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外を出歩く方法
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※エル視点※
「エル、どう?」
「もう大丈夫だよ」と紙に書いてゼロに見せた。
ゼロが世話をしてくれたから、すっかり熱も冷めた。
ゼロは俺を隠していると周りに知られないために、俺が風邪でも早く帰れなかった。
それを謝っていたけど、俺はゼロが頑張っている事を知っているから平気だよ。
それに、動けないほどだったのは最初だけだ。
それ以外はゼロの薬のおかげで、自分で料理を作ったりして食べていた。
寂しくないと言ったら嘘になるけど、でもゼロは俺のために頑張ってくれていたから、せめてゼロのために夕飯を作って待っていた。
ゼロに「寝てないとダメだろ」と怒られてしまった。
でも、おいしいと食べてくれるから嬉しい。
ゼロの冷たい手が俺の額に触れる。
「そうだね、もう大丈夫そうだ」
「……」
「騎士団が気になる?」
俺が、紙には書かず言いにくそうにゼロを見ると察してくれた。
ゼロの言葉に静かに頷く。
俺が居なくなって、ゼロにまで迷惑を掛けてないか心配だった。
それに、お世話になった人達に何も言っていない。
心配してると思うが、俺がここにいるのは言えない。
せめて、ノアの件を終わらせないと俺は自分の言葉で話せないし…筆談しても俺の疑いは晴れない。
「ヤマトは心配してたけど、知られるわけにはいかない…騎士団に義賊を利用する者がいないとは限らないからな」
「…っ!?」
「騎士団とはいえ、派閥があるからな…人間を迫害する者が人間を義賊もろとも排除しようとしているのかもな」
「……」
確かに騎士団と義賊は敵対関係がある、どちらが正しいわけではない……どちらもお互いを迫害している、だからゼロやヤマトのような中立が必要なんだ。
よく知らなかったけど、ノアに会いに行くならとゼロに義賊の事を教えてもらった。
ゼロは、未知なる力を持つ存在とずっと戦っていたんだ。
義賊はゼロを闇堕ちさせようとしている、俺が義賊になにかされる心配より俺はゼロに自分の心配をしてほしい。
ゼロは自分が狙われてるの、分かってないのかな?
俺は「ゼロも気を付けてね」と書くと、ゼロは笑って俺の頭を撫でていた。
「エルを傷付けた奴なんかに負けないよ」
そうゼロは言っているが、俺が言っているのはそういう事ではない。
俺が言っているの義賊はきっとゼロに勝てるとは思っていない。
いくら人工の魔法を作っても本物で、この国一番の魔法使いであるゼロに勝てるなんて誰も思わない。
だからきっと別の方法でゼロを手に入れる筈だ。
ゼロにその事を伝えると、少し考えてから「気をつけるよ」と言っていた。
ゼロがそう言っているなら、警戒してくれるだろう…俺もゼロを守るから…
「そうだ、エルに服を用意したんだ…義賊を探すならその格好だとすぐにバレるからね」
ゼロに言われて、自分の髪に触れた……確かにバレるか。
外に出るなら変装が一番だからね、ゼロが紙袋を持って俺に渡した。
なんだろう、変装といえば大きな帽子とかサングラスかな…この世界にサングラスはないけど…
緊急事態なのに、なんかちょっと楽しんでいたりする。
真剣にノアを探さなきゃ…と、気を引き締めて紙袋の中にある服を取り出した。
青色でヒラヒラしたレースが付いているドレス…?
「エルは青が一番似合うよ」
何処かで聞いた言葉を言っていて、ゼロをポカポカ叩く。
あれから反省してくれたと思ったのに、また女装しなきゃいけないのかよ!
ゼロは「理由があるんだ!聞いて!」と言っていたから、とりあえず聞いてみる事にした。
女装にちゃんとした理由があるなら聞こう。
ご丁寧に金髪のカツラも用意している理由もね!
下着はなかったから、それだけは唯一の救いだ。
「顔を隠した状態で、連れて歩くと流石に怪しまれる…顔を見たらすぐにバレる」
「……」
「だから性別から変えようと思った、エルが男だと認識してるから周りの目も誤魔化せる」
ゼロはそう言っているが、俺はゼロと一緒にいるだけでアウトだと思っている。
突然ゼロは俺だけど、女の子と一緒に居たら変だ…ずっとプレイボーイだったならまだしも、俺が知っている限りゼロに女性の影はなかった。
そう伝えるとゼロは「大丈夫、ちゃんとそこも考えてるから」と言っていた。
用意周到だからこそ、考えているのだろう。
でも、ずっと女装させようと考えていたわけではないよね…多分。
俺がこうなって変装するのも最近の事なんだし…
じゃあ俺が風邪で寝ている間になにかしたのかな。
ゼロは教えてくれないのか「化粧も薄くした方がいいね、俺に全部任せて」と言っていた。
俺はいろんな意味で不安だ、俺の平凡顔が怪物顔になる想像しか出来ない。
「今日は安静にしてね、俺も義賊の行きそうな場所…目撃証言を整理して明日にしよう」
ゼロに頷いて、今日は久々にゼロと二人で食事をした。
ゼロは休日だったからと、料理を作ってくれた。
兵舎に行く前の、子供の頃に戻ったようだ。
でも、あの時よりもゼロとの絆は硬く確かなものになった筈だ。
美味しいごはんを食べて、腹の中が満たされた。
ゼロの料理を久々に食べたが、美味しくなってる。
美味しかったという気持ちを込めて紙に書いた。
ゼロはその紙を大切に触れて、美しく微笑んでいた。
夜になって、窓の外を室内から眺めていた。
ゼロは夜も仕事だから今家の中にあるのは俺一人だけだ。
ベッドの上には、あの女装セットが入っている紙袋がある。
本番ですぐに着れるか不安だなぁ…だからってゼロに手伝ってもらうのは恥ずかしいな。
子供の頃は簡単に着れるものだから、一人でも着れた。
でも、あの服は見た限り着るのが難しそうだ。
女の子が着てたら可愛いのは分かるんだけど、俺はなぁ…
そう思いつつ、紙袋の中身を開けてドレスを取り出した。
寝間着を脱いで、ドレスをとりあえず着てみた。
着ることは出来たが、後ろのファスナーが全然届かない。
後ろに腕を回して一生懸命伸ばしてみたが、かすりもしない。
絶対にゼロに手伝ってもらわないといけないのか?いや、そんな事はない!俺はやるぞ!
ググッとしていたら、体重が後ろに向かってバランスを崩した。
転けてしまい、床に転がる事しか出来なかった。
腕が痛い、前のリボンもなにかに引っかかって解けてしまった。
リボンを直しながら、後ろのファスナーを閉めようと再び挑戦した。
ドレスを引っ張ってみても、やっぱり届かない。
窓の外になにかが光っているのが見えて、窓に近付く。
暗くて分からないが、なんだろうあれ……爆発!?
どうしよう、ゼロに連絡した方がいいのかと思ったが爆発はすぐに止んだ。
ゼロが外で見回りをしているなら、きっとこの爆発も気付いているだろう。
慌てなくても大丈夫だよね、そう思っていても落ち着きなく部屋をウロウロとする。
部屋を出て、玄関前までゼロを待っていたらドアが開いた。
用意していた「おかえりなさい!」と書かれた紙を見せた。
ゼロはただいまと言おうとしているのは分かっているが、その声は声になっていなかった。
キョトンとした顔をして、俺の事を見ていた。
「エル、その格好…」
「…っっ!?」
「似合っているよ」
ゼロは嬉しそうに笑っていて、俺はもうどうでも良くなった。
恥なんてもう捨てた、開き直らないと女装なんてしてられない。
それにせっかくゼロが買った服だ、女装とはいえ着たくないとは言いたくない。
ゼロが望むなら、女装でも何でもやってやる!
ゼロに後ろのファスナーを閉めてもらい、着る事が出来た。
スカートを少し摘んで見てみる、やっぱり凄い女の子っぽい服だ。
「エル、髪は…」
「……」
俺は服を試着しただけだから、髪まではそのままでいい。
そう言うと、ゼロは「これはこれでいいな」と言っていた。
なにがいいのかさっぱり分からない。
部屋に戻って脱いだ服を掴むとゼロは残念そうだった。
でも、ゼロの前で着替えるのは恥ずかしいな。
そう言って、背中のファスナーに手を伸ばした。
「またお願い出来ませんか?」と変に敬語の文章を書いて見せた。
ゼロは頷いて、背中に回って俺の腰に触れていた。
ただファスナーを下ろすだけなのに、腰を触る必要はあるのかな。
後ろにいるゼロの方を振り返ると、腰を引き寄せられた。
背中にゼロの体温を感じる、暖かくて…ドキドキ心臓が早い。
ゼロは耳元で「エル…」と俺の名前を囁いた。
ファスナーが下されるのが分かり、ゼロの指が背中をなぞっている。
ファスナーの隙間から、手を入れてきてビクッとした。
紙に文字を書こうとしたが、ゼロの手が下に行って太ももに触れてきた。
顔を赤くして、ゼロの腕を掴む事しか出来なかった。
そんな事されたら、この服を着る度に思い出してしまいそうだ。
首を横に振ると、ゼロは俺を熱い瞳で見つめてきた。
「脱がすだけだよ」
そう言って、太ももを撫でていてたまにかすれてくるのが堪らなくなる。
俺の下着も脱がされそうで、腹を撫でられて顔が赤くなる。
でも特に直接的な事はされず、そのまま手が離れていった。
俺一人で期待してしまって、恥ずかしかった。
誤魔化すようにゼロに慌てて「ありがとう」と紙に書いた。
文字が震えて汚くなってたけど、俺の動揺気付かれてない…よね?
特にゼロは何も言わず、急いでドレスを脱いだ。
自分で服の着脱が出来ないなんて、悲しい。
そして、やっと落ち着く寝間着に着替えて座った。
ゼロはとっくに寝たと思ってたみたいで、驚いていた。
風邪の時にいっぱい寝たからか、まだ眠くはない。
そうだ、ゼロにあの爆発の事聞かないと…もしかしたら義賊が絡んでるかもしれない。
ゼロに「さっき爆発なかった?」と聞くと、頷いていた。
「エル、どう?」
「もう大丈夫だよ」と紙に書いてゼロに見せた。
ゼロが世話をしてくれたから、すっかり熱も冷めた。
ゼロは俺を隠していると周りに知られないために、俺が風邪でも早く帰れなかった。
それを謝っていたけど、俺はゼロが頑張っている事を知っているから平気だよ。
それに、動けないほどだったのは最初だけだ。
それ以外はゼロの薬のおかげで、自分で料理を作ったりして食べていた。
寂しくないと言ったら嘘になるけど、でもゼロは俺のために頑張ってくれていたから、せめてゼロのために夕飯を作って待っていた。
ゼロに「寝てないとダメだろ」と怒られてしまった。
でも、おいしいと食べてくれるから嬉しい。
ゼロの冷たい手が俺の額に触れる。
「そうだね、もう大丈夫そうだ」
「……」
「騎士団が気になる?」
俺が、紙には書かず言いにくそうにゼロを見ると察してくれた。
ゼロの言葉に静かに頷く。
俺が居なくなって、ゼロにまで迷惑を掛けてないか心配だった。
それに、お世話になった人達に何も言っていない。
心配してると思うが、俺がここにいるのは言えない。
せめて、ノアの件を終わらせないと俺は自分の言葉で話せないし…筆談しても俺の疑いは晴れない。
「ヤマトは心配してたけど、知られるわけにはいかない…騎士団に義賊を利用する者がいないとは限らないからな」
「…っ!?」
「騎士団とはいえ、派閥があるからな…人間を迫害する者が人間を義賊もろとも排除しようとしているのかもな」
「……」
確かに騎士団と義賊は敵対関係がある、どちらが正しいわけではない……どちらもお互いを迫害している、だからゼロやヤマトのような中立が必要なんだ。
よく知らなかったけど、ノアに会いに行くならとゼロに義賊の事を教えてもらった。
ゼロは、未知なる力を持つ存在とずっと戦っていたんだ。
義賊はゼロを闇堕ちさせようとしている、俺が義賊になにかされる心配より俺はゼロに自分の心配をしてほしい。
ゼロは自分が狙われてるの、分かってないのかな?
