423 / 566
魔界奔走
下準備は入念に
しおりを挟む
「ごめんなさい。私はあなたの告白を受けることはできません」
考えた結果、もう告白もさせないでおこうという話になった。
というか、もうされていたも同然だったが、本人がまだ先があると言う以上、結果が見えてるのにさせるのは酷だと思ったからだ。
リオンが。
もちろん俺は打算的にだが。
リオンが告白を断る際に俺の名前が出るのはもう仕方がない。
となると、リオンに正面から告白した、という事実はどうあっても俺に特がない。
よって、それを潰す。
「……理由を聞かせてもらっていいかな?」
「私は好きな人がいるんだよー。残念ながら、想いは届いていないけど、諦めるつもりもないんだー」
「そうか……」
考え込むようになる領主(?)。
「その彼は、この僕よりも魅力的なのかな?」
「少なくとも、私にとってはそうだねー」
これも昨日指示しておいた。
俺と領主を抽象的に比較をする問いが来た場合、リオンを物差しにして答えるようにと。
ここで安易に単純な肯定を返せば、いかに自分が優れているか、俺の情報を引き出しながら力説されていただろう。
だが、こういう抽象的な問いにこそ心象というのはかなり大きい。
個人的に勝っているならそれはそう簡単には覆せない。
「不躾ながら、僕は君にとって僕よりも魅力的だという彼に興味がある。紹介してはもらえないだろうか」
まぁ、そうなるだろうが……。
「えっとね、彼は私なんかには命令できないんだよー。だから、難しいかもねー」
ここで頭のいい奴なら考える。
魔王の娘であるリオンに命令できない奴なんているのかと。
ここで各領主、もしくはその息子の顔が明滅しているはずだ。
だが、それなら別に難しいという表現にはならない。
領主同士、顔を合わせることもまれにではあるがあるのだから。
「そこをなんとかできないだろうか……」
「うーん……」
なおも食い下がるが、まぁ本人はここにいるわけで。
「まぁ、ご本人登場といきますかー」
ここで俺がフードを取りながら前に出る。
「では、君が……?」
「そうなるな。さっきまでのリオンの態度は俺の指示だ。すまなかった。責めるなら俺を責めてくれ」
俺とリオンに上下関係はない。
だから命令できないというのは嘘ではない。
だが、他の人の顔が浮かぶような話し方をしたのも事実だ。
だから、謝っておく。
付け入る隙を、与えない。
「いや、気にしていないさ。しかし、バンフリオン嬢の好意を断っておきながら一緒にいるとは……」
「アンリさんからのお達しでね。ただ、しっかりと断っている。そこは把握していてもらいたい」
俺がリオンに執着していないことを示しながら、アンリさんとの関係も示唆していく。
さて、下準備はこのあたりで大丈夫かな?
考えた結果、もう告白もさせないでおこうという話になった。
というか、もうされていたも同然だったが、本人がまだ先があると言う以上、結果が見えてるのにさせるのは酷だと思ったからだ。
リオンが。
もちろん俺は打算的にだが。
リオンが告白を断る際に俺の名前が出るのはもう仕方がない。
となると、リオンに正面から告白した、という事実はどうあっても俺に特がない。
よって、それを潰す。
「……理由を聞かせてもらっていいかな?」
「私は好きな人がいるんだよー。残念ながら、想いは届いていないけど、諦めるつもりもないんだー」
「そうか……」
考え込むようになる領主(?)。
「その彼は、この僕よりも魅力的なのかな?」
「少なくとも、私にとってはそうだねー」
これも昨日指示しておいた。
俺と領主を抽象的に比較をする問いが来た場合、リオンを物差しにして答えるようにと。
ここで安易に単純な肯定を返せば、いかに自分が優れているか、俺の情報を引き出しながら力説されていただろう。
だが、こういう抽象的な問いにこそ心象というのはかなり大きい。
個人的に勝っているならそれはそう簡単には覆せない。
「不躾ながら、僕は君にとって僕よりも魅力的だという彼に興味がある。紹介してはもらえないだろうか」
まぁ、そうなるだろうが……。
「えっとね、彼は私なんかには命令できないんだよー。だから、難しいかもねー」
ここで頭のいい奴なら考える。
魔王の娘であるリオンに命令できない奴なんているのかと。
ここで各領主、もしくはその息子の顔が明滅しているはずだ。
だが、それなら別に難しいという表現にはならない。
領主同士、顔を合わせることもまれにではあるがあるのだから。
「そこをなんとかできないだろうか……」
「うーん……」
なおも食い下がるが、まぁ本人はここにいるわけで。
「まぁ、ご本人登場といきますかー」
ここで俺がフードを取りながら前に出る。
「では、君が……?」
「そうなるな。さっきまでのリオンの態度は俺の指示だ。すまなかった。責めるなら俺を責めてくれ」
俺とリオンに上下関係はない。
だから命令できないというのは嘘ではない。
だが、他の人の顔が浮かぶような話し方をしたのも事実だ。
だから、謝っておく。
付け入る隙を、与えない。
「いや、気にしていないさ。しかし、バンフリオン嬢の好意を断っておきながら一緒にいるとは……」
「アンリさんからのお達しでね。ただ、しっかりと断っている。そこは把握していてもらいたい」
俺がリオンに執着していないことを示しながら、アンリさんとの関係も示唆していく。
さて、下準備はこのあたりで大丈夫かな?
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【幸せスキル】は蜜の味 ハイハイしてたらレベルアップ
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前はアーリー
不慮な事故で死んでしまった僕は転生することになりました
今度は幸せになってほしいという事でチートな能力を神様から授った
まさかの転生という事でチートを駆使して暮らしていきたいと思います
ーーーー
間違い召喚3巻発売記念として投稿いたします
アーリーは間違い召喚と同じ時期に生まれた作品です
読んでいただけると嬉しいです
23話で一時終了となります
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる