戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
551 / 566
魔界繁栄

敵にもランクがある

しおりを挟む
「みな、いいか。今日は決行の日である。我らの訪問を無下にした報いを、受けさせねばならん」
「「おお!」」
「で、でもお兄ちゃん。無関係な人まで巻き込むのは……」
「黙れっ!」

 ビクッ!

 妹は兄の一喝に身を震わせる。

「庇護下にありながら無関係だとは通らないだろう! 何より、我らにとって決闘、そしてそれをするための行為は最優先される。違うか!?」
「それは、そうだけど……」
「ならば、これも正当な行為であることは自明である!」

 というやり取りを大声で行っているのである。
 孤児院からは距離もあるのでそこに声は届かないという判断なのだろうが、それにしても大声でする話ではない。
 俺が聞いてるのは空中からで、気にかけないだろうというのは差し引いても不用心である。


「どうも不穏な話をされているようですね」
「何者!?」

 襲撃に備えて盛っていた(?)彼らはメイドたちの接近にも気づかない。

「私たちとしては、そのような話を許すわけにはいかないのですよ」
「どこの手の者だ!?」
「どこの、と言われましてもリブレ様の従者のものです。あなた方ごときにご主人様のお手を煩わせるわけにもいきませんから、代わりに相手をさせていただきます」

 おいおい、煽りすぎだろ。

 相手のこめかみぴくぴくしてるぞ。

「主のメイドはあんなに好戦的じゃったかの?」
「俺も今びっくりしてる」

 メイドたちは俺に敵対する相手に容赦がないからな。
 今回は俺に迷惑をかけようとしているという点が逆鱗に触れているのだろう。

「相手をしてやるのは構わんが、貴殿らも麗しい女性方。負けたらどうなるのかはわかっているのであろうな?」

 結局そっち下ネタなんかい。

「まぁ、負けたら負けたでその時です。それより、いつ私たちが3人だけだと?」

 アンがそう言い放ち、わらわらと周りから増援が出てくる。
 ただし、子供たち。
 最初は数に驚いた様子だった兄も相手が子供なのを見てうすら笑いを浮かべる。
 なんかこの感じを見てる限り、最初の愚直な熱血漢と言うよりはかなり狡い考え方をしてるように感じるな。
 敵役としても3流というか少年漫画にいてもヘイトを買うだけで人気は出そうにない。
 そう考えると人気のある敵役って凄いよな。
 何なら作者のセンスが最も問われるかもしれない。

「は! 数だけ揃えたって戦いってのは勝てないもんなんだぜ、姉ちゃんたち」

 それにしても舐め過ぎではあるが。
 わざわざこっちは準備して本拠地の人数揃っているところに乗り込んできているんだぞ。
 それも特別こちらが追い込まれているわけでもない。
 そりゃもうこちらが主導権を握っている。

 バランスよくアン、ドゥ、トロワが120度ずつで囲んでいる状況だが、さあここからどうするのかな。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~

夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。 「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。 だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。 時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。 そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。 全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。 *小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】引きこもり魔公爵は、召喚おひとり娘を手放せない!

文野さと@ぷんにゃご
恋愛
身寄りがなく、高卒で苦労しながらヘルパーをしていた美玲(みれい)は、ある日、倉庫の整理をしていたところ、誰かに呼ばれて異世界へ召喚されてしまった。 目が覚めた時に見たものは、絶世の美男、リュストレー。しかし、彼は偏屈、生活能力皆無、人間嫌いの引きこもり。 苦労人ゆえに、現実主義者の美玲は、元王太子のリュストレーに前向きになって、自分を現代日本へ返してもらおうとするが、彼には何か隠し事があるようで・・・。 正反対の二人。微妙に噛み合わない関わりの中から生まれるものは? 全39話。

受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。 過労により死んでしまった。 ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!? とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。 前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。 そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。 貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。 平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!? 努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました! 前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。 是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします! 話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!

【取り下げ予定】愛されない妃ですので。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。 国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。 「僕はきみを愛していない」 はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。 『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。 (ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?) そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。 しかも、別の人間になっている? なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。 *年齢制限を18→15に変更しました。

処理中です...