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魔界迷走
冷静さはしっかりと保ちましょう
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ガキィッ!!
回りながら跳んだ魔王の扇を刀で受ける。
受けれる速さであるということには安心したが、そう安心してばかりもいられない。
扇の武器としてのメリットは鋭利なその切っ先を回転による波状攻撃で相手に細かい傷をたくさんつけていくことだ。しかし、こいつの場合、一撃一撃の重さが尋常じゃない。
受け間違えた時にすぐステッド・ファストを発動できるとは思えない。一発貰ったら致命傷になりかねないし、よしんば耐えれたとしても次ので粉みじんにされるだろう。
「ふはは!バラバラにしてくれるわ!」
宣言してるしな。
「がんばれー、弟くーん!」
リオンが応援してくれてはいるが、
「なんでパパは応援してくれないんだバンフリオンちゃん!?くそ、一刻も早く消さねば…!!」
火に油を注ぐ結果にしかならない。
刀が両刃なのでそれを利用して扇を受けていくが、
「いや、無理だろ!」
俺には剣の心得がない。家にあるお土産の木刀を振っていたくらいで、重さには慣れているが今でも受けれていることが奇跡なくらいだ。
「?」
俺の刀に当たるたびに戦扇の青色の炎がかき消されるのを訝しんでいるようだ。
青い炎ってなると炎の中では最上級の温度だからな。何千度とかになってくるんだろう。そうなると普通一合目でこちらの武器がもろくなったり、はたまた溶かされたりして決着がついていただろうから、そこは小太刀の能力に感謝だな。
「中々いい武器を持ってるようじゃないか!」
「お宅の娘さんにいただいたんでね!」
やけくそ気味にむしろ煽っていくことにする。俺が必死に否定したところで話は聞いてもらえないだろうからな。
「バンフリオンちゃんからプレゼントまで貰っているのか!?俺すらこの頃は全く貰えていないというのに!」
いや、そこまでの事情は知らねーよ。
「そういえば手料理もご馳走になったけなー」
「ある人から相性がいいっていうのも言われたっけなー」
思いつく限りの魔王の冷静さを欠かすことのできそうな事項を言っていく。
「おのれー!!」
あ、切れた。
今までは俺に凄惨な死を与えようと細かく刻もうとしていた太刀筋が変化する。太刀ではないけれども。
「消えろ!!」
魔王が激昂して大振りになった隙に懐に潜り込む。
「だりゃあ!!」
気合いを込めて斬りつける。
確かに斬れたよ?斬れたけどさ、浅すぎて全くダメージになってる気がしないんだけど?
筋肉に守られて全く刃が通らねぇ!厚い筋肉だとは思ってたけど密度も半端じゃないな!これ俺じゃもうダメージいれられないってことが判明したぞ!?
「ふはは!惜しかったな!お前の攻撃は俺には通用しないようだ。その程度の奴には娘はやれぬ!消え去れ!!」
あ、終わった。もっと深く刃が入ると思って踏み込んでたから体勢が崩れてる。これは受けられないな。ステッド・ファストの発動も間に合いそうにないな。南無参!!
「そこまでって言ってるでしょー!!」
ゴツッ!
ゴトン、ドサッ。
リオンの背後からの一撃により三度魔王が崩れ落ちる。
魔王がこう何度も気絶していていいのか。
まぁ、なにはともあれ助かった!
回りながら跳んだ魔王の扇を刀で受ける。
受けれる速さであるということには安心したが、そう安心してばかりもいられない。
扇の武器としてのメリットは鋭利なその切っ先を回転による波状攻撃で相手に細かい傷をたくさんつけていくことだ。しかし、こいつの場合、一撃一撃の重さが尋常じゃない。
受け間違えた時にすぐステッド・ファストを発動できるとは思えない。一発貰ったら致命傷になりかねないし、よしんば耐えれたとしても次ので粉みじんにされるだろう。
「ふはは!バラバラにしてくれるわ!」
宣言してるしな。
「がんばれー、弟くーん!」
リオンが応援してくれてはいるが、
「なんでパパは応援してくれないんだバンフリオンちゃん!?くそ、一刻も早く消さねば…!!」
火に油を注ぐ結果にしかならない。
刀が両刃なのでそれを利用して扇を受けていくが、
「いや、無理だろ!」
俺には剣の心得がない。家にあるお土産の木刀を振っていたくらいで、重さには慣れているが今でも受けれていることが奇跡なくらいだ。
「?」
俺の刀に当たるたびに戦扇の青色の炎がかき消されるのを訝しんでいるようだ。
青い炎ってなると炎の中では最上級の温度だからな。何千度とかになってくるんだろう。そうなると普通一合目でこちらの武器がもろくなったり、はたまた溶かされたりして決着がついていただろうから、そこは小太刀の能力に感謝だな。
「中々いい武器を持ってるようじゃないか!」
「お宅の娘さんにいただいたんでね!」
やけくそ気味にむしろ煽っていくことにする。俺が必死に否定したところで話は聞いてもらえないだろうからな。
「バンフリオンちゃんからプレゼントまで貰っているのか!?俺すらこの頃は全く貰えていないというのに!」
いや、そこまでの事情は知らねーよ。
「そういえば手料理もご馳走になったけなー」
「ある人から相性がいいっていうのも言われたっけなー」
思いつく限りの魔王の冷静さを欠かすことのできそうな事項を言っていく。
「おのれー!!」
あ、切れた。
今までは俺に凄惨な死を与えようと細かく刻もうとしていた太刀筋が変化する。太刀ではないけれども。
「消えろ!!」
魔王が激昂して大振りになった隙に懐に潜り込む。
「だりゃあ!!」
気合いを込めて斬りつける。
確かに斬れたよ?斬れたけどさ、浅すぎて全くダメージになってる気がしないんだけど?
筋肉に守られて全く刃が通らねぇ!厚い筋肉だとは思ってたけど密度も半端じゃないな!これ俺じゃもうダメージいれられないってことが判明したぞ!?
「ふはは!惜しかったな!お前の攻撃は俺には通用しないようだ。その程度の奴には娘はやれぬ!消え去れ!!」
あ、終わった。もっと深く刃が入ると思って踏み込んでたから体勢が崩れてる。これは受けられないな。ステッド・ファストの発動も間に合いそうにないな。南無参!!
「そこまでって言ってるでしょー!!」
ゴツッ!
ゴトン、ドサッ。
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魔王がこう何度も気絶していていいのか。
まぁ、なにはともあれ助かった!
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