戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
388 / 566
魔界奔走

逆玉の輿ってあるのかな

しおりを挟む
俺から発表があった3日後。
領主からようやく会えるとの連絡が届いた。
メイドたちは察していたと言っていた通り、俺に彼女レインがいると聞いても態度が変わることはなかった。
だが、リオンは何事かを考えこんでいるようだ。
いつもより静かだし、不用意にべたべたしてくることはなくなった。
まぁ、時々は衝動的に抱き着いてくることはあるけど。

「よし、行くとするか。道案内よろしく」
「お任せください」

とりあえず門の前までたどり着き、取り次いでもらう。

「リオン。何を考えているのかは知らんが、とりあえず帰ってこい。今はここをやり過ごすのが最優先だろ」
「あー、うん。そうだねー」

頭をフルフルっとやってちょっと気を引き締めるリオン。


「ご案内いたします」

どうやらこの人が俺たちを案内してくれるらしい。
もう、「これぞセバスチャン」って感じの執事だったのにはこの際言及しないでおこう。
この世界でそういう制度が大切にされているのはよーくわかった。

「ようこそおいでくださいました。私は……」

名前とかは覚えるのが面倒なので聞き流す。

「して、今回はどういったご用件で?」
「私の挨拶回り、といったところでしょうか。正式にご挨拶したことはなかったですよね?」

流石のリオンもちゃんとした口調になっている。
2人が言葉を交わしている間に俺は護衛の役割を果たすべく、領主を観察する。
{欺瞞}が表層にありありと出てきているところを見る限り、好意的でないのは間違いないが、どこが嘘なのかがいまいちはっきりとしない。
この辺は言葉選びが上手いな。

「なるほど。アンリ殿はバンフリオン殿にもう席をお譲りになるのですかな?」
「そういったわけではないでしょうが、将来のことを見据えているのでしょう」
「ほうほう……」

ここで領主は考え込む。

「ところでバンフリオン殿」
「なんでしょうか」
「もう身を固めることはお考えですかな?」
「は?」

唐突な言葉に素が出るリオン。

「いえ、アンリ殿も先代から役目を次ぐ頃には奥方を迎えていらっしゃったと記憶しておりますから。よろしければうちの息子を候補にでも思ったのですが……。おい」
「は」

領主がセバスチャン(仮)に指示をすると、大柄な男が入ってきた。

「うちの長男になります。実力は保証いたしますよ」

領主が言うとおり、体も大きく、膨らんだ筋肉はいかにもパワー型のようだ。
細めで策を凝らすタイプだろう領主とは逆のタイプだろう。
ありがちなパターンだとここでこの前叩きのめした偉そうだったひょろいやつが出てくるのだが、そうではなくて良かった。

だが、今は親の前なので自重しているのだろうが{情欲}しか視えないぞ、こいつはこいつで。

「いきなりそんなことを言われましても。正直、困惑しています」
「それはそうでしょうな。ですから、せめて少しでも息子のことを知ってもらうために今晩、夕食会を催したいのですがいかがでしょう。もちろん、一晩の宿くらいは用意させて頂きますよ」

親の逆玉の輿作戦が見え見えだぁ……。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡

サクラ近衛将監
ファンタジー
 女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。  シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。  シルヴィの将来や如何に?  毎週木曜日午後10時に投稿予定です。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

処理中です...