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もふもふは暗躍する

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「レイ。何か思い違いをしているようだ。俺はこの様な物は初めて見た」


クロノたんがオリーブオイル擬きを指さす。



「えっ、でも…」



「家臣が勝手に動いたようだな。すまない。バルロに対しても非礼を詫びる。すまない」




「陛下は存じ上げないと…」




「レイ、陛下など他人行儀な呼び方をしないでくれ…。胸が冷える…」





バカだ。俺、大バカだ。レイモンドにちゃんと言われてたのに…クロノたんの話を聞くようにって…。




「クロノ…申し訳ございません。怒りに我を忘れ、心無いことを言いました。お詫び致します。罰は如何様にも…」




「よい。自国を想うレイを好ましく思う。俺の為にも、その様に怒ってくれるか?」



俺の夫は何て心が広いんだ!!


「もちろんです!!」



クロノたんをイジめる奴は許さないよ!勿論もふもふをイジめる奴も許さないよ!馬に蹴られて飛んで行ってしまえ!!!!!




「クロノ、その…ヨルムさんにお会いしてもよろしいでしょうか?」



「?!何故ヨルムを知っている?!」



へっ?何?何で怒ってるの?わからん…全然怒りの沸点がわからん!!



「ヨ、ヨルムさんがお持ちになったと料理長から伺いました…」



「ヨルムが…。ふ~む。この件、俺に一任してくれるか?」




「はい…。出来たらオリーブオイルが偽物だと教えてあげてください」




「はぁー。ほんとに疑う事を知らないな。わかった。伝えておく」





「では、執務中にお騒がせして申し訳ございません。失礼致します」







▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ 






「やはり動いたな。アデル、これを調べろ」




「バルロの事を色々聞いてきたと思ったら…まさかオリーブオイルを利用するとは…」



「結果次第ではこの世から消えて貰う。俺だけならまだしも、レイにまで手を出すとは…」



「今回は偶然レイ様のおかげで未遂に終わったが…見張りをつけるか…」







はぁー。婚儀に呼んだ招待客の座席作成、警備配置、他にやる事は湧いて出てくる。あの狸オヤジめ!!仕事を増やしやがって!!だが、別にいいか。これでアイツを排除出来るなら安い労力だ。


先程まで居たレイの顔を思い出す。あんなにも怒りに染まった顔など初めて見た。実に可愛かった…。もっとだ。もっと色々な顔を見せてくれ。


あの添い寝がきっかけで、レイとの距離が縮まった。俺の子を成したいと思うほど好いてくれている。俺は知っている。レイが俺の毛を集め、いつも身に付けていることを。いつも俺の匂いがした。不思議だと思い、抱き締めた時に匂いが強いポケットを覗いた。それは間違いなく俺の毛。小さく丸められた俺の毛だ。歓喜で心が震えた。今の俺ならば、狸オヤジに何を言われても動じないだろう。良くも悪くも、お前の言葉がレイとの関係を進展させた。








だからな…もう、お前は用済みだ。










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