344 / 566
決戦
杖に調子もなにもない
しおりを挟む
ケイン、エルメ、族長たちも集まってきた。
自分たちがどうすればいいのかわかっているようだ。
「よし、ここまで上がってきてくれ」
「無理だわ」
冷静なツッコミがエルメから入る。
そうだった。
キラが見えてるからいけるもんだと思ってた。
ちなみに、下にいてエネミーがヤバいはずなのに冷静なのはそろっている面子が面子だからだ。
1人1体ずつ相手していけば全く問題なく、1体ずつなら負ける要素がない。
「じゃあ、ケインの要る場所から俺がいる場所まで坂を作るからなんとなく登ってきてくれ」
非常に大雑把な指示だが、こんな感じでしか言えない。
まさか全員の手を引いて上まで上げるわけにもいかないし。
適当な指示だったにも関わらず全員上に上がることが出来た。
現在攻撃されているのはレインだけだ。
「これも問題じゃないですか!?」
「慣れてきただろ?」
「その方が問題じゃないですか!?」
それで生き残れるならそれでよし。
「問題は、攻撃手段なんだが」
「俺たちはレイン嬢のように繊細なコントロールは出来んぞ」
「うん、だから族長の皆さんには周りのエネミーを相手してもらいたいんだよね」
獣人族の魔法の使い方はあくまでも自らの身体能力の補助として魔法を使っている感じだ。
つまり、自分の周りに纏わせるタイプの使い方が多く、遠くに射出するタイプの魔法は得意ではない。
というか出来ないに等しい。
近づくことが難しい今は得意な近接戦闘は出来ないしな。
「ケイン、お前の熱線銃は届くよな?」
「む? 届くとは思うがな! どれだけ効果があるかはわからんぞ!」
「頼む。お前のやつには火属性のほかに光魔法もあるだろ? 攻撃の手がレインだけでヘイトが溜まるのは避けたい」
「わはは! いいぞ! いくらでも撃ってやろう!」
「エルメ、お前はレインの補助に回ってくれるか? 俺とレインがいつまでもくっついていると指示が回りにくい」
「任せなさい」
「前に2人で行動していたんだから息も合ってるだろ」
「リブレさん、一緒にいてくれないんですか?」
避けながら逃げてきたレインが俺を上目遣いで見つめる。
かわいっ!
やめて!
意思が揺らぐだろ!
俺はレインの頭に手を置く。
「レインならいけるだろ。俺たちがそれぞれ指示を出したほうがいいしな」
「……どうしてもですか?」
「どうしても、だ。俺も嫌だけどな。全員生き残るためにはそれが一番なんだ」
「……わかりました。エルメさん、またよろしくお願いします」
「えぇ、任せなさい」
「オーシリア」
「うむ、2人ともわしがついておるからの。心配せんでも良いのじゃ」
どこからその自信は生まれてくるんだ。
いや、確かにこの戦いに入ってからオーシリアはミスというミスをしてないか。
オーシリアの実力が上振れている。
いや、そもそもはこんなもんだったか。
ダンジョンでもかなり役に立ったし。
……ならレインを助けに行く時だけなんであんなにポンコツだったんだ?
自分たちがどうすればいいのかわかっているようだ。
「よし、ここまで上がってきてくれ」
「無理だわ」
冷静なツッコミがエルメから入る。
そうだった。
キラが見えてるからいけるもんだと思ってた。
ちなみに、下にいてエネミーがヤバいはずなのに冷静なのはそろっている面子が面子だからだ。
1人1体ずつ相手していけば全く問題なく、1体ずつなら負ける要素がない。
「じゃあ、ケインの要る場所から俺がいる場所まで坂を作るからなんとなく登ってきてくれ」
非常に大雑把な指示だが、こんな感じでしか言えない。
まさか全員の手を引いて上まで上げるわけにもいかないし。
適当な指示だったにも関わらず全員上に上がることが出来た。
現在攻撃されているのはレインだけだ。
「これも問題じゃないですか!?」
「慣れてきただろ?」
「その方が問題じゃないですか!?」
それで生き残れるならそれでよし。
「問題は、攻撃手段なんだが」
「俺たちはレイン嬢のように繊細なコントロールは出来んぞ」
「うん、だから族長の皆さんには周りのエネミーを相手してもらいたいんだよね」
獣人族の魔法の使い方はあくまでも自らの身体能力の補助として魔法を使っている感じだ。
つまり、自分の周りに纏わせるタイプの使い方が多く、遠くに射出するタイプの魔法は得意ではない。
というか出来ないに等しい。
近づくことが難しい今は得意な近接戦闘は出来ないしな。
「ケイン、お前の熱線銃は届くよな?」
「む? 届くとは思うがな! どれだけ効果があるかはわからんぞ!」
「頼む。お前のやつには火属性のほかに光魔法もあるだろ? 攻撃の手がレインだけでヘイトが溜まるのは避けたい」
「わはは! いいぞ! いくらでも撃ってやろう!」
「エルメ、お前はレインの補助に回ってくれるか? 俺とレインがいつまでもくっついていると指示が回りにくい」
「任せなさい」
「前に2人で行動していたんだから息も合ってるだろ」
「リブレさん、一緒にいてくれないんですか?」
避けながら逃げてきたレインが俺を上目遣いで見つめる。
かわいっ!
やめて!
意思が揺らぐだろ!
俺はレインの頭に手を置く。
「レインならいけるだろ。俺たちがそれぞれ指示を出したほうがいいしな」
「……どうしてもですか?」
「どうしても、だ。俺も嫌だけどな。全員生き残るためにはそれが一番なんだ」
「……わかりました。エルメさん、またよろしくお願いします」
「えぇ、任せなさい」
「オーシリア」
「うむ、2人ともわしがついておるからの。心配せんでも良いのじゃ」
どこからその自信は生まれてくるんだ。
いや、確かにこの戦いに入ってからオーシリアはミスというミスをしてないか。
オーシリアの実力が上振れている。
いや、そもそもはこんなもんだったか。
ダンジョンでもかなり役に立ったし。
……ならレインを助けに行く時だけなんであんなにポンコツだったんだ?
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる