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魔界奔走
防御も攻撃になったりする
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「基本的に盾ってさ、相手の攻撃を受けることが前提になってるわけじゃん。こっちの剣の間合いにも入るけど、向こうのにも入っているっていう」
だからこそ、盾という身を守るものがあるわけなんだが。
「盾の利点は、相手の攻撃をいなせること。悪い点は、必ず武器が片手持ちになることだ。わかるだろ?」
剣と盾持ちの全員が頷く。
「リオンみたいに規格外のパワーがあればまた別だが、そんな奴はそもそもこんな策を講じなくていい。力押しが最も効率的で安全だからな」
チラッとリオンを見やりながら一応言っておく。
まじでやってられん。
今の間にも間合いの練習を始めた短剣の組と鞭の組に混ざってなんかやってるし。
俺が言ってるのはあくまでも常識的な範囲に収まっている奴らに対しての者なので、あの規格外に通用するのかと言われれば微妙ではないかと言わざるを得ない。
「で、基本的に攻撃は剣で行うもの。それはそうなんだけど、もうちょっと盾も使っていいんじゃないかと思うんだよ」
「どういう意味でしょう」
「盾を攻撃的に使うって意味だよ」
近くにいた人から盾を借りて、なんとなく例を示す。
「盾は身を守るものだ。そこは変わらない。だけど、受け方にも種類があるだろ?」
「まずは、正面から受ける方法。これはみなさんの方がちゃんとできているから省略するとして、受け流す方法。これは盾を斜めに構えて、敵の攻撃を横にそらすんだ」
盾を借りた人に剣を振ってもらって実例を見せる。
「こっちが盾を構えているとわかったら、剣を振る側は基本的に普段以上に力を込める。なぜなら、準備が出来ているところに斬りつけるんだ。体重かけないとろくな結果にならないからな。そこで力をかけるはずだった場所にちゃんと当たらなかったらどうなるか」
メイドさんがバランスを崩し、こけはしないまでも俺に背を向けた状態になる。
「こうなるな。要するに、空ぶった時みたいにバランスを崩して無防備な状態になりやすいんだ。自分の一発に自信があればある奴ほどな」
「では、このやり方ならバンフリオン様にも隙が出来るのですか?」
「いや、無理だ。あいつはデフォルトの攻撃力といくパワーがずば抜けてるから、無理に力を込めたりしないからな。そりゃ意味がないとまでは言わないが、隙が生まれるほどではない」
「そうですか……」
気を取り直して。
「次だが、これはむしろ力を込めて受ける方法だ。盾は腕で持つものだが、これに限って言えば別に腕力は関係ない。如何に腰を落として構えているかだ」
俺が腰を落として構え、また剣で斬りつけてもらう。
その剣が振り下ろされる瞬間。
俺は前に出て振り下ろされる前の、まだ速度が乗ってない剣を正面から弾き返す。
すると、剣を弾かれたメイドさんは万歳のような形になり、剣もどこかへと飛んでいってしまう。
「基本的に手っていうのは手首と逆に力を加えられるときついから、力が入らないんだ。だから、こんな感じで下から叩いてやるだけでかなり効果がある。だけど、これはタイミングが命過ぎるから慣れるまでは実践で使わない方がいい」
説明を終え振り返ると、全員の視線が俺に向いていた。
リオンも含めて。
「弟君は有名な兵法家だったりするのかなー?」
「そんなわけないだろ」
慣れているだけだ。
だからこそ、盾という身を守るものがあるわけなんだが。
「盾の利点は、相手の攻撃をいなせること。悪い点は、必ず武器が片手持ちになることだ。わかるだろ?」
剣と盾持ちの全員が頷く。
「リオンみたいに規格外のパワーがあればまた別だが、そんな奴はそもそもこんな策を講じなくていい。力押しが最も効率的で安全だからな」
チラッとリオンを見やりながら一応言っておく。
まじでやってられん。
今の間にも間合いの練習を始めた短剣の組と鞭の組に混ざってなんかやってるし。
俺が言ってるのはあくまでも常識的な範囲に収まっている奴らに対しての者なので、あの規格外に通用するのかと言われれば微妙ではないかと言わざるを得ない。
「で、基本的に攻撃は剣で行うもの。それはそうなんだけど、もうちょっと盾も使っていいんじゃないかと思うんだよ」
「どういう意味でしょう」
「盾を攻撃的に使うって意味だよ」
近くにいた人から盾を借りて、なんとなく例を示す。
「盾は身を守るものだ。そこは変わらない。だけど、受け方にも種類があるだろ?」
「まずは、正面から受ける方法。これはみなさんの方がちゃんとできているから省略するとして、受け流す方法。これは盾を斜めに構えて、敵の攻撃を横にそらすんだ」
盾を借りた人に剣を振ってもらって実例を見せる。
「こっちが盾を構えているとわかったら、剣を振る側は基本的に普段以上に力を込める。なぜなら、準備が出来ているところに斬りつけるんだ。体重かけないとろくな結果にならないからな。そこで力をかけるはずだった場所にちゃんと当たらなかったらどうなるか」
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「こうなるな。要するに、空ぶった時みたいにバランスを崩して無防備な状態になりやすいんだ。自分の一発に自信があればある奴ほどな」
「では、このやり方ならバンフリオン様にも隙が出来るのですか?」
「いや、無理だ。あいつはデフォルトの攻撃力といくパワーがずば抜けてるから、無理に力を込めたりしないからな。そりゃ意味がないとまでは言わないが、隙が生まれるほどではない」
「そうですか……」
気を取り直して。
「次だが、これはむしろ力を込めて受ける方法だ。盾は腕で持つものだが、これに限って言えば別に腕力は関係ない。如何に腰を落として構えているかだ」
俺が腰を落として構え、また剣で斬りつけてもらう。
その剣が振り下ろされる瞬間。
俺は前に出て振り下ろされる前の、まだ速度が乗ってない剣を正面から弾き返す。
すると、剣を弾かれたメイドさんは万歳のような形になり、剣もどこかへと飛んでいってしまう。
「基本的に手っていうのは手首と逆に力を加えられるときついから、力が入らないんだ。だから、こんな感じで下から叩いてやるだけでかなり効果がある。だけど、これはタイミングが命過ぎるから慣れるまでは実践で使わない方がいい」
説明を終え振り返ると、全員の視線が俺に向いていた。
リオンも含めて。
「弟君は有名な兵法家だったりするのかなー?」
「そんなわけないだろ」
慣れているだけだ。
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