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帰還
ドレスのセンス
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パパパパーン。
パパパパーン。
パパパバ、パパパパ、パパパパ、パパパパッパッパーン……。
会場では聞いたことのない曲が流れています。
どうせリブレさんの差し金でしょうが、国の音楽隊まで動員することでしょうか。
なんなら私もプリンセちゃんもランガルに所属しているとは言い難いんですけど。
「この衣装も何なのかわからないですし……」
「……綺麗だねー」
私とプリンセちゃんが身に付けているのは、純白のドレス。
リブレさんの言うとおりに城に向かったらルーリアさんの部屋に連れていかれてあれよあれよという間にこの格好でした。
プリンセちゃんの言うとおり、綺麗なんですけどなんの衣装なんでしょう。
天幕の外を覗けば、かつて2人に求婚した人がすしずめ状態で並んでいる。
それも、リブレが噂を流して来るように仕向けた者たちだけでなく、一度でも求婚したことがある者はほぼ全員来ているだろう。
「よく恥ずかしくないですよね……」
「……それが、貴族社会……!」
レインは自分なら振られた人の前に顔を出せないという考えから、そんなことを漏らす。
実際、そういう考え方をしているからリブレへの告白もかなりもったいぶっていたと言えるだろう。
その点、プリンセは根っからの姫である。
考え方はよりドライだが、政略結婚を易々と受け入れるようなたまでもない。
「よくぞ参られた、各々がた。この場を用意した、わしから挨拶させてもらうとしよう」
2人が未だに困惑に包まれているなか、会場の方ではエルランド王による挨拶が始まったのであった。
「まず、聞きたい」
王の言葉を食い入るように聞く候補者たち。
「なぜ、彼女らと結婚したいのかを」
「政略結婚。それもよしじゃ。わしとて理解できる。レイン嬢はいまや序列31位の二つ名持ちじゃ。結婚することによって受けられる恩恵ははかり知れんし、ゆくゆく子供を授かった際には才能に溢れておるかもしれんの。プリンセ嬢は言わずもがな、同盟国であるドルガバの虎族の姫じゃ。結婚すれば多少のしこりはあるかもしれんとはいえ、時期族長の目もあるじゃろう」
「もしくは一目惚れやら、恋愛感情の類いじゃな。これはもっと簡単じゃ。自らが惚れた相手と結婚する。これ以上の幸せがあるじゃろうか」
静かに話続ける王様の話を遮るような者はいない。
なぜこんな話をしているかを、必死に考えているからだ。
「2人の、登場じゃ」
場に流れている曲が一層大きくなり、奥から主役2人が現れる。
「おおおお……!」
「美しい……!」
王様の話中にも出なかった声が、溢れる。
レインは、その肌の白さを生かしたシースルー生地をふんだんに散りばめた露出はないものの、透明感溢れる衣装。
プリンセは既に発達しているが未だ発展途上である胸を強調するかのような衣装。
しかし低俗な下心を煽るようなものではなく、その姿はあくまで清廉なままである。
そして、2人の頭には顔を覆い隠すヴェール。
ルーリアにデザインは一任していたが、正解だったな。
さぁ、ここからは、俺の時間だ。
パパパパーン。
パパパバ、パパパパ、パパパパ、パパパパッパッパーン……。
会場では聞いたことのない曲が流れています。
どうせリブレさんの差し金でしょうが、国の音楽隊まで動員することでしょうか。
なんなら私もプリンセちゃんもランガルに所属しているとは言い難いんですけど。
「この衣装も何なのかわからないですし……」
「……綺麗だねー」
私とプリンセちゃんが身に付けているのは、純白のドレス。
リブレさんの言うとおりに城に向かったらルーリアさんの部屋に連れていかれてあれよあれよという間にこの格好でした。
プリンセちゃんの言うとおり、綺麗なんですけどなんの衣装なんでしょう。
天幕の外を覗けば、かつて2人に求婚した人がすしずめ状態で並んでいる。
それも、リブレが噂を流して来るように仕向けた者たちだけでなく、一度でも求婚したことがある者はほぼ全員来ているだろう。
「よく恥ずかしくないですよね……」
「……それが、貴族社会……!」
レインは自分なら振られた人の前に顔を出せないという考えから、そんなことを漏らす。
実際、そういう考え方をしているからリブレへの告白もかなりもったいぶっていたと言えるだろう。
その点、プリンセは根っからの姫である。
考え方はよりドライだが、政略結婚を易々と受け入れるようなたまでもない。
「よくぞ参られた、各々がた。この場を用意した、わしから挨拶させてもらうとしよう」
2人が未だに困惑に包まれているなか、会場の方ではエルランド王による挨拶が始まったのであった。
「まず、聞きたい」
王の言葉を食い入るように聞く候補者たち。
「なぜ、彼女らと結婚したいのかを」
「政略結婚。それもよしじゃ。わしとて理解できる。レイン嬢はいまや序列31位の二つ名持ちじゃ。結婚することによって受けられる恩恵ははかり知れんし、ゆくゆく子供を授かった際には才能に溢れておるかもしれんの。プリンセ嬢は言わずもがな、同盟国であるドルガバの虎族の姫じゃ。結婚すれば多少のしこりはあるかもしれんとはいえ、時期族長の目もあるじゃろう」
「もしくは一目惚れやら、恋愛感情の類いじゃな。これはもっと簡単じゃ。自らが惚れた相手と結婚する。これ以上の幸せがあるじゃろうか」
静かに話続ける王様の話を遮るような者はいない。
なぜこんな話をしているかを、必死に考えているからだ。
「2人の、登場じゃ」
場に流れている曲が一層大きくなり、奥から主役2人が現れる。
「おおおお……!」
「美しい……!」
王様の話中にも出なかった声が、溢れる。
レインは、その肌の白さを生かしたシースルー生地をふんだんに散りばめた露出はないものの、透明感溢れる衣装。
プリンセは既に発達しているが未だ発展途上である胸を強調するかのような衣装。
しかし低俗な下心を煽るようなものではなく、その姿はあくまで清廉なままである。
そして、2人の頭には顔を覆い隠すヴェール。
ルーリアにデザインは一任していたが、正解だったな。
さぁ、ここからは、俺の時間だ。
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