184 / 566
レイン捜索作戦
何かをし続けるのはきついものです
しおりを挟む
チャキ。
おもむろにキラが刀を抜いたかと思ったら、俺が止まる間もなくそれをふるう。
一陣の風が吹き、キラが刀をしまう。
よく見ると、入り口と床の間にうっすら傷がついている。
なるほど、そこにひっかけてここを開けようってことか。
いきなり暴走しだしたかと思ったわ。
「誰か起きてるのぉ……?」
もぞもぞとベッドの中で動く音が聞こえ、俺たちは大いに焦る。
キラが蓋を開けているうちに俺とオーシリアが飛び降り、神速でキラが降りてきて蓋を元通りにして一応は事なきをえた。
四方の壁に沿ってステッド・ファストを張って音漏れをしないようにしてやっと話す。
「無茶苦茶しやがったなキラこの野郎」
「上手くいったからいいじゃないか。あれぐらいの傷なら注意しなきゃ見つけられないだろうし、少なくとも暗いうちには見つからないだろうしね」
「それはそうだろうけどさ……」
キラに詰め寄るが、全く悪びれた様子がない。
「まぁ、そうだな。結果的に上手くいったからよしとするか……」
落ち着いたところで小部屋を見渡す。
「書庫か?」
部屋の両側に大きな本棚があり、他には特に何もない。
「これは当たりだな」
本を守るためだけにあれだけの魔法による防御を施してるんだ。
これが何でもない資料のはずがない。
これで何でもなかったら酷い詐欺だ。
「とりあえず手あたり次第見ていくか」
「そうだね」
「了解じゃ」
そう言って手分けして本を見始めたのはいいものの、その多くははエルフの言語で書かれているから俺とオーシリアには読めない。
キラも一応は読めるとのことで流石だと思ったのだが、触れたことがある程度だということでお世辞にも効率がいいとは言い難い。
よって俺たちが読めるものは俺たちで処理して、エルフの言語のやつはキラに回して最初の数ページと途中の数ページだけ読んでもらい、それぞれ重要だろうと思ったやつだけ撮って帰る運びになった。
「しんどっ」
なにしろ1冊1冊が辞書みたいな厚さなのだ。
時々出てくる絵が救いかと思いきや、1冊の中に絵がないものもあり、シンプルに心が折れる。
「これは1日じゃ無理だな」
目を通しながら薄々感じていたが、この部屋にあるもので重要でない文献なんてない。
俺たちが読めるものは全部読んでから記憶だけではだめだろうと思われるものだけ撮っている。
キラに全てを読ませるわけにもいかないのでちょっとずつ読んでもらっているが、それだけでは判断が難しく、1つ1つに時間がかかってしまう。
「この夜のうちに脱出するのは諦めて、休憩をとりながら次の夜に出るまでに終えるペースでいくってのはどうだ?」
「……そうしてもらえると、助かるかな。いくらなんでもこの量はきつそうだ。ごめんね。僕がもっとちゃんと読めたらいいんだけど」
「何言ってるんだ。そこら辺に関しては俺たち役立たずだぞ。十分助かってるって」
キラがいなかったら全部撮ってかなきゃいけなかったからな。
ハンネの解析にも時間がかかっただろうし。
「そうかい? それは良かった」
そうして俺たちはまた本を読み始めるのだった。
おもむろにキラが刀を抜いたかと思ったら、俺が止まる間もなくそれをふるう。
一陣の風が吹き、キラが刀をしまう。
よく見ると、入り口と床の間にうっすら傷がついている。
なるほど、そこにひっかけてここを開けようってことか。
いきなり暴走しだしたかと思ったわ。
「誰か起きてるのぉ……?」
もぞもぞとベッドの中で動く音が聞こえ、俺たちは大いに焦る。
キラが蓋を開けているうちに俺とオーシリアが飛び降り、神速でキラが降りてきて蓋を元通りにして一応は事なきをえた。
四方の壁に沿ってステッド・ファストを張って音漏れをしないようにしてやっと話す。
「無茶苦茶しやがったなキラこの野郎」
「上手くいったからいいじゃないか。あれぐらいの傷なら注意しなきゃ見つけられないだろうし、少なくとも暗いうちには見つからないだろうしね」
「それはそうだろうけどさ……」
