戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
97 / 566
魔界迷走

魔王って実はいっぱいいるよね

しおりを挟む
三度意識を取り戻した魔王が数日ぶりにぎりぎりの理性も取り戻して俺の前で口を開く。
「まぁ、まがりなりにも俺の攻撃をかいくぐって俺に一発いれたのは褒めてやる。お前は自分の分というものをよくわきまえているようだ」
…そう?
俺個人の意見としては魔王と立ち合っている時点で不遜にもほどがある。魔王とは「魔界」という世界の王であり、国王などとは格が違う。正にその世界の絶対者なのだ。

「…話を始める前に一つ訂正しておく。魔王とはただの呼称でしかない」
…ん?
考えをさらっと読まれてることに関しては今さら疑問すら覚えない。世界の序列26位程度のカイルが制限はあるものの未来予知なんていう公式チートを使っているのだ。魔王がどんな力を持っていようがもはや考える意味もない。
しかし、魔界の王たる魔王の名がただの呼称とはこれいかに?

全くわかっていない俺に対して魔王様が直々に教えてくれる。ため息交じりに。
「俺が魔王と名乗っているのは、たまたまここが魔界であって、たまたま俺がその主として君臨しているのを見た他のばかどもが呼び始めたからというだけだ。例えば他の世界も「魔王」は存在する。それも複数な。圧倒的個人がいたら「魔王」と呼びたがるのはお前らの世界の常識だろう」
あー、確かに。ゲームとかでもなんか一番偉い奴の下に4人やら6人やらで魔王っていたわ。そっか、あいつらも十分魔王だ。

「あれ?お前らの世界?」
ヘスティアの世界ではそんなこと聞きもしなかった。さっきの納得も俺の暗黒時代引きニートのときの知識に基づいている。
「俺の元の世界を知ってるのか!?」
「あ?当たり前だろ?俺は生と死のバランスを任されてるって言っただろうが。俺がその世界のことを知らないでどうする」
いや、そう言われればそうな気がしなくもないんだけど…。

「ってことは俺が元の世界に戻るってことは可能なのか?」
「いや?多分それは無理だ。お前らの言うところの神がお前をあっちにやったからな。すでにお前はあそこの住人じゃねぇ」
「ひどっ!」
なに勝手に人を他の世界にやっちゃってるわけ?いや、別に未練があるとかじゃないけどもうちょっと配慮しない?

「まぁいいだろそんなことは。俺もあいつらは好きじゃねぇしな」
そんなこと…。
「改めて自己紹介しておく。俺はアンリ。アンリ・エンマ。この世界の王であり、世界を持つ神の一人でもある」
ファミリーネームがエンマなの!?ってことはリオンはバンフリオン・エンマか…。
「あ、リブレって言います。えっと、ヘスティアさんの世界から来ました」
自分で言いながら思うが、世界から来たってなんだよ。

「世界を持つ?」
俺はアンリが言った引っかかった言葉を復唱する。
「あぁ。俺たちは自分の世界を持っている。例えばだが、お前らの星を誰かが統一したとする。すると、そいつはその世界の王になるわけだ」
まぁそうだな。他に生命体がいるのかもはっきりしてないし。
「ただし、そいつは所詮、中の奴だ。外から世界を俯瞰できる俺たちには遠く及ばねぇ」
なるほど。確かにそりゃそうだ。

「ってことはアンリさんやヘスティアさん、あとは俺がいた宇宙とかを作ったやつがその世界の持ち主って考え方になるわけか」
「その通りです」
ふいに後ろから肯定が聞こえたので振り向くと、そこにはヘスティアさんが立っていた。
「なんで!?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

農民の少年は混沌竜と契約しました

アルセクト
ファンタジー
極々普通で特にこれといった長所もない少年は、魔法の存在する世界に住む小さな国の小さな村の小さな家の農家の跡取りとして過ごしていた 少年は15の者が皆行う『従魔召喚の儀』で生活に便利な虹亀を願ったはずがなんの間違えか世界最強の生物『竜』、更にその頂点である『混沌竜』が召喚された これはそんな極々普通の少年と最強の生物である混沌竜が送るノンビリハチャメチャな物語

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!

さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ 祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き! も……もう嫌だぁ! 半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける! 時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ! 大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。 色んなキャラ出しまくりぃ! カクヨムでも掲載チュッ ⚠︎この物語は全てフィクションです。 ⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...