戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
545 / 566
魔界繁栄

妹に心配される兄

しおりを挟む
「たのもう!」
「……次はなんだ……?」

 翌日、また同じような訪問者が現れる。
 違う点は、明らかに野太く男の声だった昨日に対して本日は明らかに女性の声である。
 さらに言えば、明らかに幼い。
 感覚的には14歳くらいではないか?
 いや、こっちにおける年齢で言えばどうなのかはわからんが。

「我が兄の決闘の申し込みを無下にするとは何という事か! 兄の名誉回復のため、この私が決闘を申し込む!」

 いや、まじで何言ってんの?
 そもそも決闘をしないって言ってはないけど態度に出して無視してんのに、それに怒ったから決闘しろって言ってることめちゃくちゃじゃないか?

「どういたしましょう」
「ほっとけ」
「しかし、それではご主人様の身動きが……」
「とれなくても何とかなるだろ。頼りにしてるぞ」
「お任せください」

 俺がお願いすると張り切りすぎる節はあるが、ちゃんと成果を残してくれるメイドたちだから、信頼している。

「リオンも、一応見張っておいてくれるか」
「任せてよー。どうせ、ちょっと危なくなったら助けるつもりなんでしょー?」

 こういう時に物語の主人公は楽観視して誰かがなんかされてから動き出すことの方が多いが、リオンに頼むことによってそれは限りなくゼロに近くなる。
 リオンに勝てるやつなんかまず存在しないし、互角のやつがいたとしても俺がつけばリオンが勝てるだろうからだ。
 俺が目的である以上、俺は下手に動かない方がいいのは確実だからな。

「こらー! あけろー!」
「で、宅配業務に関してなんだけど……」
「聞こえてるんだろー!」
「はい、アンリ様にも相談しましたところ、特に問題の方はないとのことでした」
「オッケー。予想通りだ。じゃあ、次は……」
「聞こえてるんだろー……? うぅ……」

 ここで大抵の人は「泣くなよ!」とか言って出ていってしまうのだろう。
 いや、俺は出ていかない。
 ここで試されるのは鋼の忍耐力。
 というか、俺からすれば仮に女の子であっても普通に知らない人なのでどうでもいい。

「オーシリアは俺についててくれ。なんかあったらすぐに移動するぞ」
「了解じゃ」
「このままじゃ兄が悪いことしちゃうよう……」

 妹に心配されるようなことしようとしてるのかあいつは……。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

処理中です...