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幻想級迎撃
満身創痍では誇れない
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「あ、起きました? 僕のことわかります?」
「……あぁ、なるほど。そうなったのか」
俺はレインの膝の上で目を覚ます。
……ふにふにしてて気持ちいいな。
そうじゃない。
俺は自分の死を覚悟した後に必死の抵抗をした。
各所にちりばめていた避雷針もどきでキラの攻撃をずらし、逃げに逃げた。
それはもはや戦いであった。
生存競争だった。
というか俺の生き残りをかけた戦いだった。
仕掛けにも3つ目で慣れられ、合計7個仕掛けたやつは不発。
ステッド・ファストを駆使して逃げるも、なぜか見えているため邪魔程度にしかならない。
バインド系は発動が速いにも関わらず、そもそも見えるタイミングがそうそうないので役に立たない。
精々、ステッド・ファストで足止めできた時くらいだ。
夜に近づいていき、シェイド・ハイドも使えるようになったが、すぐに雷の光で照らされてばれる。
そもそもキラには気配でばれるから意味ない。
絶望であった。
しかし、俺はあがいた。
敵がどれだけ理不尽でも!
命のために!
そして、逃げること2時間。
シンプルに足がもつれたところをやられたらしい。
むしろ2時間もよくもったもんだ。
最後の方もう記憶ないからな。
どんだけ極限だったんだ。
で、今レインの膝の上で休んでいると。
プラスマイナスではプラスにしておこう。
とりあえず生きてるし。
「いやー、ごめんね? ちょっとやりすぎちゃったよ」
キラがばつが悪そうに俺の顔を覗き込みながら言う。
「ほんとだぞ、おい! ってあれ? 体が動かない……」
「あ、じっとしててください。まだ回復中なんで」
よく見れば俺の肩に置いているレインの手が光っている。
「瀕死だったんですよ。オーシリアさんがそれを主張して、それに焦ったキラさんが僕のところに運んできたんです」
「ほんとに死ぬかと思ったのじゃ。今やっと3割まで回復したところじゃからな」
「それ本当にすれすれだったんじゃね!?」
やっとて!
「元はと言えばリブレ君が悪いんだよ? あんな極悪トラップ仕掛けてるから」
「あれぐらいしないとお前の邪魔にならないという極自然な判断だ」
その後ボロカスだったしな。
「その割にけっこう逃げられたけどね。流石だよ」
「なんせ命が懸かってたからな」
「大げさだよ」
「いや、マジで」
ほんとにそんなメンタルだった。
「まぁ、その甲斐はあったんじゃないですか?」
「ん?」
「皆さんも納得したようですし。見えないでしょうけど」
「あぁ」
俺をバカにした奴だという謎の自己申告を行ったやつの声が聞こえる。
「俺が悪かった。あんたは強い」
んー、あれ見てそういう結論に至るか?
逃げるのが上手いとか、往生際が悪いとかならわかるけどな。
「良いものを見せてもらったぞ! 少年!」
キラに代わって例の初日に会ったおっさんが俺をのぞき込む。
暑苦しっ!
「攻撃手段がなくともあれほどキラ殿に善戦できるのだな! 俺は参考になったぞ!」
善戦……?
なんだ?
新手の嫌がらせか……?
「そう疑心暗鬼になることもないですよ。だってここの方たちは84人もいて20分ももたなかったらしいですから」
「おぅ……」
それは俺頑張ったな。
「まぁ、その結果がこの様子だとちょっと誇れないですけどね」
「それは言うなよ……」
「……あぁ、なるほど。そうなったのか」
俺はレインの膝の上で目を覚ます。
……ふにふにしてて気持ちいいな。
そうじゃない。
俺は自分の死を覚悟した後に必死の抵抗をした。
各所にちりばめていた避雷針もどきでキラの攻撃をずらし、逃げに逃げた。
それはもはや戦いであった。
生存競争だった。
というか俺の生き残りをかけた戦いだった。
仕掛けにも3つ目で慣れられ、合計7個仕掛けたやつは不発。
ステッド・ファストを駆使して逃げるも、なぜか見えているため邪魔程度にしかならない。
バインド系は発動が速いにも関わらず、そもそも見えるタイミングがそうそうないので役に立たない。
精々、ステッド・ファストで足止めできた時くらいだ。
夜に近づいていき、シェイド・ハイドも使えるようになったが、すぐに雷の光で照らされてばれる。
そもそもキラには気配でばれるから意味ない。
絶望であった。
しかし、俺はあがいた。
敵がどれだけ理不尽でも!
命のために!
そして、逃げること2時間。
シンプルに足がもつれたところをやられたらしい。
むしろ2時間もよくもったもんだ。
最後の方もう記憶ないからな。
どんだけ極限だったんだ。
で、今レインの膝の上で休んでいると。
プラスマイナスではプラスにしておこう。
とりあえず生きてるし。
「いやー、ごめんね? ちょっとやりすぎちゃったよ」
キラがばつが悪そうに俺の顔を覗き込みながら言う。
「ほんとだぞ、おい! ってあれ? 体が動かない……」
「あ、じっとしててください。まだ回復中なんで」
よく見れば俺の肩に置いているレインの手が光っている。
「瀕死だったんですよ。オーシリアさんがそれを主張して、それに焦ったキラさんが僕のところに運んできたんです」
「ほんとに死ぬかと思ったのじゃ。今やっと3割まで回復したところじゃからな」
「それ本当にすれすれだったんじゃね!?」
やっとて!
「元はと言えばリブレ君が悪いんだよ? あんな極悪トラップ仕掛けてるから」
「あれぐらいしないとお前の邪魔にならないという極自然な判断だ」
その後ボロカスだったしな。
「その割にけっこう逃げられたけどね。流石だよ」
「なんせ命が懸かってたからな」
「大げさだよ」
「いや、マジで」
ほんとにそんなメンタルだった。
「まぁ、その甲斐はあったんじゃないですか?」
「ん?」
「皆さんも納得したようですし。見えないでしょうけど」
「あぁ」
俺をバカにした奴だという謎の自己申告を行ったやつの声が聞こえる。
「俺が悪かった。あんたは強い」
んー、あれ見てそういう結論に至るか?
逃げるのが上手いとか、往生際が悪いとかならわかるけどな。
「良いものを見せてもらったぞ! 少年!」
キラに代わって例の初日に会ったおっさんが俺をのぞき込む。
暑苦しっ!
「攻撃手段がなくともあれほどキラ殿に善戦できるのだな! 俺は参考になったぞ!」
善戦……?
なんだ?
新手の嫌がらせか……?
「そう疑心暗鬼になることもないですよ。だってここの方たちは84人もいて20分ももたなかったらしいですから」
「おぅ……」
それは俺頑張ったな。
「まぁ、その結果がこの様子だとちょっと誇れないですけどね」
「それは言うなよ……」
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