戦力より戦略。

haruhi8128

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魔界迷走

餅ってくっつくとけっこう不快だよね

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「いくぞおらぁー!」
よく考えたら自分が超がんばってついたお餅をよくわからん奴にかけるということをふと思い出し、既に投げやりである。
俺ほんのちょっとしか食べれてないんだけど!?リオンはめちゃくちゃ食ってたけど!

「いけぇー!!」
てこの反対側に飛び乗り、餅が大空を飛翔する。中途半端に流動的な餅は空中で不規則に形を変えながら広がっていく。
うわぁー、傍から見るときもいな。なんじゃありゃ。
うにうにしたスライムみたいなのが青年めがけて広がっていく。

「う、うわあぁぁぁーー!??」
被る直前に餅の影により異変に気付き、上を見上げた青年は白いナニカが今にも自分に襲い掛かろうとしているのを見て悲鳴をあげるが、もう遅い。
頭から餅を被り、声をあげられなくなることで悲鳴がやむ。

「あぁぁぁーーー!!??」
あ、そういうわけじゃなかった。理解が追い付いてなかっただけか。
「目が!目があぁぁぁー!!??」
あー、餅が目に入ったのか。それはきつい。目も開かなくなるし、なんかム〇カ大佐みたくなってるし。あいつの知識無くそのセリフがでてくるって凄いな。イントネーションまでおんなじ感じだったぞ。そうなるもんなのか?

「リオン、あれならいいだろ?」
「うーん、いいんだけどさー。お姉さんがあれは触りたくないって感じかなー」
確かにそれはある。あんな異形生物触りたくないわ。
「じゃあ、あの状態なら転移の魔法は邪魔されないか?」
「うーん、たぶん大丈夫だと思うよー」
「じゃあ、いいんじゃね?」
やっちゃおう。

「どこか行きたいとこあるー?」
そうだな。俺はやっぱレインたちのとこに帰りたいし、やっぱそのためには情報収集はしておきたい。となると、
「街に近いとこに行ってくれると助かる。俺が自分で行って帰ってこれるとこがいいかな」
「んー?自分で?まぁ近くにいくのはいいんだけど…」
なんかまずいのか?
「まぁ、行ってみてから考えよー。じゃあ、準備するよー」
その後ろではいまだに餅をどうしたらいいのかわからない青年の苦闘が続いていた。

「はい、オッケー」
ついたらしい。準備に20分ほどかかっていたので確かに邪魔があったらできないかもなって感じだな。
「えっとね、位置は盆地にある街の山の裏って感じかなー。ここの尾根を越えたらすぐに街が見えるよ」
おぉ、いいところ。

「じゃあ、行ってみるよ」
「え?ほんとに?」
「うん、やっぱ上に帰りたいからさ。少しでも情報は欲しいんだよ。そのためにはやっぱ聞き込みってやつが一番だろ?」
足動かしてなんぼだろ。
「それはそうなんだけどー…」
「行ってきまーす」

さて、見える街は城下町って感じだな。ほんとに日本の。なんで?リオンの家の時も思ったけど、なんで日本文化があるんだ?なんで上は西洋文化からここは日本文化になってんだ?
街に入ってみると、光景に違和感を覚える。
なんか俺の知ってる日本と違うんだよなぁ。
「なにあれ…」
俺への謎な視線も多いし。

「おう、兄ちゃん。あんたなにもんだ?」
「え?」
チンピラみたいなやつらから絡まれた。
「お前みたいなやつここにいねーんだよなぁ?おい、どこから来た」
あ、わかった。褐色なんだ、肌が。そりゃ合わねーわ。日本人そんな感じじゃねーし。しっかし、綺麗な褐色だなー。人間でも褐色って似合うのは似合うんだな。でも、リオンはそんな濃くなかったんだけどな。
「おい、聞いてんのか!!」
あ、やべ。

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