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杖の真価
塵も積もればなんとやら
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「で、わしはどうすればいいのじゃ?」
「まぁ落ち着けって。とりあえずは思いついただけで俺の中でも出来るかどうかあんまり自信がない」
少し考えてみないといきなり試そうというのはきつい。
なにしろ、一歩間違ったら間違いなく死である。安易に試すわけにはいかない。
「まぁ、それを考える暇があればな!」
足に意識を割いてる分、全く考えがまとまらない。
策が完成する前に俺の足が終わりそうだ。
これでも生きていられるのはボスのステータスが徐々に落ちていっているために、動きが遅くなっているからだと考えられる。
と言っても、これからも避けられるという保証はどこにもない。
なにしろ、俺がこけたらそれで終わりである。
今なんだかんだ避けれているのはぎりぎりで俺が動き続けているからだ。止まってしまえば均衡はすぐに壊れる。
「うおっ!? あっぶねえ!?」
骸骨の腕が俺をかすめる。
こりゃいよいよ一刻の猶予もないな!?
「ほらほら、気を抜くなよ主。未だに主のHPくらい吹っ飛ばせるくらいの攻撃力はもってるのじゃから」
「気を抜いてただけなら良かったんだけどな!」
残念ながら本当に避けられなくなってきているだけである。
気合いでどうにかなる問題ではない。
「あぁ、もう! 試すしかないか!」
事ここに至っては贅沢言っていられない。
「よし、オーシリア、絶対にミスるなよ」
「わかっておる。さっさと言うのじゃ」
生意気な杖に一発入れた後、作戦を説明する。
「さっきから見ている限り、あいつにはフックみたいなモーションしかないみたいだ」
「……確かにの、多少斜めになっているときもあるようじゃが」
少し思い返した後にオーシリアも同意する。
つまり、横薙ぎの攻撃しかないのだ。
「ということは、俺がしゃがんでいれば腕は当たらないだろ?」
「そうなるの」
「けど、そのままじゃ蹴っ飛ばされて終わりだ」
移動中にぶつかられただけで致命傷だからな。
「そこで、なんとかあいつの移動ルートをずらしたい」
「さっきからディレクト・シフトでそれができんから困っておるんじゃろう?」
「あぁ。ディレクト・シフトだけじゃできそうにないな。だから、バインド2種とステッド・ファストも使う」
「? どういうことじゃ?」
オーシリアへの説明は長引いたのでまとめると、それぞれの魔法で少しずつずらせればなんとかなるだろうということだ。
まず、ディレクト・シフトで進行方向を5度ほどずらす。
さらに、バインドを体の片側だけにまとわりつかせることによってずらす。バインド系の魔法はツタもチェーンもどういうわけか地面から生えてくるのでバインドを突破されるまで生えている場所を中心に回ることになる。
そして最後に、ステッド・ファストで作った空気の壁に斜めにぶつからせてずらす。正面からはすぐに破られてしまうが、斜めからだと力が伝わりにくいので多少は軌道をそらせるはずだ。
直前でこれをやってもあまりそれずにこちらに届いてしまうだろうが、攻撃モーションの起こりに合わせればこっちに来る頃にはかなり外れているだろう。
「やるぞ、主!」
「頼む!」
俺がしゃがむと同時にオーシリアが魔法を順番に発動していき、見事回避に成功する。
けっこうギリではあったが。
その後、何回か様子を見たが、当たる様子はなさそうなので、安心して横になる。
天井を見るとかなり高く、地下2階のところまで届くのではないかという気さえしてくる。
ん? 天井が高い?
「上に逃げとけばいいんじゃね?」
「まぁ落ち着けって。とりあえずは思いついただけで俺の中でも出来るかどうかあんまり自信がない」
少し考えてみないといきなり試そうというのはきつい。
なにしろ、一歩間違ったら間違いなく死である。安易に試すわけにはいかない。
「まぁ、それを考える暇があればな!」
足に意識を割いてる分、全く考えがまとまらない。
策が完成する前に俺の足が終わりそうだ。
これでも生きていられるのはボスのステータスが徐々に落ちていっているために、動きが遅くなっているからだと考えられる。
と言っても、これからも避けられるという保証はどこにもない。
なにしろ、俺がこけたらそれで終わりである。
今なんだかんだ避けれているのはぎりぎりで俺が動き続けているからだ。止まってしまえば均衡はすぐに壊れる。
「うおっ!? あっぶねえ!?」
骸骨の腕が俺をかすめる。
こりゃいよいよ一刻の猶予もないな!?
「ほらほら、気を抜くなよ主。未だに主のHPくらい吹っ飛ばせるくらいの攻撃力はもってるのじゃから」
「気を抜いてただけなら良かったんだけどな!」
残念ながら本当に避けられなくなってきているだけである。
気合いでどうにかなる問題ではない。
「あぁ、もう! 試すしかないか!」
事ここに至っては贅沢言っていられない。
「よし、オーシリア、絶対にミスるなよ」
「わかっておる。さっさと言うのじゃ」
生意気な杖に一発入れた後、作戦を説明する。
「さっきから見ている限り、あいつにはフックみたいなモーションしかないみたいだ」
「……確かにの、多少斜めになっているときもあるようじゃが」
少し思い返した後にオーシリアも同意する。
つまり、横薙ぎの攻撃しかないのだ。
「ということは、俺がしゃがんでいれば腕は当たらないだろ?」
「そうなるの」
「けど、そのままじゃ蹴っ飛ばされて終わりだ」
移動中にぶつかられただけで致命傷だからな。
「そこで、なんとかあいつの移動ルートをずらしたい」
「さっきからディレクト・シフトでそれができんから困っておるんじゃろう?」
「あぁ。ディレクト・シフトだけじゃできそうにないな。だから、バインド2種とステッド・ファストも使う」
「? どういうことじゃ?」
オーシリアへの説明は長引いたのでまとめると、それぞれの魔法で少しずつずらせればなんとかなるだろうということだ。
まず、ディレクト・シフトで進行方向を5度ほどずらす。
さらに、バインドを体の片側だけにまとわりつかせることによってずらす。バインド系の魔法はツタもチェーンもどういうわけか地面から生えてくるのでバインドを突破されるまで生えている場所を中心に回ることになる。
そして最後に、ステッド・ファストで作った空気の壁に斜めにぶつからせてずらす。正面からはすぐに破られてしまうが、斜めからだと力が伝わりにくいので多少は軌道をそらせるはずだ。
直前でこれをやってもあまりそれずにこちらに届いてしまうだろうが、攻撃モーションの起こりに合わせればこっちに来る頃にはかなり外れているだろう。
「やるぞ、主!」
「頼む!」
俺がしゃがむと同時にオーシリアが魔法を順番に発動していき、見事回避に成功する。
けっこうギリではあったが。
その後、何回か様子を見たが、当たる様子はなさそうなので、安心して横になる。
天井を見るとかなり高く、地下2階のところまで届くのではないかという気さえしてくる。
ん? 天井が高い?
「上に逃げとけばいいんじゃね?」
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