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もふもふ念願の…
しおりを挟むえっ、何で?もっ、もう一度聞いてみよう。もしかしたら俺の聞き間違いかもしれないし…。
「クロノ。あの、ブラッシングを…」
「ダメだ。…今は…レイに触られたくない」
へっ?おっ、俺に触られたくない?触られたくなぃ…。クロノたんは、俺に触られたく…なぃ…。拒絶された…?
怖い。怖い。指先が冷たくなるのを感じる。手の震えが止まらない。クロノたんに知られたくなくて、両手を握り締め見つめる。胸が詰まる…上手く息が出来なくて、浅い呼吸を繰り返す。
落ち着け!!落ち着くんだ!!気持ちとは裏腹に体は言う事を効かない。クロノたんの遠ざかる気配がする。待って!!行かないで!!伝えたいのに言葉にしようとすると、うっ、っと詰まってしまう。悲しい…こんなに傍に居るのに…どうして…どうして上手く行かないんだろう。俺の何がいけなかったの…本当の意味で想い合えたと思ったのに。悲しい、辛い、不安、負の感情に支配されていく。
ぽと、ぽとッ、堪えきれなかった涙が手を濡らす。そばにいて。ぐずっ、そばにいてよクロノたん…。俺の泣き声が耳に届いたのか、クロノたんが歩みを止めた。足早に絨毯を歩く音が近づいてくる。
「レイ…」
俺の為に、片膝をつき目線を合わせてくれる。ぐずっ、めっちゃ目がキョロキョロしてる。動揺してるな。ぐずっ、そんな姿も可愛い…ぐずっ。
「レイ、ど、どうした?何があった?」
何があっただと?!クロノたんのせいだよ!!このバカ!!バカバカバカバカバカ!!大バカ野郎!!でも…大好きだよ…バーカ…。うっ、うっ、ゔわぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!俺はただ、純粋にクロノたんのもふもふを愛でたいだけなんだよ!!ブラッシングで毛を集めて、毛玉を作り、クロノたんJrを作りたかったんだよ!!会えない時、寂しい時に大切なお守りとして持っていたいんだよ…。その事を一生懸命にクロノたんに伝える。
「ぐずっ…、クロノ…の…ぐずっ、ジュニア…作り…ぐずっ、大切…ふっ…持ち…ぃ…っ」
「俺の…俺のジュニア……子を作りたいと…?」
クロノたんが小声で何か言ってるけど、自分の泣き声と鼻水啜る音で全然聞こえない。わかんないけど頷く。クロノたんがいきなり横抱きをしてきた。いわゆるお姫様抱っこだ。ベットにそっと降ろしてくれる。
「すまないレイ。俺が何か選択を間違ってしまったみたいだ。子を作りたいと思う程の…。俺を許してくれるか?」
途中良くわかんない言葉が聞こえたけど気にしない!!ブラッシング出来れば何でもいい!!
「ゆるじまず…。ぐずっ、ブラッシングさぜで…」
「ブラッシングぐらい構わない」
クロノたんは浴室からブラシを取ってきた。胸以外なら別に何処をブラッシングしてもいいと。胸は何でダメなのかな?まさか敏感とか?!まさかね。
でわ…ブラシ投入です!!!!!!
▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣
「レイモンド。今日もいいお天気だねー」
窓の外を眺める。
「えぇ、最近雨は見かけませんね」
「今日のお茶は何?」
「アイスティーにオレンジを添えます」
「オレンジかぁ~美味しいだろうね」
ツンツンツンツン。手のひらに乗せた黒い塊をつつく。ふふっ、可愛いなぁ~。ポケットにしまい、お茶を用意してる机に近づく。あっ、そうだ!!
「レイモンド!!婚儀はもうすぐでしょ?初夜を私から誘うには、どんな言葉を言えばいい?」
「何故それを俺に聞くんですか」
レイモンドがめちゃくちゃ呆れてる。えっ、だって……レイモンドは…
「私の閨の指南役でしょ」
ドゴォン!!!!!!つ、机が……わわわわっ…
レ、レ、レ、レ、レイモンド!!ご乱心ですか──────?!
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