戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
365 / 566
魔界奔走

ルート選びは慎重に

しおりを挟む
「これは失礼した。私はこの辺りの領主をしているランメルという。以後、よろしくお願いしたい」

領主様も教えてもらえるとは思っていなかったようで、すぐに引き下がった。
出来る人だ。

「いや、まぁ、ご領主直々に挨拶されておいてなんなんですが、俺はこれ以降あまり関わることはないと思いますよ?」
「それでも、ですよ。人の縁というものは会えば会うほど、共にいればいるほど強くなるものだと考えています。つまり、私とリブレ殿の縁はとても希薄です。しかし、それもゼロとは程遠い。口約束でも、互いを尊重する意思を明らかにするのは大切なのですよ」

含蓄ありすぎる言葉だなぁ。
流石、領主なんてもんをやってるのに驕った様子がないわけだ。
人の精神の完成形に近い場所にあるのではないだろうか。
悟ってる的な。

「そういうことなら、よろしくお願いします」

俺は出された手を握る。
一般庶民どころかこの世界だとホームレスよりも根無し草な俺がリオンといるだけで領主様とコネクションが出来るんだもんな。
やっぱリオンって凄いんだな。

「して、バンフリオン様。こちらにいらしたのは?」
「うん、パパが折角だから挨拶回りしてこいって言ってたからねー。パパも若いし、そう簡単に私に譲ることはないだろうけどー」
「そうですね、次の世代の育成は現在の世代である私たちの最優先事項と言っても過言ではございません。バンフリオン様は実力も申し分ございませんし、いい頃合いでしょう。ところで、この後はどういったご予定で?」
「特には決めてないよー。弟君と相談して、次に行くところも決めないとだからねー」
「そうですか。では、ぜひうちに何泊かしていってください。最大限のおもてなしをさせていただきます」
「だってー。どうするー?」

リオンがこちらを見る。

そこはただでもらえるものはとことんもらうことで有名な俺。

「お世話になります」


「早く次のところにいかないのー?」
「まぁ、落ち着け。こんな行き当たりばったり旅じゃダメだ」

適当に行きたいところから行くとかやってたら俺の寿命が来てしまう。
ここに滞在させてもらうという話で、年単位で日数を聞かれたときは焦ったからな。
寿命が違うから、当然時間感覚も違うのだ。

「ちゃんと予定を組んで、どういう手段で行くのかまでしっかり知っとかなきゃいけない」

今回みたいに辿り着くまでに死の危険を感じるようなことにはなりたくない。

「というわけで、洗いざらい吐いてもらうぞ」
「なんか弟君の顔が怖いよ……」

そりゃそうだ。
リオンにとっては普通の道程でも俺にとっては死出の道だ。
必死にもなる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa
ファンタジー
 国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……  知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。    街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた 少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

処理中です...