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一人と一匹?
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※※※
いつもは鳥の囀りを聞きながら目を覚ますが、今日は違った。
「うーうー」という苦しげな唸り声を聞いて、パチッと目を開けた。
隣を見るとゼロは規則正しい寝息を立てている。
ゼロではないとするといったい誰の声だろう。
ゼロを起こさないようにベッドから出て、寝室のドアを開ける。
すると声がより大きく聞こえて周りを見ると、ベランダに揺れる昨日よりふっくらしたノアの姿があった。
慌ててベランダを開けてノアを救出した。
耳を洗濯バサミで摘ままれていたから大丈夫だろうかと耳に触れる。
「ノア、ごめんね…」
『…エル様』
ノアの方を見ると、何故かまた鼻血を出していた。
なにかの病気なのかと慌てているとノアは『私は平気です』と、全く平気じゃない量の血を流しながら言っていた。
昨日なにかあったんだとノアに聞いただけなのにまた大量に血を出していた。
『エル様は無垢なお顔で大胆な方なのですね』と言われて、一瞬よく分からなかったが…まさか昨日ゼロとした事がバレたのか!?
急に恥ずかしくなり顔を赤くしていたら、顔の横から手が出て来てノアの顔を掴まれた。
いつの間にか起きていたゼロはノアを連れて風呂場に向かった。
寝起きだったからか怒っているように見えて呆然と立ち尽くしていたが、ノアの悲鳴が風呂場に響いてきて驚いて風呂場に向かった。
しかし何故か凍っていて開けられなかった。
そしてしばらく出てきた時には、ノアはキラキラ光る氷の彫刻になっていた。
ノアの氷が溶けたのは半日が経った後だった。
『なるほど、ここがエル様の学校ですか』
「……う、ん…そうだよ」
通学カバンから顔を出したノアが学校の校舎を眺めていた。
俺をどんな悪からも守って見せると目を輝かしながらカバンの中に入って一緒にやってきた。
普段なら俺が歩いていても誰も気にも止めずに歩いているのに、すれ違う度に俺の方を振り返っている。
一人か二人なら気にせずにいられたが、何人もだとさすがに恥ずかしくなる。
ノアは人が通ると口を閉ざすから喋っている事が原因ではない。
ぬいぐるみをカバンに入れて学校に向かっている俺が痛い奴に見えるんだろう。
「ノア、悪いんだけどちょっと引っ込んでて」
『…はい』
ノアがカバンの中に入り、やっと目線がなくなり少し早足で校舎の中に入っていった。
そして教室に向かう途中、知った顔が廊下の端で固まって話しているのが見えて足を止めた。
その男達は俺を騙して、きっと密売集団に売ったのだろう。
チャラ男が最初、俺に気付いて驚いた顔をして話していたもう一人の小柄な少年も気付いて顔を青くしていた。
俺が無事だったの知らなかったようで、俺になにか仕返しされるのではないのかと警戒している。
俺は教室に入る前に彼らを見つめて、一言言いたかった事を言った。
「君がいじめられてなくて良かったよ」
教室のドアを開けて中に入り、自分の机にカバンを置いた。
俺を売った事は許していないが、だからといってなにか俺に出来るわけじゃない。
それより人間がいじめられているわけじゃなくて良かった、それだけだ。
カバンから教科書などを取り出してノアをどうするかちょっと考えて、ずっとカバンの中は可哀想だから出した。
どうせ俺に友達なんていないし、周りにどう思われてももういいかな…と吹っ切れた。
ノアに見られていた事以外はいつもと変わらない授業を受けて、昼休み用意したお弁当を開いた。
ノアがいるだけでいつも寂しい昼休みが楽しく思えた。
「ノアは何食べるの?」
『私は僕なので、主と同じものを口には出来ません』
「食べれないの?」
『…いえ、そういうわけでは』
僕っていろいろ大変なんだな、でもノアに俺が作った料理食べてほしいな。
いつもは鳥の囀りを聞きながら目を覚ますが、今日は違った。
「うーうー」という苦しげな唸り声を聞いて、パチッと目を開けた。
隣を見るとゼロは規則正しい寝息を立てている。
ゼロではないとするといったい誰の声だろう。
ゼロを起こさないようにベッドから出て、寝室のドアを開ける。
すると声がより大きく聞こえて周りを見ると、ベランダに揺れる昨日よりふっくらしたノアの姿があった。
慌ててベランダを開けてノアを救出した。
耳を洗濯バサミで摘ままれていたから大丈夫だろうかと耳に触れる。
「ノア、ごめんね…」
『…エル様』
ノアの方を見ると、何故かまた鼻血を出していた。
なにかの病気なのかと慌てているとノアは『私は平気です』と、全く平気じゃない量の血を流しながら言っていた。
昨日なにかあったんだとノアに聞いただけなのにまた大量に血を出していた。
『エル様は無垢なお顔で大胆な方なのですね』と言われて、一瞬よく分からなかったが…まさか昨日ゼロとした事がバレたのか!?
