戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
95 / 566
魔界迷走

冷静さはしっかりと保ちましょう

しおりを挟む
ガキィッ!!
回りながら跳んだ魔王の扇を刀で受ける。
受けれる速さであるということには安心したが、そう安心してばかりもいられない。
扇の武器としてのメリットは鋭利なその切っ先を回転による波状攻撃で相手に細かい傷をたくさんつけていくことだ。しかし、こいつの場合、一撃一撃の重さが尋常じゃない。
受け間違えた時にすぐステッド・ファストを発動できるとは思えない。一発貰ったら致命傷になりかねないし、よしんば耐えれたとしても次ので粉みじんにされるだろう。
「ふはは!バラバラにしてくれるわ!」
宣言してるしな。

「がんばれー、弟くーん!」
リオンが応援してくれてはいるが、
「なんでパパは応援してくれないんだバンフリオンちゃん!?くそ、一刻も早く消さねば…!!」
火に油を注ぐ結果にしかならない。
刀が両刃なのでそれを利用して扇を受けていくが、
「いや、無理だろ!」
俺には剣の心得がない。家にあるお土産の木刀を振っていたくらいで、重さには慣れているが今でも受けれていることが奇跡なくらいだ。

「?」
俺の刀に当たるたびに戦扇バトルファンの青色の炎がかき消されるのを訝しんでいるようだ。
青い炎ってなると炎の中では最上級の温度だからな。何千度とかになってくるんだろう。そうなると普通一合目でこちらの武器がもろくなったり、はたまた溶かされたりして決着がついていただろうから、そこは小太刀こいつの能力に感謝だな。

「中々いい武器を持ってるようじゃないか!」
「お宅の娘さんにいただいたんでね!」
やけくそ気味にむしろ煽っていくことにする。俺が必死に否定したところで話は聞いてもらえないだろうからな。
「バンフリオンちゃんからプレゼントまで貰っているのか!?俺すらこの頃は全く貰えていないというのに!」
いや、そこまでの事情は知らねーよ。

「そういえば手料理もご馳走になったけなー」
「ある人から相性がいいっていうのも言われたっけなー」
思いつく限りの魔王の冷静さを欠かすことのできそうな事項を言っていく。
「おのれー!!」
あ、切れた。

今までは俺に凄惨な死を与えようと細かく刻もうとしていた太刀筋が変化する。太刀ではないけれども。
「消えろ!!」
魔王が激昂して大振りになった隙に懐に潜り込む。
「だりゃあ!!」
気合いを込めて斬りつける。

確かに斬れたよ?斬れたけどさ、浅すぎて全くダメージになってる気がしないんだけど?
筋肉に守られて全く刃が通らねぇ!厚い筋肉だとは思ってたけど密度も半端じゃないな!これ俺じゃもうダメージいれられないってことが判明したぞ!?
「ふはは!惜しかったな!お前の攻撃は俺には通用しないようだ。その程度の奴には娘はやれぬ!消え去れ!!」
あ、終わった。もっと深く刃が入ると思って踏み込んでたから体勢が崩れてる。これは受けられないな。ステッド・ファストの発動も間に合いそうにないな。南無参!!

「そこまでって言ってるでしょー!!」
ゴツッ!
ゴトン、ドサッ。
リオンの背後からの一撃により三度魔王が崩れ落ちる。
魔王がこう何度も気絶していていいのか。
まぁ、なにはともあれ助かった!


しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

処理中です...