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お留守番
166日目 凍傷
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「この水着は……?」
「リブレ殿が小さな女の子はこれが最善だと」
「確かに、肌色の面積は少ないんですけど……」
胸のあたりから腰のあたりまで全ておおわれているタイプの水着ですね。
普通にこれを考え付いていたのならそれでよかったのですが、リブレさんの提案だといわれるとちょっと疑わざるを得ないですね。
「プリンセちゃん、交代です」
「……ん。じゃあ、着替えてくるね」
いくら起きないといってもリブレさんを女性の更衣室にいれるわけにはいきませんから、交代で見張りをしています。
「お嬢さん、綺麗だね。エルフの方かい?」
獣人族の方たちにも声をかけられるんですね。
「ありがとうとは言っておきますが、それまでです。連れがいますので」
「あ? その変なのに座ってる奴か?」
ライオン族の男のうちの1人ががフードを被ったままのリブレの顔を見るためか、手を伸ばす。
「がっ……!?」
そんな狼藉をレインが見逃すわけもなく。
パキンッという音と共に男の手が凍る。
「気安く触らないでください」
レインにとっては自分に邪な目を向けられるのも耐え難い。
だが、リブレに失礼を働く奴はそれ以上に許しがたいのだ。
「お前たちは何をしている」
「ひ、姫様……!?」
そのスレンダーな体をスポーティーなビキニで包んだアミラと、小さな女児用水着を着たプリンセが折よく出てきた。
「こ、これは……」
「いい。どうせお前らがレイン殿かリブレ殿に失礼を働いたのだろう」
チラッと男の凍った手を見る。
「お前らでは相手にならないほどの方たちだと、わからない程耄碌してるのではあるまいな?」
必死に首を振る男たち。
「レイン殿、何があったのかはわからないが、あれを解いてやってくれ。このままでは凍傷になってしまう」
「……まだ謝罪がありませんけど」
レインはスッと流し目を男たちに向ける。
「「申し訳ありませんでした!」」
ライオン族の屈強な男たちがスク水姿のエルフの少女に頭を下げる姿は壮観である。
当然、周りからの視線も凄い。
「まぁ、いいでしょう」
凍った手はまた一瞬で解凍される。
開放された手をさする男。
「休みの日にはめをはずすなとはいわん。だが、他人に迷惑をかけるような行いが次に私の耳に届いた際にはそれなりの処遇を覚悟しておくことだな」
「「し、失礼いたします!!」」
脱兎のごとくという言葉が似合いすぎるような勢いで去っていった。
彼らも非番の中遊びに来ていたのだろうが、そんなことはお構いなしに帰ってしまった。
あのままここにいても恥の上塗りにしかならなかっただろうから、いい判断であったとも考えられる。
「うちの部下が失礼した」
「いえいえ」
慣れっこになりつつありますから。
あれだけなら大した手間でもありません。
「出オチとなってしまったが、どうか楽しんで欲しい」
そこには、水で滑る滑り台のようなものや、ちょっと高いところからプールに落ちるアトラクションなどがあった。
「リブレ殿が小さな女の子はこれが最善だと」
「確かに、肌色の面積は少ないんですけど……」
胸のあたりから腰のあたりまで全ておおわれているタイプの水着ですね。
普通にこれを考え付いていたのならそれでよかったのですが、リブレさんの提案だといわれるとちょっと疑わざるを得ないですね。
「プリンセちゃん、交代です」
「……ん。じゃあ、着替えてくるね」
いくら起きないといってもリブレさんを女性の更衣室にいれるわけにはいきませんから、交代で見張りをしています。
「お嬢さん、綺麗だね。エルフの方かい?」
獣人族の方たちにも声をかけられるんですね。
「ありがとうとは言っておきますが、それまでです。連れがいますので」
「あ? その変なのに座ってる奴か?」
ライオン族の男のうちの1人ががフードを被ったままのリブレの顔を見るためか、手を伸ばす。
「がっ……!?」
そんな狼藉をレインが見逃すわけもなく。
パキンッという音と共に男の手が凍る。
「気安く触らないでください」
レインにとっては自分に邪な目を向けられるのも耐え難い。
だが、リブレに失礼を働く奴はそれ以上に許しがたいのだ。
「お前たちは何をしている」
「ひ、姫様……!?」
そのスレンダーな体をスポーティーなビキニで包んだアミラと、小さな女児用水着を着たプリンセが折よく出てきた。
「こ、これは……」
「いい。どうせお前らがレイン殿かリブレ殿に失礼を働いたのだろう」
チラッと男の凍った手を見る。
「お前らでは相手にならないほどの方たちだと、わからない程耄碌してるのではあるまいな?」
必死に首を振る男たち。
「レイン殿、何があったのかはわからないが、あれを解いてやってくれ。このままでは凍傷になってしまう」
「……まだ謝罪がありませんけど」
レインはスッと流し目を男たちに向ける。
「「申し訳ありませんでした!」」
ライオン族の屈強な男たちがスク水姿のエルフの少女に頭を下げる姿は壮観である。
当然、周りからの視線も凄い。
「まぁ、いいでしょう」
凍った手はまた一瞬で解凍される。
開放された手をさする男。
「休みの日にはめをはずすなとはいわん。だが、他人に迷惑をかけるような行いが次に私の耳に届いた際にはそれなりの処遇を覚悟しておくことだな」
「「し、失礼いたします!!」」
脱兎のごとくという言葉が似合いすぎるような勢いで去っていった。
彼らも非番の中遊びに来ていたのだろうが、そんなことはお構いなしに帰ってしまった。
あのままここにいても恥の上塗りにしかならなかっただろうから、いい判断であったとも考えられる。
「うちの部下が失礼した」
「いえいえ」
慣れっこになりつつありますから。
あれだけなら大した手間でもありません。
「出オチとなってしまったが、どうか楽しんで欲しい」
そこには、水で滑る滑り台のようなものや、ちょっと高いところからプールに落ちるアトラクションなどがあった。
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