戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
229 / 566
幻想級迎撃

無理をすれば体にくる

しおりを挟む
断言しよう。
ここが極楽だ。

家に帰った俺はレインとプリンセから労われ、ついでにオーシリアからも褒められた。
まだ回復しきっていなかった俺はレインにうつぶせに膝枕され、プリンセとオーシリアに背中やら足やらをふみふみされて癒されていた。

レインの太もものふにふに感。
プリンセとオーシリアの心地よい重さ。
全身の疲れが取れていくようだ。
実際多少取れているんだろう。
最高だ……。

「……重くない?」
「全然だー……」
「……リブレさん、今見せられない顔してません?」
「そんなわけないだろー……」

実際はしてるかもしれんが。

「まぁ、今日は頑張りましたからね。大目に見るとしましょうか」
「そうだよね? 俺頑張ったもんね?」
「はいはい、偉い偉い」

レインが俺の頭を撫でる。
おおっ。
なんかあれだ、ゾクゾクっときたぞ。
なんか寒い感じもするし……。

……。

「プリンセ」
「……?」
「俺を布団まで運んでくれ。いつもみんなで使ってるやつじゃないのがいい」
「どうしたんですか?」

「俺、これ風邪引いてるわ」


そこからは俺は働かない頭を絞り、風邪の対処法を思い出す。

ネギのやつってどうだったっけ……?
あれは迷信だよな……。
あ、それは首に巻くやつで、食べるのはいいんだっけか……。
ダメだ、考えられない。

やっぱとりあえず寝とけばいいってとこはあるか……。
確か、汗をかいたらこまめに着替えるってのがあったよな。
もう面倒だから寝ちまおう。
体が疲れて風邪を引くとか、もう年かもしれんな。

「大丈夫ですか? 何かできることあります?」
「……お肉、食べる?」
「大丈夫だ。寝とけば治るだろ。着替えだけ用意してもらえると助かる。あと、プリンセ。肉はきつい」

消化に悪すぎる。

「あと、それだけしたらここにいないほうがいい」
「看病しますよ!」
「いや、うつすかもしれない。俺はいいが、2人にうつると可哀想だ」

子供の方がきついって言うしな。
あれ、逆か。

「……わかった」
「プリンセちゃん、でも……」
「……こういうことは、リブレさんの方が詳しい。……みんな病気になるより、いい」
「それはそうですが……」

プリンセに押されて、レインも出ていく。

「何かあったら呼んでくださいねー!」
「あぁー………」


キィ……バタン。

部屋が暗闇に包まれる。
なんだかんだこうやって布団で1人で寝るのは久しぶりだな。
1年前は当たり前だったことが、今は少し寂しく感じる。
時の流れは早いものだ。
実際、俺はこの世界の1年を4か月ほどで過ごしているわけだから、そう感じるのも当然か。

あれ?
俺凄い人生損してないか?

……やめやめ。
身体が弱ってると思考もマイナスになるからダメだ。
寝よう。


「うぅ……」

重い……。
目を開け、お腹の上を見ると、オーシリアが大の字になって寝ていた。
なにしてんだ、こいつ。
ふと横を見ると、ベッドにもたれてレインも寝ている。
プリンセは床に丸くなっている。
結局、全員いるじゃないかよ。
オーシリアは杖なんだから風邪とか無縁だろうけど。

しかし、心配してくれていたのだろう。
先ほどよりは明瞭な頭で考える。
これで風邪引かれたら完璧に俺のせいだな。

汗をかいていたので上のオーシリアを横に転がしておいてもらっていた服を手に取り、もぞもぞ着替える。

「あっ……!」

声がしたので、振り返ると、レインが目を覚ましていた。
手で顔を覆っているが、指の隙間からしっかりこっちを見ている。

……それほんとにやるやついるんだな。




しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

処理中です...