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もふもふはめげない
しおりを挟むいつもより美味しくない…。
カトラリーを持つ手が止まる。全然食が進まない…。昨日の夜も同じだった。
「もう食べれない…」
「……」
「残してゴメンね」
「俺に対して謝罪しても意味無いですよ」
「そうだよね…。美味しく作ってくれてるのに」
こんなに残してしまって申し訳ない。俺、自分で気付いてないだけで結構重症なのかも…。クロノたん…
「レイ様。皇帝陛下をお茶会に誘ってみてはどうですか?」
えっ?でも避けられてるっぽいよ?誘っても大丈夫なのかな?俺、断られたら今以上に気落ちする自信あるわ。
「お茶会にしても、お食事にしても、いつも皇帝陛下の方から誘っていただいてますよね?」
そうだ…そうだ…そうだった!!いつの間にか受け身の姿勢になってたよ!!そうだよ!!攻めの姿勢大切!!押せ押せドンドンだ!!ありがとうレイモンド!!俺のもふもふ愛から逃げられると思うなよ!!
「レイモンド。クロノをお茶会に誘います!!」
お茶会を断られたって、お食事に誘えばいい。何回だって誘ってやる!!もふもふへの執着を舐めるんじゃない!!
▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣
クロノたんはお茶会の誘いを了承してくれた。緊張するー!!半日ぐらいしか会えてないだけなのに、久しぶりの感じ。クロノたんを見て興奮を顔に出さないようにしないと!!テラスのドアが開き、クロノたんの姿を目で追う。あぁ、今日も素敵なふもふもをお持ちで!!
これはどういう事?どういう事?!
どうなってるんですか──────────!!!!!!
バグか?バグなんだな?よしバグだ!!おかしいだろ!!昨日のお茶会では、間違いなくクロノたんの好感度パラメータはカンストする勢いだったはず!!恋愛ゲームで言えばお付き合いできるレベルよ?!なのに…なのに…初期値に戻っているだと?一日寝たら好感度が初期値に戻るとか、どんなバグゲーなんだよ!!見ろよ!最近では優しさを含んだ目で俺を見てくれてたのに、今の目は出会った時みたいに鋭くなってるよ!!ふざけんなよ!!絶対に何かあったな。昨日、俺と別れた後、何かあったに違いない!!原因を突き止めないと!!何回もバグが起こってたまるか!!
「こんにちはクロノ。執務はまだ忙しいですか?」
「あぁ」
はい。会話しゅーりょー。圧凄すぎないですか?でもそんな事で怯む俺じゃないから!!まどろっこしいのは好きじゃない。直球勝負だ!!
「クロノ。何かありましたか?私が何かしましたか?教えてください。悪い所があれば直すように努めます」
「レイは関係ない」
「では何が不安ですか?」
そう。クロノたんからは不安だという感情が伝わってくる。俺のもふもふへの観察眼は鋭い。何が不安?
「…」
もうひと押しかな?
「クロノの事は、どんな事でも知りたいです。もし、不安があるなら一緒に取り除きたいです」
「…。狸の…」
はっ?タヌキ?今タヌキと?タヌキってあれでしょ?ポンポコポンのポンポンってやつでしょ?ごめん。俺、自分で察しがいい方だと思ってたけど、全然話が見えないわ。
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