急に恥ずかしくなり顔を赤くしていたら、顔の横から手が出て来てノアの顔を掴まれた。
いつの間にか起きていたゼロはノアを連れて風呂場に向かった。
寝起きだったからか怒っているように見えて呆然と立ち尽くしていたが、ノアの悲鳴が風呂場に響いてきて驚いて風呂場に向かった。
しかし何故か凍っていて開けられなかった。
そしてしばらく出てきた時には、ノアはキラキラ光る氷の彫刻になっていた。
ノアの氷が溶けたのは半日が経った後だった。
『なるほど、ここがエル様の学校ですか』
「……う、ん…そうだよ」
通学カバンから顔を出したノアが学校の校舎を眺めていた。
俺をどんな悪からも守って見せると目を輝かしながらカバンの中に入って一緒にやってきた。
普段なら俺が歩いていても誰も気にも止めずに歩いているのに、すれ違う度に俺の方を振り返っている。
一人か二人なら気にせずにいられたが、何人もだとさすがに恥ずかしくなる。
ノアは人が通ると口を閉ざすから喋っている事が原因ではない。
ぬいぐるみをカバンに入れて学校に向かっている俺が痛い奴に見えるんだろう。
「ノア、悪いんだけどちょっと引っ込んでて」
『…はい』
ノアがカバンの中に入り、やっと目線がなくなり少し早足で校舎の中に入っていった。
そして教室に向かう途中、知った顔が廊下の端で固まって話しているのが見えて足を止めた。
その男達は俺を騙して、きっと密売集団に売ったのだろう。
チャラ男が最初、俺に気付いて驚いた顔をして話していたもう一人の小柄な少年も気付いて顔を青くしていた。
俺が無事だったの知らなかったようで、俺になにか仕返しされるのではないのかと警戒している。
俺は教室に入る前に彼らを見つめて、一言言いたかった事を言った。
「君がいじめられてなくて良かったよ」
教室のドアを開けて中に入り、自分の机にカバンを置いた。
俺を売った事は許していないが、だからといってなにか俺に出来るわけじゃない。
それより人間がいじめられているわけじゃなくて良かった、それだけだ。
カバンから教科書などを取り出してノアをどうするかちょっと考えて、ずっとカバンの中は可哀想だから出した。
どうせ俺に友達なんていないし、周りにどう思われてももういいかな…と吹っ切れた。
ノアに見られていた事以外はいつもと変わらない授業を受けて、昼休み用意したお弁当を開いた。
ノアがいるだけでいつも寂しい昼休みが楽しく思えた。
「ノアは何食べるの?」
『私は僕なので、主と同じものを口には出来ません』
「食べれないの?」
『…いえ、そういうわけでは』
僕っていろいろ大変なんだな、でもノアに俺が作った料理食べてほしいな。
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