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ゼロの弟
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男同士だから別に服を脱ぐくらい平気だ…恥ずかしいと思うと変な感じになるんだ。
俺はノアが心配そうに見つめる中、ボタンを外してシャツを脱いだ。
ズボンも脱いだところでナイトハルトは指を下に向けていた。
何の合図か分からなかったが、ため息を吐いたナイトハルトに「何処に刺青が隠れてるか分からないだろ、全部だ全部」と言われてさすがに驚いて固まった。
こ、こんなところで全裸…恥ずかしいとかそういう感情を越えていた。
疑いを晴らすためとはいえ、戸惑っていたらナイトハルトが近付いてきた。
「脱がないのなら今すぐ連行するが?」
「…っ」
連行なんてされたらゼロに迷惑が掛かるし、バレてはいけないんだ。
下着に手を掛けて一気に下ろした、少しの間だ…我慢すればいいんだ。
ナイトハルトに腕を上げられたり、体を触られたりしていた。
足を開かれた時は本気で嫌で、抵抗してしまい…ナイトハルトの顔面に蹴りを入れてしまった。
とっさに謝るがナイトハルトはちょっと眉を寄せただけですぐに連行とかされなくて良かった。
調べられただけなんだけど、何だか大切なものがなくなったような気がしながら服を着る。
「義賊集団ではないならお前は何者だ?」
「…だからゼロの弟ですって言ってるじゃないですか」
「本当か?なら今すぐ確認を…」
「わーわー!!ダメです!!」
こんなところでゼロに確認の連絡を入れられたら俺が脱いだ意味がなくなってしまう。
でもゼロの弟だという証拠、なにかあっただろうか。
そうだ、ゼロはダメだけどヤマトになら連絡しても大丈夫だ。
ヤマトならゼロに黙っててと言ったら黙ってくれるだろう。
俺はナイトハルトにヤマトが証人だと伝えると、早速ヤマトに連絡を取った。
副騎士団長なら文句ないだろう、ナイトハルトはヤマトに「不審者がいるから来てくれ」と言っていた。
疑われたままだけど、連絡の段階で俺の名前を伝えなくて良かった。
もしかしたらヤマトの隣にゼロがいるかもしれないしね。
「…お前、仮にゼロの弟として…仲が悪いのか?」
「え?そんな事ないですよ、ただ過保護な兄なので俺が義賊集団だと疑われたら心配してしまうので」
「……そうか」
ナイトハルトはゼロに思い当たる事でもあるのか納得していた。
ヤマトが来るまでの間、沈黙が気まずい空気を作っていた。
話題がない、どうしようか…無理に話す必要もないんだけど…空気が重い。
ナイトハルトがよそ見している時にノアがこっそりと俺の肩に乗っていた。
必死に俺に謝っていたから大丈夫だとノアの頭を撫でる。
しかし空気はそのままで全然良くなる気配がなかった。
『…どうかされたのですか?エル様』
「うーん、話す話題がなくて」
『ならば共通の話題はどうですか?兄の話とか』
ノアはそう提案してきて、ゼロの話題なら確かに良いかもしれないと思った。
しかし今のこの人が話してくれる気が一切しないんだけど…
置いていたぬいぐるみがなくなり、俺の肩に乗っていたからまだ疑いが晴れていないのに取ったのかと睨まれた。
早くヤマト来て!もう俺には耐えられそうもないよ!
『何故、兄はここに呼ばれたのですか?』という声が何処からか聞こえた。
俺でない、ふと肩に乗っているノアを見つめるとぬいぐるみのフリをしていた。
俺が辛そうだから代わりに質問してくれたのだろうか。
ゼロが呼ばれた理由、それは聞いている…ナイトハルトから強い腕の騎士を護衛にと言われたからだと言っていた。
「…お前、兄から聞いていないのか?」
「え、あ…強い騎士を用意しろと言われたからだって聞いています」
「……そうか、それを知ってて聞くとは…お前、もう一つの理由に感づいているのか?」
もう一つの理由?それだけが理由じゃなかったのか?
ゼロは教えてくれなかったけど、もう一つっていったい。
ナイトハルトは口が過ぎたと口元を押さえていたが、忘れてくれと言われても気になってしょうがない。
ノアも適当に質問したからか俺を見て首を傾げていた。
理由を聞こうとしたら「まだお前はゼロの弟だと証明されていないから、されたらな」と言った。
少し待っていたら、部屋のドアが叩かれてナイトハルトがドアを開けた。
「待っていたぞ、ヤマト」
「遅くなりました、それで不審者とは……あれ?」
「ごめんヤマト、忙しいのに」
ヤマトと目が合うと、慌てた様子でヤマトはナイトハルトに説明してくれた。
そこでやっと誤解が解けて、俺はヤマトに「兄様には内緒にしといて!」とお願いした。
ヤマトはゼロの事をよく分かっているから、頷いてくれた。
そういえばリリィってゼロとヤマトに朝食運んだんだよな。
今ヤマトがここにいるという事は二人きりなんじゃないのか?