俺は「ゼロも気を付けてね」と書くと、ゼロは笑って俺の頭を撫でていた。
「エルを傷付けた奴なんかに負けないよ」
そうゼロは言っているが、俺が言っているのはそういう事ではない。
俺が言っているの義賊はきっとゼロに勝てるとは思っていない。
いくら人工の魔法を作っても本物で、この国一番の魔法使いであるゼロに勝てるなんて誰も思わない。
だからきっと別の方法でゼロを手に入れる筈だ。
ゼロにその事を伝えると、少し考えてから「気をつけるよ」と言っていた。
ゼロがそう言っているなら、警戒してくれるだろう…俺もゼロを守るから…
「そうだ、エルに服を用意したんだ…義賊を探すならその格好だとすぐにバレるからね」
ゼロに言われて、自分の髪に触れた……確かにバレるか。
外に出るなら変装が一番だからね、ゼロが紙袋を持って俺に渡した。
なんだろう、変装といえば大きな帽子とかサングラスかな…この世界にサングラスはないけど…
緊急事態なのに、なんかちょっと楽しんでいたりする。
真剣にノアを探さなきゃ…と、気を引き締めて紙袋の中にある服を取り出した。
青色でヒラヒラしたレースが付いているドレス…?
「エルは青が一番似合うよ」
何処かで聞いた言葉を言っていて、ゼロをポカポカ叩く。
あれから反省してくれたと思ったのに、また女装しなきゃいけないのかよ!
ゼロは「理由があるんだ!聞いて!」と言っていたから、とりあえず聞いてみる事にした。
女装にちゃんとした理由があるなら聞こう。
ご丁寧に金髪のカツラも用意している理由もね!
下着はなかったから、それだけは唯一の救いだ。
「顔を隠した状態で、連れて歩くと流石に怪しまれる…顔を見たらすぐにバレる」
「……」
「だから性別から変えようと思った、エルが男だと認識してるから周りの目も誤魔化せる」
ゼロはそう言っているが、俺はゼロと一緒にいるだけでアウトだと思っている。
突然ゼロは俺だけど、女の子と一緒に居たら変だ…ずっとプレイボーイだったならまだしも、俺が知っている限りゼロに女性の影はなかった。
そう伝えるとゼロは「大丈夫、ちゃんとそこも考えてるから」と言っていた。
用意周到だからこそ、考えているのだろう。
でも、ずっと女装させようと考えていたわけではないよね…多分。
俺がこうなって変装するのも最近の事なんだし…
じゃあ俺が風邪で寝ている間になにかしたのかな。
ゼロは教えてくれないのか「化粧も薄くした方がいいね、俺に全部任せて」と言っていた。
俺はいろんな意味で不安だ、俺の平凡顔が怪物顔になる想像しか出来ない。
「今日は安静にしてね、俺も義賊の行きそうな場所…目撃証言を整理して明日にしよう」
ゼロに頷いて、今日は久々にゼロと二人で食事をした。
ゼロは休日だったからと、料理を作ってくれた。
兵舎に行く前の、子供の頃に戻ったようだ。
でも、あの時よりもゼロとの絆は硬く確かなものになった筈だ。
美味しいごはんを食べて、腹の中が満たされた。
ゼロの料理を久々に食べたが、美味しくなってる。
美味しかったという気持ちを込めて紙に書いた。
ゼロはその紙を大切に触れて、美しく微笑んでいた。
夜になって、窓の外を室内から眺めていた。
ゼロは夜も仕事だから今家の中にあるのは俺一人だけだ。
ベッドの上には、あの女装セットが入っている紙袋がある。
本番ですぐに着れるか不安だなぁ…だからってゼロに手伝ってもらうのは恥ずかしいな。
子供の頃は簡単に着れるものだから、一人でも着れた。
でも、あの服は見た限り着るのが難しそうだ。
女の子が着てたら可愛いのは分かるんだけど、俺はなぁ…
そう思いつつ、紙袋の中身を開けてドレスを取り出した。
寝間着を脱いで、ドレスをとりあえず着てみた。
着ることは出来たが、後ろのファスナーが全然届かない。
後ろに腕を回して一生懸命伸ばしてみたが、かすりもしない。
絶対にゼロに手伝ってもらわないといけないのか?いや、そんな事はない!俺はやるぞ!
ググッとしていたら、体重が後ろに向かってバランスを崩した。
転けてしまい、床に転がる事しか出来なかった。
腕が痛い、前のリボンもなにかに引っかかって解けてしまった。
リボンを直しながら、後ろのファスナーを閉めようと再び挑戦した。
ドレスを引っ張ってみても、やっぱり届かない。
窓の外になにかが光っているのが見えて、窓に近付く。
暗くて分からないが、なんだろうあれ……爆発!?
どうしよう、ゼロに連絡した方がいいのかと思ったが爆発はすぐに止んだ。
ゼロが外で見回りをしているなら、きっとこの爆発も気付いているだろう。
慌てなくても大丈夫だよね、そう思っていても落ち着きなく部屋をウロウロとする。
部屋を出て、玄関前までゼロを待っていたらドアが開いた。
用意していた「おかえりなさい!」と書かれた紙を見せた。
ゼロはただいまと言おうとしているのは分かっているが、その声は声になっていなかった。
キョトンとした顔をして、俺の事を見ていた。
「エル、その格好…」
「…っっ!?」
「似合っているよ」
ゼロは嬉しそうに笑っていて、俺はもうどうでも良くなった。
恥なんてもう捨てた、開き直らないと女装なんてしてられない。
それにせっかくゼロが買った服だ、女装とはいえ着たくないとは言いたくない。
ゼロが望むなら、女装でも何でもやってやる!
ゼロに後ろのファスナーを閉めてもらい、着る事が出来た。
スカートを少し摘んで見てみる、やっぱり凄い女の子っぽい服だ。
「エル、髪は…」
「……」
俺は服を試着しただけだから、髪まではそのままでいい。
そう言うと、ゼロは「これはこれでいいな」と言っていた。
なにがいいのかさっぱり分からない。
部屋に戻って脱いだ服を掴むとゼロは残念そうだった。
でも、ゼロの前で着替えるのは恥ずかしいな。
そう言って、背中のファスナーに手を伸ばした。
「またお願い出来ませんか?」と変に敬語の文章を書いて見せた。
ゼロは頷いて、背中に回って俺の腰に触れていた。
ただファスナーを下ろすだけなのに、腰を触る必要はあるのかな。
後ろにいるゼロの方を振り返ると、腰を引き寄せられた。
背中にゼロの体温を感じる、暖かくて…ドキドキ心臓が早い。
ゼロは耳元で「エル…」と俺の名前を囁いた。
ファスナーが下されるのが分かり、ゼロの指が背中をなぞっている。
ファスナーの隙間から、手を入れてきてビクッとした。
紙に文字を書こうとしたが、ゼロの手が下に行って太ももに触れてきた。
顔を赤くして、ゼロの腕を掴む事しか出来なかった。
そんな事されたら、この服を着る度に思い出してしまいそうだ。
首を横に振ると、ゼロは俺を熱い瞳で見つめてきた。
「脱がすだけだよ」
そう言って、太ももを撫でていてたまにかすれてくるのが堪らなくなる。
俺の下着も脱がされそうで、腹を撫でられて顔が赤くなる。
でも特に直接的な事はされず、そのまま手が離れていった。
俺一人で期待してしまって、恥ずかしかった。
誤魔化すようにゼロに慌てて「ありがとう」と紙に書いた。
文字が震えて汚くなってたけど、俺の動揺気付かれてない…よね?
特にゼロは何も言わず、急いでドレスを脱いだ。
自分で服の着脱が出来ないなんて、悲しい。
そして、やっと落ち着く寝間着に着替えて座った。
ゼロはとっくに寝たと思ってたみたいで、驚いていた。
風邪の時にいっぱい寝たからか、まだ眠くはない。
そうだ、ゼロにあの爆発の事聞かないと…もしかしたら義賊が絡んでるかもしれない。
ゼロに「さっき爆発なかった?」と聞くと、頷いていた。
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