359 / 566
魔界奔走
不毛な論争は楽しい
しおりを挟む
「お前ら権力者のそばには美女しかいちゃいけない決まりでもあんのか!?」
「ねぇけど結果的にあいつが優秀なんだよ! さっきまでのしんみりした空気はどこにいったんだよ!?」
俺とアンリさんがギャアギャア喧嘩になる。
「ならアンリさんよ! あんたの側近になり得る能力を持つ女性が2人いたとする。2人には容姿に差があるが、あんたならどっちを採用する?」
「う、それは容姿が良い方だろうが……。お前もそうだろうが!」
「いーや、俺は2人とも採用するね」
「てめぇ、それはずるいだろうが!」
よく考えて欲しい。
俺はどちらか片方しか採用できないとは言っていない。
更に、側近になり得る能力の持ち主だという事も示している。
ならば、下の者を1人解雇したとしても2人とも採用するのが最適解だろう。
現実社会でそれをするわけにもいかないが、少なくとも仮定の下であれば。
「というわけでQ.E.D! アンリさんは色魔!」
「この野郎好き勝手言いやがって……!」
俺とアンリさんによる聞くに堪えない喧嘩が始まりそうなところでリオンが割って入る。
「はーい、そこまでー。で、パパ。弟君はわたしについてくるってことでいいのかなー?」
「え、あぁ、そうか。その話だったな」
俺もすっかり忘れてた。
「危険はある。だが、バンフリオンちゃんがいる以上、そう簡単にやられることはない。逆にバンフリオンちゃんは身近なやつの1人も守れないようじゃ俺の次は担えねぇ」
なるほど。
リオンのテストも兼ねてるってわけか。
「俺もそう簡単に継がせるつもりはないがな。まぁ、こういうのは早めにやっておくに越したことはない。で、この旅に適しているのがバンフリオンちゃんと接点があり、バンフリオンちゃんより弱く、ある程度信頼が置け、弱いお前だというわけだ」
「ねぇ、なんで弱いって2回言った?」
しかも2回目に至っては比較じゃなかったし。
絶対的に弱いって言われてたし。
こんなところでやり返してきやがったな。
「細かいことは気にするな。で、バンフリオンちゃんはどうしたい?」
「もちろん、弟君と一緒に行きたいよー」
リオンが俺を胸元に抱き寄せる。
俺はぬいぐるみか何かか。
いえ、どんどんやっちゃってください。
「だってよ、どうするんだ?」
「……最悪、逃げてもいいんだろ?」
「もちろんだ。これは完璧にこちらの都合だからな。これで死なせたとなったら俺がヘスティアに殺される」
ちゃんとヘスティアって名前は浸透してるんだな。
「なら、行こうかな」
ここでゴロゴロしてるだけっていうのも捨てがたいけど。
逃げるだけならオーシリアがいればなんとかなりそうだからな。
「やったー!」
「うっ、待て待て! 背骨がっ!」
喜んでくれるのは嬉しいが、ただでさえ馬鹿力なんだから力いっぱい抱きしめるのはやめて欲しい。
俺はぬいぐるみのように綿が詰まっているわけじゃないんだ。
「ねぇけど結果的にあいつが優秀なんだよ! さっきまでのしんみりした空気はどこにいったんだよ!?」
俺とアンリさんがギャアギャア喧嘩になる。
「ならアンリさんよ! あんたの側近になり得る能力を持つ女性が2人いたとする。2人には容姿に差があるが、あんたならどっちを採用する?」
「う、それは容姿が良い方だろうが……。お前もそうだろうが!」
「いーや、俺は2人とも採用するね」
「てめぇ、それはずるいだろうが!」
よく考えて欲しい。
俺はどちらか片方しか採用できないとは言っていない。
更に、側近になり得る能力の持ち主だという事も示している。
ならば、下の者を1人解雇したとしても2人とも採用するのが最適解だろう。
現実社会でそれをするわけにもいかないが、少なくとも仮定の下であれば。
「というわけでQ.E.D! アンリさんは色魔!」
「この野郎好き勝手言いやがって……!」
俺とアンリさんによる聞くに堪えない喧嘩が始まりそうなところでリオンが割って入る。
「はーい、そこまでー。で、パパ。弟君はわたしについてくるってことでいいのかなー?」
「え、あぁ、そうか。その話だったな」
俺もすっかり忘れてた。
「危険はある。だが、バンフリオンちゃんがいる以上、そう簡単にやられることはない。逆にバンフリオンちゃんは身近なやつの1人も守れないようじゃ俺の次は担えねぇ」
なるほど。
リオンのテストも兼ねてるってわけか。
「俺もそう簡単に継がせるつもりはないがな。まぁ、こういうのは早めにやっておくに越したことはない。で、この旅に適しているのがバンフリオンちゃんと接点があり、バンフリオンちゃんより弱く、ある程度信頼が置け、弱いお前だというわけだ」
「ねぇ、なんで弱いって2回言った?」
しかも2回目に至っては比較じゃなかったし。
絶対的に弱いって言われてたし。
こんなところでやり返してきやがったな。
「細かいことは気にするな。で、バンフリオンちゃんはどうしたい?」
「もちろん、弟君と一緒に行きたいよー」
リオンが俺を胸元に抱き寄せる。
俺はぬいぐるみか何かか。
いえ、どんどんやっちゃってください。
「だってよ、どうするんだ?」
「……最悪、逃げてもいいんだろ?」
「もちろんだ。これは完璧にこちらの都合だからな。これで死なせたとなったら俺がヘスティアに殺される」
ちゃんとヘスティアって名前は浸透してるんだな。
「なら、行こうかな」
ここでゴロゴロしてるだけっていうのも捨てがたいけど。
逃げるだけならオーシリアがいればなんとかなりそうだからな。
「やったー!」
「うっ、待て待て! 背骨がっ!」
喜んでくれるのは嬉しいが、ただでさえ馬鹿力なんだから力いっぱい抱きしめるのはやめて欲しい。
俺はぬいぐるみのように綿が詰まっているわけじゃないんだ。
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し
gari
ファンタジー
突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。
知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。
正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。
過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。
一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。
父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!
地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……
ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!
どうする? どうなる? 召喚勇者。
※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる