506 / 566
お留守番
87日目 警告
しおりを挟む
「で、今日は何の用です?」
今日もお客さんが来ました。
お客さんと言っていいのかわかりませんけど。
私が出たくないのでプリンセちゃんに出てもらいましたが、敵意はなさそうだからと連れてこられました。
「……忠告にきたんだ」
お察しの通りエルフの長の息子です。
「新手の脅しですか?」
「違う! 俺は、本当にお前のためを思って……」
「とりあえず、話だけは聞いてあげます。なんですか?」
一度落ちた信頼はそうそう戻ることはないのです。
まぁ、そもそもこの人を信頼したことなどありませんけど。
「……父上が全戦力をここに向けようとしている」
「またですか?」
懲りないですね。
というか、そこまでして私にこだわる理由があるようには思いませんが。
これで私を倒せたとして、私が従うわけがないですし。
プリンセちゃんもいるからドルガバとの関係も悪くなりますし。
あ、でもそういえば私が操られていた謎の手法があるんでしたっけ。
リブレさんの小太刀で解けたらしいですから魔法なのは間違いないと思うんですけど、少なくとも私はその魔法を知りません。
私がリブレさんを信用しきれなかったという弱みに付け込まれていたと言っても、二つ名持ちの私にかけるということはそれなりに強制力のある魔法のはずです。
「それほどまでに私の力が欲しいということですかね」
「罪滅ぼしになるとは思わない。だが、こうでもしないと俺の気が済まない」
「つまり、恩に着る必要はないと?」
「俺はリブレ、さんに恩を返しているだけだ。正直、俺も父上がなぜそこまでレインに」
「ん?」
「……レインさんに固執するのかはわからないんだ。もっと堅実なイメージだったが」
そう。
そこです。
私の記憶をたどっても長は堅実な方で、基本的には外敵など作りたがらない方です。
私を中途半端にでも使役していた時でさえ、大きな動きは見せなかったのですから。
しかし、ここ最近は自分から敵を作りに行っているかのように感じます。
まるで、何かにとりつかれたかのように。
……。
ちょっと待ってください。
前にそんな事例がなかったですっけ……?
「今日はそれだけだ。邪魔をして済まなかった」
長の息子はそれだけ言い残して帰っていきました。
本当に、リブレさんに悪いことをしたと思っているのでしょう。
ただ、今はどうでもいいです。
「あ!」
思い出しました!
リブレさんと会ってから最初の騒動です!
確か、王国の偉い人が何者かに操られていて、みたいな事件でした。
あの時、その誰かさんはいずれまた来るといった感じの捨て台詞を残していたような気がします。
となると、その本人かはともかく、操られている可能性が非常に高いですね。
しかし、私にはリブレさんみたいに都合のいい眼があるわけでもないですし。
どうしましょう?
今日もお客さんが来ました。
お客さんと言っていいのかわかりませんけど。
私が出たくないのでプリンセちゃんに出てもらいましたが、敵意はなさそうだからと連れてこられました。
「……忠告にきたんだ」
お察しの通りエルフの長の息子です。
「新手の脅しですか?」
「違う! 俺は、本当にお前のためを思って……」
「とりあえず、話だけは聞いてあげます。なんですか?」
一度落ちた信頼はそうそう戻ることはないのです。
まぁ、そもそもこの人を信頼したことなどありませんけど。
「……父上が全戦力をここに向けようとしている」
「またですか?」
懲りないですね。
というか、そこまでして私にこだわる理由があるようには思いませんが。
これで私を倒せたとして、私が従うわけがないですし。
プリンセちゃんもいるからドルガバとの関係も悪くなりますし。
あ、でもそういえば私が操られていた謎の手法があるんでしたっけ。
リブレさんの小太刀で解けたらしいですから魔法なのは間違いないと思うんですけど、少なくとも私はその魔法を知りません。
私がリブレさんを信用しきれなかったという弱みに付け込まれていたと言っても、二つ名持ちの私にかけるということはそれなりに強制力のある魔法のはずです。
「それほどまでに私の力が欲しいということですかね」
「罪滅ぼしになるとは思わない。だが、こうでもしないと俺の気が済まない」
「つまり、恩に着る必要はないと?」
「俺はリブレ、さんに恩を返しているだけだ。正直、俺も父上がなぜそこまでレインに」
「ん?」
「……レインさんに固執するのかはわからないんだ。もっと堅実なイメージだったが」
そう。
そこです。
私の記憶をたどっても長は堅実な方で、基本的には外敵など作りたがらない方です。
私を中途半端にでも使役していた時でさえ、大きな動きは見せなかったのですから。
しかし、ここ最近は自分から敵を作りに行っているかのように感じます。
まるで、何かにとりつかれたかのように。
……。
ちょっと待ってください。
前にそんな事例がなかったですっけ……?
「今日はそれだけだ。邪魔をして済まなかった」
長の息子はそれだけ言い残して帰っていきました。
本当に、リブレさんに悪いことをしたと思っているのでしょう。
ただ、今はどうでもいいです。
「あ!」
思い出しました!
リブレさんと会ってから最初の騒動です!
確か、王国の偉い人が何者かに操られていて、みたいな事件でした。
あの時、その誰かさんはいずれまた来るといった感じの捨て台詞を残していたような気がします。
となると、その本人かはともかく、操られている可能性が非常に高いですね。
しかし、私にはリブレさんみたいに都合のいい眼があるわけでもないですし。
どうしましょう?
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。


加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。


元ゲーマーのオタクが悪役令嬢? ごめん、そのゲーム全然知らない。とりま異世界ライフは普通に楽しめそうなので、設定無視して自分らしく生きます
みなみ抄花
ファンタジー
前世で死んだ自分は、どうやらやったこともないゲームの悪役令嬢に転生させられたようです。
女子力皆無の私が令嬢なんてそもそもが無理だから、設定無視して自分らしく生きますね。
勝手に転生させたどっかの神さま、ヒロインいじめとか勇者とか物語の盛り上げ役とかほんっと心底どうでも良いんで、そんなことよりチート能力もっとよこしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる