戦力より戦略。

haruhi8128

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魔界奔走

87日目 黒幕

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「緊急対策会議を開きます」

私が思い出してすぐ、プリンセちゃんを呼びました。
無論、備えるためです。

「考えすぎかもしれませんが、思い出したことがあるので共有しとこうかなと思います」

プリンセちゃんにリブレさんと会ってからの事のあらましを伝えます。
言っていて思いましたが、よくあの状況で皆さんはリブレさんの眼のことを信じましたね。
いや、信じていない人たちの方が多かったのですが、王様の受け入れ方が中々でした。
しかも、あの時点ではリブレさんは二つ名ダブル持ちではありませんから、二つ名による特殊技能という可能性もないですからね。
よほどご自身の見る目に自信があったのでしょう。

しかし、あの頃の王様は威厳の塊のような感じでしたが、いまやただの知り合いのちょっとえらいおじさんくらいのイメージになってしまっています。
それもこれもリブレさんの王様への対応に引っ張られてしまっているというのはありますが、お后様に威厳がありすぎるのも要因の一つのような気がします。
王様に反論できても、お后様にはできる気がしませんからね。
お后様は生まれながらの王族ではないというのが疑わしい限りの情報です。

とりあえず、プリンセちゃんに事のあらましを伝えましょうか。

「リブレさんと会ってからすぐの話なんですけど」
「……うん」

リブレさんは操られていたどっかの大臣さんを見破っていました。
あれがなければ、ランガルはドルガバとの戦争を待つことなく窮地に追いやられていたでしょう。

今思いましたが、実は私がリブレさんと出会ってからプリンセちゃんと会うまでにはあまり時間は経っていないんですよね。
リブレさんにとってランガルに来てから最初に行動を共にしたのが私だったというだけで。
つまり、油断はならないということです。

「……じゃあ、今はちょっとおかしな長にみんなが嫌々ついていっているってこと?」
「そうなるかもしれません。プリンセちゃんに声をかけてきたっていうエルフも煮え切らない態度だったんですよね?」
「……そうだね」

しかし、おかしいとは思っていても行動できないのがエルフの悪いとこですね。
明らかに私に対する執着の仕方はおかしいですし、私たちを倒す見通しもないでしょうに。
それでも長に従うというのは思考放棄に異なりません。

「ただ、得体の知れない相手だというのは間違いないですから、一応キラさんにも伝えておこうと思うのですが、どうでしょう?」
「……しょうがないよね。……キラさん、強いし……」

大抵のことは自分達で対処するつもりですが、保険としてキラさんに声をかけておくのは間違っていないでしょう。
頼めば助けてくれますしね。
まさか今回も正面から突っ込んでくるとは思えませんから、リブレさんにならって数個罠を用意しておくくらいのことはしてもいいかもですね。
しかし、リブレさんのように相手を貶める術に秀でてないですから、ちょっと難しいですね。
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