キラに詰め寄るが、全く悪びれた様子がない。
「まぁ、そうだな。結果的に上手くいったからよしとするか……」
落ち着いたところで小部屋を見渡す。
「書庫か?」
部屋の両側に大きな本棚があり、他には特に何もない。
「これは当たりだな」
本を守るためだけにあれだけの魔法による防御を施してるんだ。
これが何でもない資料のはずがない。
これで何でもなかったら酷い詐欺だ。
「とりあえず手あたり次第見ていくか」
「そうだね」
「了解じゃ」
そう言って手分けして本を見始めたのはいいものの、その多くははエルフの言語で書かれているから俺とオーシリアには読めない。
キラも一応は読めるとのことで流石だと思ったのだが、触れたことがある程度だということでお世辞にも効率がいいとは言い難い。
よって俺たちが読めるものは俺たちで処理して、エルフの言語のやつはキラに回して最初の数ページと途中の数ページだけ読んでもらい、それぞれ重要だろうと思ったやつだけ撮って帰る運びになった。
「しんどっ」
なにしろ1冊1冊が辞書みたいな厚さなのだ。
時々出てくる絵が救いかと思いきや、1冊の中に絵がないものもあり、シンプルに心が折れる。
「これは1日じゃ無理だな」
目を通しながら薄々感じていたが、この部屋にあるもので重要でない文献なんてない。
俺たちが読めるものは全部読んでから記憶だけではだめだろうと思われるものだけ撮っている。
キラに全てを読ませるわけにもいかないのでちょっとずつ読んでもらっているが、それだけでは判断が難しく、1つ1つに時間がかかってしまう。
「この夜のうちに脱出するのは諦めて、休憩をとりながら次の夜に出るまでに終えるペースでいくってのはどうだ?」
「……そうしてもらえると、助かるかな。いくらなんでもこの量はきつそうだ。ごめんね。僕がもっとちゃんと読めたらいいんだけど」
「何言ってるんだ。そこら辺に関しては俺たち役立たずだぞ。十分助かってるって」
キラがいなかったら全部撮ってかなきゃいけなかったからな。
ハンネの解析にも時間がかかっただろうし。
「そうかい? それは良かった」
そうして俺たちはまた本を読み始めるのだった。
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転移無双・猫又と歩む冒険者生活
暇野無学
ファンタジー
「魔力の足り冒険者」と殆ど同じ設定で、魔力高半減,攻撃魔法無しの縛りで書きたいと思った新作です。 生活魔法は自由自在、お約束の空間収納と転移魔法は魔力高20と神様酷スの笑い者のエディ。栄達も天下無敵もない冒険者のお話です。
転生幼女アイリスと虹の女神
紺野たくみ
ファンタジー
地球末期。パーソナルデータとなって仮想空間で暮らす人類を管理するAI、システム・イリスは、21世紀の女子高生アイドル『月宮アリス』及びニューヨークの営業ウーマン『イリス・マクギリス』としての前世の記憶を持っていた。地球が滅びた後、彼女は『虹の女神』に異世界転生へと誘われる。
エルレーン公国首都シ・イル・リリヤに豪商ラゼル家の一人娘として生まれたアイリスは虹の女神『スゥエ』のお気に入りで『先祖還り』と呼ばれる前世の記憶持ち。優しい父母、叔父エステリオ・アウル、妖精たちに守られている。
三歳の『魔力診』で保有魔力が規格外に大きいと判明。魔導師協会の長『漆黒の魔法使いカルナック』や『深緑のコマラパ』老師に見込まれる。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
生活魔法は万能です
浜柔
ファンタジー
生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。
それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。
――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる