111 / 566
杖の真価
嘘のような本当の話
しおりを挟む
「「大丈夫?」かい?」
ランガルへ向かう道中、腫れあがった頬を二人から心配される俺。
「大丈夫じゃない…」
殴られてから大分たつものの、あまり痛みはひいていない。さすが実力主義のドルガバで皇帝やってるやつの一撃と言うべきか。
かなり理不尽な交換条件だったが、プリンセからお願いされてしまえば黙ってうけいれるしかなかった。未だに納得はしていないが。
殴る理由はカイルさん曰く、
「俺が可愛がってるやつをとられたような感じがするからむかつくだろ?」
ということだった。
むちゃくちゃだ。
「ほんとにありがとう…」
さすがにあんなにガチで殴るとは思ってなかったらしいプリンセは負い目を感じているらしい。
俺吹っ飛んだからな…。HPも半分くらい削れてたし。補助呪文で防御力だけは常に上げてるのに。
「いいって…。帰ったらレインに回復してもらおう…」
俺とプリンセはキラに捕まって運んでもらっている。正確に言えば、キラに俺が捕まって、その俺にプリンセが捕まっている。さすがに少しは重いらしく、普段の移動スピードからは遅れているらしいが、そんなスピードにこっちが耐えられるわけもないので結果オーライ。
「キラはなんで街道使わないんだ?」
「え?君がどこに作るか決めたんだから知ってるだろう?あれはちょっと大回りしてるじゃないか」
そう。さすがに一つも休憩所を作らないというわけにもいかないので、湧き水があるところを経由するところにしたら大回りになったのだ。
「僕は休憩はいらないからね。直線距離で行ったほうが早いんだよ」
悉く規格外だな。
「で、戻ったらまず報告か?」
「そうだね。プリンセ君が来たことと、君が帰ってきたっていうのも含めてね」
たぶん怒られるんだろうなぁ…。
「行かなくていい?」
「うーん、別に行かなくてもいいんだろうけど…」
困ったように笑うキラ。
「その場合後から僕やケインさん、エルメさんが君を捕まえに行くことになると思うよ」
「よし、行こう」
二つ名持ち3人に追われるとかどんな罰ゲーム。
「で、言いわけを聞こうじゃないか?」
やっぱり怒られた…。
帰り着いたキラと俺とプリンセはそのまま謁見の間に通されて、キラの報告より前にとりあえず俺が怒られている。
「いや、ちょっと自分の意思でなく魔界に落ちまして…」
「で?」
「向こうでの2週間がこちらでの8か月でして…」
「で?」
取り付く島もない。
「こっちはな、お主がおらんくなった後街道整備の指揮系統に凄い苦労したんじゃぞ!?誰も読めんような字を必死に解読してなんとなくそれをできるような人材を探したりしての!もうちょっと字は綺麗に書かんかい!」
あー。自分が読めればいいやって適当に書いてたからな。そもそも字の汚さには自信がある。
「国の事業を放っておかれては困るのですよ」
マレイユさんにも怒られる。
「ごめんなさい…」
本当に悪かったと思ってるので弁解の余地もない。
「それで、あの…。レインは?ここ治してもらいたいんですけど…」
困ったような顔になる王様とマレイユさん。
「ここにはおりませんよ?」
「じゃあ、家ですか?」
「家にもおられないと思います」
?なにがあったんだ?
ランガルへ向かう道中、腫れあがった頬を二人から心配される俺。
「大丈夫じゃない…」
殴られてから大分たつものの、あまり痛みはひいていない。さすが実力主義のドルガバで皇帝やってるやつの一撃と言うべきか。
かなり理不尽な交換条件だったが、プリンセからお願いされてしまえば黙ってうけいれるしかなかった。未だに納得はしていないが。
殴る理由はカイルさん曰く、
「俺が可愛がってるやつをとられたような感じがするからむかつくだろ?」
ということだった。
むちゃくちゃだ。
「ほんとにありがとう…」
さすがにあんなにガチで殴るとは思ってなかったらしいプリンセは負い目を感じているらしい。
俺吹っ飛んだからな…。HPも半分くらい削れてたし。補助呪文で防御力だけは常に上げてるのに。
「いいって…。帰ったらレインに回復してもらおう…」
俺とプリンセはキラに捕まって運んでもらっている。正確に言えば、キラに俺が捕まって、その俺にプリンセが捕まっている。さすがに少しは重いらしく、普段の移動スピードからは遅れているらしいが、そんなスピードにこっちが耐えられるわけもないので結果オーライ。
「キラはなんで街道使わないんだ?」
「え?君がどこに作るか決めたんだから知ってるだろう?あれはちょっと大回りしてるじゃないか」
そう。さすがに一つも休憩所を作らないというわけにもいかないので、湧き水があるところを経由するところにしたら大回りになったのだ。
「僕は休憩はいらないからね。直線距離で行ったほうが早いんだよ」
悉く規格外だな。
「で、戻ったらまず報告か?」
「そうだね。プリンセ君が来たことと、君が帰ってきたっていうのも含めてね」
たぶん怒られるんだろうなぁ…。
「行かなくていい?」
「うーん、別に行かなくてもいいんだろうけど…」
困ったように笑うキラ。
「その場合後から僕やケインさん、エルメさんが君を捕まえに行くことになると思うよ」
「よし、行こう」
二つ名持ち3人に追われるとかどんな罰ゲーム。
「で、言いわけを聞こうじゃないか?」
やっぱり怒られた…。
帰り着いたキラと俺とプリンセはそのまま謁見の間に通されて、キラの報告より前にとりあえず俺が怒られている。
「いや、ちょっと自分の意思でなく魔界に落ちまして…」
「で?」
「向こうでの2週間がこちらでの8か月でして…」
「で?」
取り付く島もない。
「こっちはな、お主がおらんくなった後街道整備の指揮系統に凄い苦労したんじゃぞ!?誰も読めんような字を必死に解読してなんとなくそれをできるような人材を探したりしての!もうちょっと字は綺麗に書かんかい!」
あー。自分が読めればいいやって適当に書いてたからな。そもそも字の汚さには自信がある。
「国の事業を放っておかれては困るのですよ」
マレイユさんにも怒られる。
「ごめんなさい…」
本当に悪かったと思ってるので弁解の余地もない。
「それで、あの…。レインは?ここ治してもらいたいんですけど…」
困ったような顔になる王様とマレイユさん。
「ここにはおりませんよ?」
「じゃあ、家ですか?」
「家にもおられないと思います」
?なにがあったんだ?
0
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
転生調理令嬢は諦めることを知らない
eggy
ファンタジー
リュシドール子爵の長女オリアーヌは七歳のとき事故で両親を失い、自分は片足が不自由になった。
それでも残された生まれたばかりの弟ランベールを、一人で立派に育てよう、と決心する。
子爵家跡継ぎのランベールが成人するまで、親戚から暫定爵位継承の夫婦を領地領主邸に迎えることになった。
最初愛想のよかった夫婦は、次第に家乗っ取りに向けた行動を始める。
八歳でオリアーヌは、『調理』の加護を得る。食材に限り刃物なしで切断ができる。細かい調味料などを離れたところに瞬間移動させられる。その他、調理の腕が向上する能力だ。
それを「貴族に相応しくない」と断じて、子爵はオリアーヌを厨房で働かせることにした。
また夫婦は、自分の息子をランベールと入れ替える画策を始めた。
オリアーヌが十三歳になったとき、子爵は隣領の伯爵に加護の実験台としてランベールを売り渡してしまう。
同時にオリアーヌを子爵家から追放する、と宣言した。
それを機に、オリアーヌは弟を取り戻す旅に出る。まず最初に、隣町まで少なくとも二日以上かかる危険な魔獣の出る街道を、杖つきの徒歩で、武器も護衛もなしに、不眠で、歩ききらなければならない。
弟を取り戻すまで絶対諦めない、ド根性令嬢の冒険が始まる。
主人公が酷く虐げられる描写が苦手な方は、回避をお薦めします。そういう意味もあって、R15指定をしています。
追放令嬢ものに分類されるのでしょうが、追放後の展開はあまり類を見ないものになっていると思います。
2章立てになりますが、1章終盤から2章にかけては、「令嬢」のイメージがぶち壊されるかもしれません。不快に思われる方にはご容赦いただければと存じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる