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もふもふは失意のどん底《番外編》
しおりを挟む「はなじなざい!!」
普段なら絶対に出さない様な大きな声を出し、クロノたんの腕に飛びかかる。
「何故だッ?!こいつに!!」
「デールは何も…何もしていません…ぐずっ…」
「しかし…」
うるさい!!クロノたんのせいで俺の心のパラメータはマイナスに振り切れてるよ!!俺の楽しいお茶会を台無しにして!!恋愛トークを楽しんでいたのに…。
「レイ様…」
デールちゃん…ゴメンね。怖かったよね。俺も怖いです。今現在進行形でクロノたんが怖い…。
「デール。くずっ、せっかくのお茶会を台無しにしてしまいました…。お詫びを申します」
「いやっ、あのっ…」
焦るクマさん最高です!!もっとじっくりと観察したいけど無理。心が辛すぎて無理。こんな時は…こんな時は…。
「レイモンドー!!」
「はい。お部屋に戻りましょうか」
困った時のレイモンド!!空気が読める子レイモンド!!横抱きにされ、レイモンドの胸に顔を隠す。でも、これだけは言わないと…
「クロノ!!デールに…デールに何かしたら…許しません!!」
暴力反対!!パワハラ反対!!口調をきつくして、クロノたんに言葉を投げつける。そして、退場を促すように、レイモンドの首に回した腕に力を込めた。
「レイ様はお疲れのご様子で。失礼ですが、先に部屋に戻らせていただきます」
疲れたな…。クロノたんとも余計に拗れちゃったし…。はぁ…。レイモンドの温もりと、歩く振動で瞼がゆっくりと降りてくる。寝ちゃおう…。今は何も考えたくない。
▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣
う~。重い…苦しい…何かが体の上に乗ってるような…えっ?!乗ってる?!
「ぐっ!!」
勢い良く起こそうとした体は、ベッドから離す事が出来なかった。何故なら…
「どうして…ゼダ様が…」
そう…俺の上には…うっそりと微笑むゼダ様が乗っていたのだ。
「お目覚めかな?レイ」
「へっ?」
「まだ寝ぼけているのかい?そんな顔も美しい」
夢?これは夢なのかな?ゼダ様の事を避けてたから、夢の中で仲良くしてるのかな?でも…これはちょっと…
「ようやくだよ…ずっとこの機会を狙ってた…」
「あの…」
「さぁ!!レイ!!愛し合おうじゃないか!!」
はっ?あ、あ、あ、愛し合う?ここで?!この状況で?!つ、つまり…えっ、閨事ですか…?!嫌がらせ…これは嫌がらせなの?
「クロノの事を独り占めしたいから…私に嫌がらせを…するのですか?」
「ぶっ!!あっははは!!独り占め?!俺が?あの獣風情をか?!冗談だろ」
へっ?獣風情…俺の愛しのクロノたんの事?
「クロノが好きで一緒に…」
「獣と一緒になるなど!!虫唾が走る!!俺の目的はレイ…君だよ。あぁ美しい。婚儀で一目見たときから心惹かれた…手に入れたいと…一番近づける方法を考えた時、思いついたのが側室だった」
「私…?」
「君とあいつを引き離すのに苦労した。でも先程のお茶会の事もあるし…当分、君には近づかないだろう。この機を狙っていた。さぁ、お話は終わりだよ」
引きちぎる様にシャツのボタンを外していくゼダ様。呆然とする俺。先程までの会話の内容が信じられない…。
「訂正してください。謝罪してください!!クロノは…!!クロノは…獣なんかじゃありません!!」
お前なんかにクロノたんの魅力がわかるはずない!俺の…俺の愛しいクロノたんだよ…。獣なんて言わないで…俺のクロノたんを侮辱しないで…。
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