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もふもふは怒る《番外編》
しおりを挟む俺は今、ご立腹中です!非常にご立腹なんです!!何故か?それは…クロノたんに側室の話が持ち上がっているからです!!
いや、有り得ないでしょ?でもこの国は皇帝陛下に限り一夫多妻制なんだってー。その制度、是非とも廃止していただきたい!!
俺のクロノたんが…俺のもふもふちゃんが…。実はもう、隣国から側室候補が来ちゃっててね…。第三王子のゼダ様。挨拶の時にチラッと見た程度だけど…爽やかイケメンでした…。
はぁー。ここ最近よくため息ついちゃうな。ゼダ様が来られて、俺は夜をクロノたんと過ごしていない。つまりブラッシングもしていない…もふもふ枯渇状態です!!
レイモンドに皇帝陛下に側室の話を断ってもらえばいいのでは?と言われたんだけど…俺だって言いたいよ!!でも…クロノたんの事を好いてるなら…クロノたんにだって選ぶ権利はあるし…。
勿論!!クロノたんが俺を好きな事は明白なんだけど…モヤモヤするー!!歯がゆいー!!ゼダ様はクロノたんといつも一緒にいる…。朝も、昼も、夜も食を共にして…寂しくてお茶会に誘ったら、まさかのお断りが…。
ちょっと自信無くすレベルでしょ?
「レイモンド…抱きしめてください」
「アホですか?俺を殺す気ですか?」
酷い!!レイモンド酷すぎる!!だって…他のもふもふちゃんに抱きついたら浮気になるし…でもレイモンドは…ほら!!家族みたいなもんでしょ!!
「寂しくて死にそうです」
「はぁー。ゼダ様が御国に帰るまで我慢してください」
「嫌です!!じゃぁ、城下町に行きたいです」
「皇帝陛下の許可が降りないと思いますけどね」
「ぐぅー!!私は子供ではありません!!」
「はぁー。困らせないでください…。じゃぁ、この小説でも読んだらどうですか?」
手渡された一冊の本。何コレ?本とレイモンドを見比べ、首を傾げる。
「小説でもふもふを堪能してください」
えぇー?!この小説もふもふなの?!何それ!!素敵!!レイモンド素敵!!嬉しすぎてレイモンドに飛び付くも、あっさりとかわされた…。どさくさ作戦は失敗だ…。
そして、その日の晩餐会は久しぶりにクロノたんとご一緒する事になった。勿論、ゼダ様も一緒にだ。
▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣
全く会話が耳に入ってこない…。
晩餐会の席はゼダ様の前でした。いつもはクロノたんが隣で食べてくれるから、会話が聞こえるんだけど…今日は遠い…。いやーゼダ様の会話もギリギリ聞こえる…かな?程度なんです…。
二人とも獣人だからいいけどね!!俺、限りなく人なんです!聞こえないんですよ!!ヤバイな。とりあえず顔に笑顔を貼り付けて…たまに頷く。これで乗り切るしかない!!
二人の会話が弾んでる…おそらく。聞こえないからね!俺との会話そんなに弾んだ事あったかな?チクチクと胸が痛む。決めるのはクロノたんだしな…。ぼーっとしてたらグラスに手が当たり、中身を服に零してしまった。
「申し訳ありません…着替えますので、先に失礼させていただきます」
お辞儀をし、食堂から足早に出る。偶然だけど…抜け出せて良かったー。なんとなく夜風に当たりたくて、庭園に寄る。はぁー。胸が痛い。ベンチに腰を掛け夜空を見上げる。綺麗な星だなー。これに比べたら俺の悩みなんか小さいものか…。でも、俺の中では大きな悩みだよ…。
「正妃様。風邪を引かれますよ」
えっ…誰?振り返るとそこには…
クマさんが…。
クマさんきたぁぁぁぁ────!!!!
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