戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
236 / 566
幻想級迎撃

ゴールがあればやる気は上がる

しおりを挟む
「どうせなら食べていくか?」
「いや、僕はまだ訓練に付き合わなきゃいけないからね。今はこれを届けに来たのと、あのエルフの少年を送っていったところなんだ」
「今から?」

もう暗くなるぞ?

「今回の幻想級ファンタズマルは夜に戦闘になるんだよね? なら夜にも訓練しなくちゃ。夜目が効くようになるのは必須だよね?」
「うーん、そう言われるとちょっと否定しづらいんだが……」

いや待て。

「昼にも訓練はしてるんだよな?」
「うん」
「で、お前がこっちに来てる間は休憩時間だと」
「そうだね。ほとんどの人は疲れて食事の後に寝ちゃってるかな」
「ほう」

そうなると、1つ疑問が出てくるな?

「お前、いつ寝てるの?」
「……あれ? 言われてみれば……」

お前ほんとに人間か?

「悪いことは言わない。お前ここで寝ていけ」
「いや、そんなこと言われても、訓練に行かなくちゃ……」
「それは俺が代わってやる。頼むから休んでくれ」
「お、珍しいね。君が自分から仕事しようと言うなんて」
「前にいつ寝たかわからん仕事なんかクソブラックじゃん。流石に代わってやるわ」

最大戦力に倒れられたら困る。

「じゃあ、お言葉に甘えてちょっとだけ寝かせてもらおうかな」
「あぁ、プリンセ。留守番頼めるか?」
「……ん、わかった」
「じゃあ、ご飯食べたら行くか」


キラを寝かせ、腹ごしらえを済ませた俺とレインは城へと向かう。

城につくと、訓練を受けるであろう人たちが広場に集まっていた。

「あの、キラ様は……?」

代表してエイグが聞いてくる。

「あいつは一旦休ませてる。というわけで俺が代わったわけなんだが、俺にはあいつのような指導能力はない」

キラの指導方法スパルタが正しいかどうかはおいておくとしてもだ。

「というわけでこれの使い方だけ覚えてもらおうと思う」

そう言って銃を掲げる。
ハンネに無理言っていっぱい複製してもらったのだ。
その代償としてハンネは今絶賛気絶中だ。
一応、レインが見たところ別に死ぬようなものではないということなので、とりあえずそのまま寝かせているが。

「とりあえず、1人1丁持ってもらって。で、使い方は簡単、火を点けて、ここを引くだけ」

俺が実際に引き金を引いて示す。

「ただ、人に向けたりはしないように。安全装置セーフティもなにもついてないからちょっとしたことで暴発するからな」

存在は知っていても、その仕組みまでは知らなかったのでどうしても組み込みようがなかったのだ。
急ごしらえのものでもあるし、そこは多めに見てもらいたい。

「で、的を用意するから、それぞれ的の中心部付近に10発当ててくれ。多少狙いがずれるかもしれないが、そのズレは全てに共通してるからな。そこも含めて調整してくれ」

複製しているのでここにあるのは全て全く同じものだ。
自ずとクセも同じになるので調整しやすいだろう。

「当てた終わった者から今日は休んでいいぞ」
「本当ですか!?」
「休むのも訓練のうちってな」

実際はこれ以上やることが浮かばないだけだが。

「ただし、休むと言っても羽目を外しすぎるなよ。明日からまたキラなんだからな」
「はい!」

そこからの皆の動きは迅速だった。
互いの悪いところを直しあい、すぐに訓練を終えて帰っていった。

やっぱりゴールがあると人のやる気は違うな。

しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。  その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。  世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。  そして何故かハンターになって、王様に即位!?  この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。 注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。   R指定は念の為です。   登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。   「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。   一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。

あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~

深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公 じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい …この世界でも生きていける術は用意している 責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう という訳で異世界暮らし始めちゃいます? ※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです ※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

とあるおっさんのVRMMO活動記

椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。 念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。 戦闘は生々しい表現も含みます。 のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。 また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり 一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。 また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や 無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという 事もございません。 また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

処理中です...