ゼロとリリィが急接近したら、ゼロはメイン攻略キャラクターの一人だ…あり得ない話ではない。
「や、ヤマト…今兄様は何してるの?」
「…え、な…何って(言っていいのかな、弟くんの行動を魔導具で見てるって)」
ヤマトがわざとらしく誤魔化していて、やっぱりなにかあったんじゃないかと不安になる。
「リリィは?」と聞きたいような、聞きたくないような気持ちで聞くとヤマトは目を丸くして驚いていた。
その顔はどういう顔なんだ?リリィの事を何故知っているのか?という顔だろうか。
俺はあくまで偶然見つけた事を強調してヤマトに伝えた、ヤマトは「ふーん」と信じてるのか信じていないのか分からない返事をしていた。
ヤマトの話によると食事を運んだらすぐにリリィは部屋を出ていったそうだ。
会話は一言二言だけで、ゼロはお礼は言っていたが目線は仕事の報告書を見ていてリリィの顔は一切見ていないそうだ。
俺が心配している事は起きていなくてホッと一安心した。
「ヤマト、もう戻っていい」
「はい!あの、彼は…」
「彼とは話がある、心配するな」
ヤマトは話を聞きたそうにしていたが、ナイトハルトとほんの一瞬だけ目が合うとそそくさと逃げるように部屋から出ていった。
俺に話ってなんだろうと思って、ナイトハルトがこちらに近付いてくるのを見つめていた。
だから突然頭を綺麗な角度で下げられて驚いて椅子から立ち上がった。
「疑ってすまなかった」と静かな室内で響いて、どうしたらいいのか慌てた。
俺だって疑われる不審な事をしたから頭を下げないでほしいとナイトハルトに訴える。
チラッと俺を見てから、顔を上げたから一安心した。
「全裸にしてしまったお詫びとしては足りないと思うが、さっきのもう一つの理由について話そう」
「…っ、俺…男だから平気、です」
「そうか、その歳で強いな…でも話は聞いてくれ」
ゼロから聞いたのでなく、ゼロ達が呼ばれた本当の理由…
ナイトハルトは昨日ゼロ達に話したばかりだと言って俺にも教えてくれた。
この船に義賊集団が紛れ込んでいるという情報がナイトハルトのところにやってきたそうだ。
どうやら命を狙われているらしく、義賊集団について情報を度々聞かされていて…騎士の中で一番義賊集団について知ってるであろうゼロ達を護衛に呼んだそうだ。
ノアが『船の中で戦いになったらどうするんでしょうか』と言っていた。
確かに戦いになったらどんなに頑丈な船でも、穴が空いたら沈みそうだ。
ノアの疑問を代弁してナイトハルトに言うと「それは大丈夫だ」と言っていた。
俺はノアが心配そうに見つめる中、ボタンを外してシャツを脱いだ。
ズボンも脱いだところでナイトハルトは指を下に向けていた。
何の合図か分からなかったが、ため息を吐いたナイトハルトに「何処に刺青が隠れてるか分からないだろ、全部だ全部」と言われてさすがに驚いて固まった。
こ、こんなところで全裸…恥ずかしいとかそういう感情を越えていた。
疑いを晴らすためとはいえ、戸惑っていたらナイトハルトが近付いてきた。
「脱がないのなら今すぐ連行するが?」
「…っ」
連行なんてされたらゼロに迷惑が掛かるし、バレてはいけないんだ。
下着に手を掛けて一気に下ろした、少しの間だ…我慢すればいいんだ。
ナイトハルトに腕を上げられたり、体を触られたりしていた。
足を開かれた時は本気で嫌で、抵抗してしまい…ナイトハルトの顔面に蹴りを入れてしまった。
とっさに謝るがナイトハルトはちょっと眉を寄せただけですぐに連行とかされなくて良かった。
調べられただけなんだけど、何だか大切なものがなくなったような気がしながら服を着る。
「義賊集団ではないならお前は何者だ?」
「…だからゼロの弟ですって言ってるじゃないですか」
「本当か?なら今すぐ確認を…」
「わーわー!!ダメです!!」
こんなところでゼロに確認の連絡を入れられたら俺が脱いだ意味がなくなってしまう。
でもゼロの弟だという証拠、なにかあっただろうか。
そうだ、ゼロはダメだけどヤマトになら連絡しても大丈夫だ。
ヤマトならゼロに黙っててと言ったら黙ってくれるだろう。
俺はナイトハルトにヤマトが証人だと伝えると、早速ヤマトに連絡を取った。
副騎士団長なら文句ないだろう、ナイトハルトはヤマトに「不審者がいるから来てくれ」と言っていた。
疑われたままだけど、連絡の段階で俺の名前を伝えなくて良かった。
もしかしたらヤマトの隣にゼロがいるかもしれないしね。
「…お前、仮にゼロの弟として…仲が悪いのか?」
「え?そんな事ないですよ、ただ過保護な兄なので俺が義賊集団だと疑われたら心配してしまうので」
「……そうか」
ナイトハルトはゼロに思い当たる事でもあるのか納得していた。
ヤマトが来るまでの間、沈黙が気まずい空気を作っていた。
話題がない、どうしようか…無理に話す必要もないんだけど…空気が重い。
ナイトハルトがよそ見している時にノアがこっそりと俺の肩に乗っていた。
必死に俺に謝っていたから大丈夫だとノアの頭を撫でる。
しかし空気はそのままで全然良くなる気配がなかった。
『…どうかされたのですか?エル様』
「うーん、話す話題がなくて」
『ならば共通の話題はどうですか?兄の話とか』
ノアはそう提案してきて、ゼロの話題なら確かに良いかもしれないと思った。
しかし今のこの人が話してくれる気が一切しないんだけど…
置いていたぬいぐるみがなくなり、俺の肩に乗っていたからまだ疑いが晴れていないのに取ったのかと睨まれた。
早くヤマト来て!もう俺には耐えられそうもないよ!
『何故、兄はここに呼ばれたのですか?』という声が何処からか聞こえた。
俺でない、ふと肩に乗っているノアを見つめるとぬいぐるみのフリをしていた。
俺が辛そうだから代わりに質問してくれたのだろうか。
ゼロが呼ばれた理由、それは聞いている…ナイトハルトから強い腕の騎士を護衛にと言われたからだと言っていた。
「…お前、兄から聞いていないのか?」
「え、あ…強い騎士を用意しろと言われたからだって聞いています」
「……そうか、それを知ってて聞くとは…お前、もう一つの理由に感づいているのか?」
もう一つの理由?それだけが理由じゃなかったのか?
ゼロは教えてくれなかったけど、もう一つっていったい。
ナイトハルトは口が過ぎたと口元を押さえていたが、忘れてくれと言われても気になってしょうがない。
ノアも適当に質問したからか俺を見て首を傾げていた。
理由を聞こうとしたら「まだお前はゼロの弟だと証明されていないから、されたらな」と言った。
少し待っていたら、部屋のドアが叩かれてナイトハルトがドアを開けた。
「待っていたぞ、ヤマト」
「遅くなりました、それで不審者とは……あれ?」
「ごめんヤマト、忙しいのに」
ヤマトと目が合うと、慌てた様子でヤマトはナイトハルトに説明してくれた。
そこでやっと誤解が解けて、俺はヤマトに「兄様には内緒にしといて!」とお願いした。
ヤマトはゼロの事をよく分かっているから、頷いてくれた。
そういえばリリィってゼロとヤマトに朝食運んだんだよな。
今ヤマトがここにいるという事は二人きりなんじゃないのか?
ゼロとリリィが急接近したら、ゼロはメイン攻略キャラクターの一人だ…あり得ない話ではない。
「や、ヤマト…今兄様は何してるの?」
「…え、な…何って(言っていいのかな、弟くんの行動を魔導具で見てるって)」
ヤマトがわざとらしく誤魔化していて、やっぱりなにかあったんじゃないかと不安になる。
「リリィは?」と聞きたいような、聞きたくないような気持ちで聞くとヤマトは目を丸くして驚いていた。
その顔はどういう顔なんだ?リリィの事を何故知っているのか?という顔だろうか。
俺はあくまで偶然見つけた事を強調してヤマトに伝えた、ヤマトは「ふーん」と信じてるのか信じていないのか分からない返事をしていた。
ヤマトの話によると食事を運んだらすぐにリリィは部屋を出ていったそうだ。
会話は一言二言だけで、ゼロはお礼は言っていたが目線は仕事の報告書を見ていてリリィの顔は一切見ていないそうだ。
俺が心配している事は起きていなくてホッと一安心した。
「ヤマト、もう戻っていい」
「はい!あの、彼は…」
「彼とは話がある、心配するな」
ヤマトは話を聞きたそうにしていたが、ナイトハルトとほんの一瞬だけ目が合うとそそくさと逃げるように部屋から出ていった。
俺に話ってなんだろうと思って、ナイトハルトがこちらに近付いてくるのを見つめていた。
だから突然頭を綺麗な角度で下げられて驚いて椅子から立ち上がった。
「疑ってすまなかった」と静かな室内で響いて、どうしたらいいのか慌てた。
俺だって疑われる不審な事をしたから頭を下げないでほしいとナイトハルトに訴える。
チラッと俺を見てから、顔を上げたから一安心した。
「全裸にしてしまったお詫びとしては足りないと思うが、さっきのもう一つの理由について話そう」
「…っ、俺…男だから平気、です」
「そうか、その歳で強いな…でも話は聞いてくれ」
ゼロから聞いたのでなく、ゼロ達が呼ばれた本当の理由…
ナイトハルトは昨日ゼロ達に話したばかりだと言って俺にも教えてくれた。
この船に義賊集団が紛れ込んでいるという情報がナイトハルトのところにやってきたそうだ。
どうやら命を狙われているらしく、義賊集団について情報を度々聞かされていて…騎士の中で一番義賊集団について知ってるであろうゼロ達を護衛に呼んだそうだ。
ノアが『船の中で戦いになったらどうするんでしょうか』と言っていた。
確かに戦いになったらどんなに頑丈な船でも、穴が空いたら沈みそうだ。
ノアの疑問を代弁してナイトハルトに言うと「それは大丈夫だ」と言っていた。
応援ありがとうございます!
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