戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
上 下
67 / 566
国家戦争

皇帝との会談

しおりを挟む
「あなたがドルガバの皇帝ですか。わたくしはランガル王国王女ルーリアと申しますわ。お目通りかない、光栄ですわ。今回は戦争の事後処理という形でお伺いさせて頂いたという事で間違いないでしょうか」
「そうだな。今回は俺の意図したことではないとはいえ、そちらの国に迷惑をかけたことは申し訳ないと思っている。この場で謝罪したい」
「幸い、こちらにも被害は出ませんでしたし、あまり気に病まないで頂けますか?お姫様方より事情も聞いておりますので…」
「そう言って頂けるとありがたいのだが…。そちらの方は納得していないようだな」
そう言って俺に視線を向ける。 

「じゃあ、いくつかだけ質問させてもらっても構わないか?」
「もちろんだ」
俺の言葉遣いにルーリアとレインが慌てているが、カイルさんは気にもかけていないようだ。大物だな。
「じゃあ、まず1つ目。カイルさんはドルガバの皇帝らしいけど、どこの種族なんだ?」
「見てもらったらわかる通り、ライオンだ。まぁ、種族長自体は既に息子に譲っているがね」
なるほどな。だからライオン族が参加していたのか。長の命令には従わなきゃいけないだろうからなぜ捕まっていた皇帝の種族が攻めてくるのかが疑問だったんだ。

「じゃあ2つ目。どうしてこんなことになるまで放っておいたんだ?他国に頼るなり、まだやれることがあったんじゃないのか?」
「それはその通りだ。だが、俺がそう思っていても国は動かない。各種族の長が賛同しなければ国として行動を起こすわけにはいかないんだよ。話し合いのために首長会議が存在している訳だしな。」
皇帝とは言っても独裁ではないのか。勝手に独裁政治なんじゃないかと思ってたけど、民主制だったんだな。

「最後の質問だ。
ルーリアがビックリしてこちらを見る。
「そんな、あり得ませんわ!カイル殿は戦争を企てた方々によって拘束されていたのですよ!わかっていたなら、なぜそれを避けようと思わないのです!?」

「その理由自体はわからない。だが、カイルさんが知ってたってのは確かだと思うよ。さっき、ルーリアに謝罪の言葉を言っている間、カイルさんには{罪悪感}や{後ろめたさ}といった感情の代わりに{安心}があった。カイルさんは決して心を軽んじるようなヒトではない。なのに、そこに{罪悪感}はなく、{安心}している」

「すると、その{安心}はなにに対するものなのか、という疑問が出てくる。少し考えたが、俺には戦争の結果に対するものなのではないかと考えた」
「負けたのに、{安心}ですの?」
「あぁ。俺も何故だかわからなかったが、この世界には二つ名ダブルがある。皇帝になるようなやつがなにも持っていないとは考えにくい」

俺はカイルに向き直る。
「カイルさん。あんたはドルガバがうちに戦争を仕掛け、そして負けるというところまでわかっていたんじゃないのか?」
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界最強の賢者~二度目の転移で辺境の開拓始めました~

夢・風魔
ファンタジー
江藤賢志は高校生の時に、四人の友人らと共に異世界へと召喚された。 「魔王を倒して欲しい」というお決まりの展開で、彼のポジションは賢者。8年後には友人らと共に無事に魔王を討伐。 だが魔王が作り出した時空の扉を閉じるため、単身時空の裂け目へと入っていく。 時空の裂け目から脱出した彼は、異世界によく似た別の異世界に転移することに。 そうして二度目の異世界転移の先で、彼は第三の人生を開拓民として過ごす道を選ぶ。 全ての魔法を網羅した彼は、規格外の早さで村を発展させ──やがて……。 *小説家になろう、カクヨムでも投稿しております。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】引きこもり魔公爵は、召喚おひとり娘を手放せない!

文野さと@ぷんにゃご
恋愛
身寄りがなく、高卒で苦労しながらヘルパーをしていた美玲(みれい)は、ある日、倉庫の整理をしていたところ、誰かに呼ばれて異世界へ召喚されてしまった。 目が覚めた時に見たものは、絶世の美男、リュストレー。しかし、彼は偏屈、生活能力皆無、人間嫌いの引きこもり。 苦労人ゆえに、現実主義者の美玲は、元王太子のリュストレーに前向きになって、自分を現代日本へ返してもらおうとするが、彼には何か隠し事があるようで・・・。 正反対の二人。微妙に噛み合わない関わりの中から生まれるものは? 全39話。

受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-

haruhi8128
ファンタジー
受験を間近に控えた高3の正月。 過労により死んでしまった。 ところがある神様の手伝いがてら異世界に転生することに!? とある商人のもとに生まれ変わったライヤは受験生時代に培った勉強法と、粘り強さを武器に王国でも屈指の人物へと成長する。 前世からの夢であった教師となるという夢を叶えたライヤだったが、周りは貴族出身のエリートばかりで平民であるライヤは煙たがられる。 そんな中、学生時代に築いた唯一のつながり、王国第一王女アンに振り回される日々を送る。 貴族出身のエリートしかいないS級の教師に命じられ、その中に第3王女もいたのだが生徒には舐められるばかり。 平民で、特別な才能もないライヤに彼らの教師が務まるのか……!? 努力型主人公を書いて見たくて挑戦してみました! 前作の「戦力より戦略。」よりは文章も見やすく、内容も統一できているのかなと感じます。 是非今後の励みにしたいのでお気に入り登録や感想もお願いします! 話ごとのちょっとしたものでも構いませんので!

処理中です...