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お留守番
43日目 見学
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「で、それが呼び出された内容とは思えないんですけど」
「ここからが本題じゃ。お主は上位二つ名じゃからその可能性もあると思ってな」
何の話でしょう?
「序列持ちの30位以内は通例として協会に顔を出しに行くようになっておるのじゃが」
「いきません」
そういう話でしたか。
今回ので私が30位以内に入るかもしれないからその時に駄々をこねられないようにと。
なら、最初から断るだけですけど。
「まぁ、待つのじゃ。二つ名持ちの中でも、更に序列持ちの中でも30位くらいにまた壁があるのじゃ。よって、そこまで到達した者を、簡単に放置しておれんという事なのじゃよ。ほれ、凶悪犯罪者が野放しになっておるなど、考えたくもないじゃろう?」
「いや、犯罪者じゃないので……」
言いたいことはわかります。
実力者を所属もはっきりさせずに放っておくのが不安を煽るというのは。
もしかしたら、その人が何かやっちゃったときにどこの責任にするかを決めるという意味合いもあるのかもしれませんが。
でも、そんなところまで行ってられません。
リブレさんのお世話がありますから。
リブレさんがどうとかではなく、私が動きたくないのです。
絶対行きません。
「じゃがほら、それ程ともなるとリブレを治す術を持っておる者もおるかもしれんしの……?」
「かもしれないだけじゃ動きません。いるのがはっきりしてから考えます。では」
くるっと踵を返してリブレさんを押して謁見の間を後にします。
「ほら、ダメじゃったじゃろ?」
「それでいいのです。私たちには、伝えたという事実が大切でしたからね。そのあたりはあの子もわかっていましたよ。少々リブレ殿に考え方が似てきていますがね」
「そう面白そうにするんじゃない。前より隙が遥かになくなっておったんじゃぞ。あれがもう1人とか、やってられないんじゃが……」
王様は自らの妻と言葉を交わした後、頭を抱えるのであった。
「プリンセちゃん、もう良かったんですか? もうちょっと長居してきても良かったんですよ?」
ふるふる。
「……今度、お母さんがおうちに来るから、いいの」
「え、うちに?」
こくり。
なんと。
要するに、ドルガバの族長の奥さんを迎えるわけですよね。
失礼がないようにしなきゃですね。
プリンセちゃんのお父さんにはリブレさんがこれでもかと言うほど失礼をかましちゃってますから、焼け石に水かもしれませんが。
「で、どこまで付いてくる気ですか?」
「……気付いていたのか」
家に近づいたくらいからエルフの長の息子がつけてきていました。
無視しても良かったですが、リブレさんに何かするつもりなら見過ごせません。
「……一言、謝りたくて」
「?」
「あの日、俺たち子どもは親の言いつけを破って見に行ったんだ。どうせ大してことないだろう、精々人間たちが右往左往するのを見てやろうって」
「……そんなことをしていたんですか」
呆れて物も言えません。
「で、感想は?」
「俺たちにどうこう出来るものではなかった。だから、あれに勝利したそいつには……」
「そいつ?」
「……リブレさんには敬意を払う。すまなかった。レインを諦めるのはまた別の話だが……」
「けっこうです。その言葉はまたリブレさんが起きたら言ってあげてください。では、これで」
今更過ぎますね。
しかし、あの女の子たちも一緒に見に行っていたんでしょう。
必要以上にリブレさんにべたべたしていた理由がわかりましたね。
「……レインちゃん、よく気づいたね」
「あら、プリンセちゃんはまだ気づいてなかったですか?」
「……匂いも来なかったし、遠かったから……」
確かに風下でしたね。
「この頃、常に周りに風魔法を使うようにしてるんですよ。不自然な空気の流れがあったらわかります」
「ここからが本題じゃ。お主は上位二つ名じゃからその可能性もあると思ってな」
何の話でしょう?
「序列持ちの30位以内は通例として協会に顔を出しに行くようになっておるのじゃが」
「いきません」
そういう話でしたか。
今回ので私が30位以内に入るかもしれないからその時に駄々をこねられないようにと。
なら、最初から断るだけですけど。
「まぁ、待つのじゃ。二つ名持ちの中でも、更に序列持ちの中でも30位くらいにまた壁があるのじゃ。よって、そこまで到達した者を、簡単に放置しておれんという事なのじゃよ。ほれ、凶悪犯罪者が野放しになっておるなど、考えたくもないじゃろう?」
「いや、犯罪者じゃないので……」
言いたいことはわかります。
実力者を所属もはっきりさせずに放っておくのが不安を煽るというのは。
もしかしたら、その人が何かやっちゃったときにどこの責任にするかを決めるという意味合いもあるのかもしれませんが。
でも、そんなところまで行ってられません。
リブレさんのお世話がありますから。
リブレさんがどうとかではなく、私が動きたくないのです。
絶対行きません。
「じゃがほら、それ程ともなるとリブレを治す術を持っておる者もおるかもしれんしの……?」
「かもしれないだけじゃ動きません。いるのがはっきりしてから考えます。では」
くるっと踵を返してリブレさんを押して謁見の間を後にします。
「ほら、ダメじゃったじゃろ?」
「それでいいのです。私たちには、伝えたという事実が大切でしたからね。そのあたりはあの子もわかっていましたよ。少々リブレ殿に考え方が似てきていますがね」
「そう面白そうにするんじゃない。前より隙が遥かになくなっておったんじゃぞ。あれがもう1人とか、やってられないんじゃが……」
王様は自らの妻と言葉を交わした後、頭を抱えるのであった。
「プリンセちゃん、もう良かったんですか? もうちょっと長居してきても良かったんですよ?」
ふるふる。
「……今度、お母さんがおうちに来るから、いいの」
「え、うちに?」
こくり。
なんと。
要するに、ドルガバの族長の奥さんを迎えるわけですよね。
失礼がないようにしなきゃですね。
プリンセちゃんのお父さんにはリブレさんがこれでもかと言うほど失礼をかましちゃってますから、焼け石に水かもしれませんが。
「で、どこまで付いてくる気ですか?」
「……気付いていたのか」
家に近づいたくらいからエルフの長の息子がつけてきていました。
無視しても良かったですが、リブレさんに何かするつもりなら見過ごせません。
「……一言、謝りたくて」
「?」
「あの日、俺たち子どもは親の言いつけを破って見に行ったんだ。どうせ大してことないだろう、精々人間たちが右往左往するのを見てやろうって」
「……そんなことをしていたんですか」
呆れて物も言えません。
「で、感想は?」
「俺たちにどうこう出来るものではなかった。だから、あれに勝利したそいつには……」
「そいつ?」
「……リブレさんには敬意を払う。すまなかった。レインを諦めるのはまた別の話だが……」
「けっこうです。その言葉はまたリブレさんが起きたら言ってあげてください。では、これで」
今更過ぎますね。
しかし、あの女の子たちも一緒に見に行っていたんでしょう。
必要以上にリブレさんにべたべたしていた理由がわかりましたね。
「……レインちゃん、よく気づいたね」
「あら、プリンセちゃんはまだ気づいてなかったですか?」
「……匂いも来なかったし、遠かったから……」
確かに風下でしたね。
「この頃、常に周りに風魔法を使うようにしてるんですよ。不自然な空気の流れがあったらわかります」
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