俺の可愛い皇帝陛下〜けしからんモフらせろ!〜

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もふもふは決意する《番外編》

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キッ!っと俺を見下ろすゼダ様を睨みつける。力量差はあるが、お前には屈しないと姿勢を見せる為に体を捩り抗う。


パンッ!!


乾いた音が部屋に響き渡る。俺は自分の頬を打たれたとは、すぐには気が付かなかった。打たれ頬がジーンと疼く。


「手荒な真似はしたくないんだ…あぁ、美しい顔が…」


まだ少し痛みが残る頬に、ゼダ様が自分の手を添え、顔を歪ませる。



「…ッ!何をする!!」



あまりの突然の出来事に、驚き身震いするが、弱さを見せまいと、強気で言い返す。



「シーッ。大きな声を出してはいけないよ…ほら」



ゼダ様が顎をしゃくるようにして、部屋の奥を指し示した。


「レっ、レイモンド?!レイモンド!!どうしたの!!」


レイモンドが石のように動かずに横たわる姿が目に飛び込んでくる。あぁ…なんて事を…。


「大丈夫。気を失ってるだけだよ。手足は縛ってるけどね」



「レイモンドを離しなさい!!私が目的でしょう!!」


頭に血の気が登り、噛みつかんばかりの顔つきで
怒りを示す。


「そう。君が目的。だから縛ってるんだよ。わかるだろ?彼に何もされたくなければ…」


「レイモンドに手を出さないで!!」


レイモンドは…レイモンドはもうすぐ結婚式が控えてるんだよ…。お願いだから手を出さないで…。幸せな門出に水を差さないで…。


「じゃぁ、どうすればいいのか、賢いレイならわかるよね?」


俺の顔から表情が…感情が抜け落ちていくのがわかる。返事はせず、強ばる体の力を抜き、ベットに四肢を投げ出した。



「レイ…あぁ美しい」



クロノたん…俺を許してくれますか…?あなた以外に体を許すことを…。俺は許せません。クロノたん以外に体を許すなんて…許せません。だから…





レイモンドが助かったら…あなたから離れることを許してください。






▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣






最悪だ…。あいつのせいで…。歯車がどんどんと狂っていく…。ゼダめ!!何を考えている。


事の始まりは、一通の手紙からだった。隣国のたいした縁もない国。この国の王族、貴族は俺のような容姿の者に対しての差別が強い。だから国としても根強い差別が残っている。前皇帝の時はまだ、交流があったが、俺が皇帝に就いてからはパタリと交流は止んだ。わかりやすい国だ。周辺国家を婚儀に招待しているのに、この国だけ招待しないという選択肢はない。非常に不本意だが、招待状を送った。



婚儀当日はたいした騒ぎも起こさず、大人しくしていたと思ったら、この手紙だ…。第三王子を側室に迎え入れて欲しいだと?!レイ以外に俺が誰かを愛する事はない!!あるとすれば、それは俺とレイの間に成した子ぐらいだ。


こいつは四六時中、俺の傍から離れようとしない。おかげで、レイと食を共にする事も、夜を共にする事も無くなった。レイにお茶会に何度か誘われたが、こいつと会わせたくなくて全て断った。何が目的か探りを入れようとも、流石は王族といったところか、全く隙をみせない。俺でも思惑を読み取る事が出来ない。何も掴めないまま、ただ時間だけが過ぎていく。早くレイと会いたい。抱きしめたい。



焦る俺にトドメとばかりに届いたレイの不貞疑惑。信頼の置ける家臣の一人。デールと密会を重ねているとの噂が…。火のないところに煙は立たない。不貞など信じていない。だが、確かめなくてはいけない。思いとは裏腹に俺の心は、レイに会える事で喜色に溢れていた。


レイの部屋の扉をノックするが返事がない。不在か?ノブを回す。ガチャっと小さな音を立てて、扉は開いた。


レイは椅子にかけ、何やら物思いに耽っているようだ。声を掛けようとした時に消える様な声で呟かれた言葉。


疑心の渦が染みのように広がっていく。封じたはずのドス黒い感情が腹の底から噴き出してくる。たまらずレイに声を掛けた。




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