戦力より戦略。

haruhi8128

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魔界奔走

下準備は入念に

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「ごめんなさい。私はあなたの告白を受けることはできません」

考えた結果、もう告白もさせないでおこうという話になった。
というか、もうされていたも同然だったが、本人がまだ先があると言う以上、結果が見えてるのにさせるのは酷だと思ったからだ。
リオンが。

もちろん俺は打算的にだが。
リオンが告白を断る際に俺の名前が出るのはもう仕方がない。
となると、リオンに正面から告白した、という事実はどうあっても俺に特がない。
よって、それを潰す。

「……理由を聞かせてもらっていいかな?」
「私は好きな人がいるんだよー。残念ながら、想いは届いていないけど、諦めるつもりもないんだー」
「そうか……」

考え込むようになる領主(?)。

「その彼は、この僕よりも魅力的なのかな?」
「少なくとも、私にとってはそうだねー」

これも昨日指示しておいた。
俺と領主を抽象的に比較をする問いが来た場合、リオンを物差しにして答えるようにと。
ここで安易に単純な肯定を返せば、いかに自分が優れているか、俺の情報を引き出しながら力説されていただろう。
だが、こういう抽象的な問いにこそ心象というのはかなり大きい。
個人的に勝っているならそれはそう簡単には覆せない。

「不躾ながら、僕は君にとって僕よりも魅力的だという彼に興味がある。紹介してはもらえないだろうか」

まぁ、そうなるだろうが……。

「えっとね、彼は私なんかには命令できないんだよー。だから、難しいかもねー」

ここで頭のいい奴なら考える。
魔王の娘であるリオンに命令できない奴なんているのかと。
ここで各領主、もしくはその息子の顔が明滅しているはずだ。
だが、それなら別に難しいという表現にはならない。
領主同士、顔を合わせることもまれにではあるがあるのだから。

「そこをなんとかできないだろうか……」
「うーん……」

なおも食い下がるが、まぁ本人はここにいるわけで。

「まぁ、ご本人登場といきますかー」

ここで俺がフードを取りながら前に出る。

「では、君が……?」
「そうなるな。さっきまでのリオンの態度は俺の指示だ。すまなかった。責めるなら俺を責めてくれ」

俺とリオンに上下関係はない。
だから命令できないというのは嘘ではない。
だが、他の人の顔が浮かぶような話し方をしたのも事実だ。
だから、謝っておく。
付け入る隙を、与えない。

「いや、気にしていないさ。しかし、バンフリオン嬢の好意を断っておきながら一緒にいるとは……」
「アンリさんからのお達しでね。ただ、しっかりと断っている。そこは把握していてもらいたい」

俺がリオンに執着していないことを示しながら、アンリさんとの関係も示唆していく。
さて、下準備はこのあたりで大丈夫かな?
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