233 / 566
幻想級迎撃
弟子の募集はしておりません
しおりを挟む
「で、何してんのお前」
レインのフォローに小躍りしそうな精神を諫めて、冷静を保つように努める。
「それは……」
{後ろめたさ}か……。
俺は空いてる右手で頭をがりがりかきながら考える。
「どうやら見張りではないみたいだが。それはあっちのやつだろうからな」
そう、見張りがつかないほうがおかしいのだ。
隙あらばレインを奪ってしまおうという考えだろう。
だが、そもそもこっちも警戒しているのに隠れるのが下手なので隙なんて見せるわけがない。
むしろ、目の前で工作するという寛ぎっぷりである。
まぁ、それは今はいい。
「どうしてそれを……」
「こっちの手の内を明かすわけないだろ。いいから質問に答えろ」
偶然の産物で見つけられたというのはおいておいたとしても、見張られていたというのは気持ちのいいものではない。
「場合によっては……プリンセが出るぞ」
「……わたし?」
「俺とレインが出るのも違うかなって」
「……わかった。がんばる」
プリンセの承認を得たところで。
「というわけだから、心して答えたほうがいいぞ」
「レインちゃんを見に来ました」
「……知り合い?」
「……知り合いと言えば、そうですかね」
「子供の時は一緒によく遊んだじゃないか!」
「そうですね。あなたが僕を無視し始めるまでは」
レインの俺を握る力が強くなる。
痛い痛い!
「仕方なかったんだ! あぁしなきゃ僕だって無視されてしまうんだから!」
「僕にとって無視されていたという事実は変わりません。お帰り下さい」
「僕は! 君に会いに来たんだ!」
「知っています。その上で、僕にあなたと話す意思はないです。お引き取り下さい」
厳し……。
「そんな人間と手をつないだりしちゃって! エルフは人間よりも上位種族なんだ! 人間なんかと関わりを持つべきではないんだ!」
「{嘘}だな」
多少ムキになっているきらいはあるけど。
「良かったです。もうちょっとで手が出るところでした」
「……フゥー……」
背中でプリンセが威嚇してる。
こっちももうちょっとで出そうだったな。
「レイン、あっちだ」
「了解です」
レインが視線を向け、魔法を唱えると監視役のエルフが土に包まれ、その土を俺の指示を受けたオーシリアが固める。
これで出てこれないだろ。
うかつに近づきすぎだ。
「よし、もういいぞ」
「ごめんなさい! 大人がいる手前、あんなことを言わなくちゃいけなかったから……」
「僕じゃなくてリブレさんに謝ってください」
「ごめんなさい……」
「あぁ、それはいいよ」
こいつが多少はそう思ってたのは事実だしな。
「むしろ子供で親に俺たちを嫌うように教育されていたのに、多少嫌悪感が小さいのはまだ良い方だな」
「……」
レインはほんとに口を利く意思はないようだ。
「で、結局要件はなんだ?」
「そうです、僕を、弟子にしてください!」
「……俺の?」
「はい!」
何故。
レインのフォローに小躍りしそうな精神を諫めて、冷静を保つように努める。
「それは……」
{後ろめたさ}か……。
俺は空いてる右手で頭をがりがりかきながら考える。
「どうやら見張りではないみたいだが。それはあっちのやつだろうからな」
そう、見張りがつかないほうがおかしいのだ。
隙あらばレインを奪ってしまおうという考えだろう。
だが、そもそもこっちも警戒しているのに隠れるのが下手なので隙なんて見せるわけがない。
むしろ、目の前で工作するという寛ぎっぷりである。
まぁ、それは今はいい。
「どうしてそれを……」
「こっちの手の内を明かすわけないだろ。いいから質問に答えろ」
偶然の産物で見つけられたというのはおいておいたとしても、見張られていたというのは気持ちのいいものではない。
「場合によっては……プリンセが出るぞ」
「……わたし?」
「俺とレインが出るのも違うかなって」
「……わかった。がんばる」
プリンセの承認を得たところで。
「というわけだから、心して答えたほうがいいぞ」
「レインちゃんを見に来ました」
「……知り合い?」
「……知り合いと言えば、そうですかね」
「子供の時は一緒によく遊んだじゃないか!」
「そうですね。あなたが僕を無視し始めるまでは」
レインの俺を握る力が強くなる。
痛い痛い!
「仕方なかったんだ! あぁしなきゃ僕だって無視されてしまうんだから!」
「僕にとって無視されていたという事実は変わりません。お帰り下さい」
「僕は! 君に会いに来たんだ!」
「知っています。その上で、僕にあなたと話す意思はないです。お引き取り下さい」
厳し……。
「そんな人間と手をつないだりしちゃって! エルフは人間よりも上位種族なんだ! 人間なんかと関わりを持つべきではないんだ!」
「{嘘}だな」
多少ムキになっているきらいはあるけど。
「良かったです。もうちょっとで手が出るところでした」
「……フゥー……」
背中でプリンセが威嚇してる。
こっちももうちょっとで出そうだったな。
「レイン、あっちだ」
「了解です」
レインが視線を向け、魔法を唱えると監視役のエルフが土に包まれ、その土を俺の指示を受けたオーシリアが固める。
これで出てこれないだろ。
うかつに近づきすぎだ。
「よし、もういいぞ」
「ごめんなさい! 大人がいる手前、あんなことを言わなくちゃいけなかったから……」
「僕じゃなくてリブレさんに謝ってください」
「ごめんなさい……」
「あぁ、それはいいよ」
こいつが多少はそう思ってたのは事実だしな。
「むしろ子供で親に俺たちを嫌うように教育されていたのに、多少嫌悪感が小さいのはまだ良い方だな」
「……」
レインはほんとに口を利く意思はないようだ。
「で、結局要件はなんだ?」
「そうです、僕を、弟子にしてください!」
「……俺の?」
「はい!」
何故。
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!
珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。
3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。
高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。
これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!!
転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。


大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる