み上げてくる。
執拗に胸を弄られジンジンと疼いてくるが、クロノたんの時とは違い何も感情は伴わない。当たり前だよな。だって今行われている事は合意じゃないもん。俺の意思など関係ない一方的な行為。意識を飛ばしているとギュッと胸の突起を摘まれた。突然の事に思わず喘ぎの様な痛みを堪える声が漏れてしまう。
「あぁ…丁寧に優しく可愛がってあげても気持ち良さそうじゃないと思ったら…そっか、痛いのが好きなんだね」
なんとも見当違いの物騒なセリフと一緒に先程よりも強く両方の突起を捻じるように引っ張られた。
「いっ!!あっ…やっ…」
「やっぱり。こんな綺麗な顔して酷くされるのが好きなんだね…興奮が止まらないよ…早く一つになりたい」
ゼダ様はペロリ舌で唇をひと舐めし、とんでもない方向に話を勝手に進めていく。ふざけんな!!これだけは言っておく!!
「身体を奪われたとしてもッ…!!私の心はクロノの物です!!あなたに靡くことはないッ!!」
私の愛するもふもふはクロノたん唯一人!!クロノたん一筋!!本当に大好きだよ…離れたとしても…ずっとずっと想い続けるから…クロノたん。もう一度会いたいな…会って以前のように抱きしめて欲しい。もふもふに埋もれたい。スリスリしたい。なんならハムハムもしたい…。あっ、ヤバい。目に水が溜まってきた…我慢してたのに、俺…。クロノたん…クロノたんッ!!
想いが溢れ頬に伝った時、今まで身体に感じていた圧が急に無くなり軽くなった。続けて聞いた事のない大きな音がした。力の抜けた身体を何とか起こし、音の原因に這いずるように近づく。あの後ろ姿は…でも…。倒れるように横たわったゼダ様の上に跨り拳を何度も振り下ろし続ける様は狂気を感じさせるには充分だ。怖い…。いつものクロノたんじゃない!!既にぐったりとして動かないゼダ様。このままでは取り返しのつかない事に…。
「クロノっ…」
喉が張り付き思ったよりも大きな声は出なかったが、それでもクロノたんには届いたようだ。我に返った様にゼダ様の上からゆっくりと立ち上がり、こちらを振り向くと、感情の読み取れない表情で俺を見た。
27
お気に入りに追加
1,996
あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

狂わせたのは君なのに
白兪
BL
ガベラは10歳の時に前世の記憶を思い出した。ここはゲームの世界で自分は悪役令息だということを。ゲームではガベラは主人公ランを悪漢を雇って襲わせ、そして断罪される。しかし、ガベラはそんなこと望んでいないし、罰せられるのも嫌である。なんとかしてこの運命を変えたい。その行動が彼を狂わすことになるとは知らずに。
完結保証
番外編あり

【完結】薄幸文官志望は嘘をつく
七咲陸
BL
サシャ=ジルヴァールは伯爵家の長男として産まれるが、紫の瞳のせいで両親に疎まれ、弟からも蔑まれる日々を送っていた。
忌々しい紫眼と言う両親に幼い頃からサシャに魔道具の眼鏡を強要する。認識阻害がかかったメガネをかけている間は、サシャの顔や瞳、髪色までまるで別人だった。
学園に入学しても、サシャはあらぬ噂をされてどこにも居場所がない毎日。そんな中でもサシャのことを好きだと言ってくれたクラークと言う茶色の瞳を持つ騎士学生に惹かれ、お付き合いをする事に。
しかし、クラークにキスをせがまれ恥ずかしくて逃げ出したサシャは、アーヴィン=イブリックという翠眼を持つ騎士学生にぶつかってしまい、メガネが外れてしまったーーー…
認識阻害魔道具メガネのせいで2人の騎士の間で別人を演じることになった文官学生の恋の話。
全17話
2/28 番外編を更新しました
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。
【完結】第三王子は、自由に踊りたい。〜豹の獣人と、第一王子に言い寄られてますが、僕は一体どうすればいいでしょうか?〜
N2O
BL
気弱で不憫属性の第三王子が、二人の男から寵愛を受けるはなし。
表紙絵
⇨元素 様 X(@10loveeeyy)
※独自設定、ご都合主義です。
※ハーレム要素を予定しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる