戦力より戦略。

haruhi8128

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魔界奔走

試作開始

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「さぁ、試作作りといこうか」
「何を作るのー?」
「ラーメンだ」

そう、俺が求めていたのはラーメン。
なにせ、今でこそ日本のものとしてのイメージが強いが、もとは中華文化の産物。
地球から引っ張ってこられて以降、食べれてないのだ。

そして、他国の人もラーメンを美味しいと食べていたことから、どんな食文化に対しても通用することが予想される。
更に、基本的な作り方はかなり簡単なのだ。
そりゃこだわればいくところまでいってしまうのだが、今回は俺が普通に美味いというクオリティでいいだろう。
この世界では初見のものなのだから、不味い訳でなければ話題性でもっていける。

さて、とりあえずはスープなんだけど。

「どうやるんだっけ?」

味噌ラーメンとか塩ラーメンとかは正直どうやっているかわからない。
どっかで読んだことがある気がするが、どうせ要所要所が思い出せずに終わってしまうだろう。

ならば、やはり豚骨か。


「ご主人様、もらって参りました」
「代金は?」
「いらないと言われましたが、言いつけ通り払ってきました」

この世界において、豚骨なんてものはゴミでしかない。
肉屋にいけば無料で貰えるであろうことは予想していた。
しかし、この事業が成功した場合、後から代金を要求されるかもしれない。
その場合に備えて、押し付けておいたのだ。

「それ、鍋にぶちこんでおいてくれ」
「ご主人様、こちらも終わりました」

2人で肉屋に行ってもらう間、もう1人には野菜の下処理を頼んでおいた。
この残る1人を巡って壮絶なじゃんけんが行われたのだが、些細なことである。

「よし、そいつらもぶちこんで煮るぞ」

どのくらい煮れば出汁が出るのかなどわからない。
ここからはただただ根気である。
灰汁をとりながら煮込む。
水分が減ったら足して、更に煮込む。
適宜交代しながら、火を絶やさない。

「どうだ?」
「このくらいが限界なのではないかと……」

そうして出来上がった試作品第一号。

「いかがでしょうか?」
「不味くはないけど……」

多少知識があるため、最初でも失敗とはならなかった。
しかし、これでは肉の臭みが強く、また来てもらうことには繋がらないだろう。

「アン、トロワ。野菜をもっと買い込んできてくれ。持てるだけな」
「「かしこまりました」」
「ドゥはその間に麺作りだ」
「はい」
「わたしはー?」
「……一緒に麺作りかな」
「わかったー!」

この麺というのも厄介だ。
ラーメンの麺はかん水という水を使って作られるのだが、そんなもんない。
代用しようにも、重曹はともかくベーキングパウダーがない。

どうしよう。
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