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国家戦争
皇帝との会談
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「あなたがドルガバの皇帝ですか。わたくしはランガル王国王女ルーリアと申しますわ。お目通りかない、光栄ですわ。今回は戦争の事後処理という形でお伺いさせて頂いたという事で間違いないでしょうか」
「そうだな。今回は俺の意図したことではないとはいえ、そちらの国に迷惑をかけたことは申し訳ないと思っている。この場で謝罪したい」
「幸い、こちらにも被害は出ませんでしたし、あまり気に病まないで頂けますか?お姫様方より事情も聞いておりますので…」
「そう言って頂けるとありがたいのだが…。そちらの方は納得していないようだな」
そう言って俺に視線を向ける。
「じゃあ、いくつかだけ質問させてもらっても構わないか?」
「もちろんだ」
俺の言葉遣いにルーリアとレインが慌てているが、カイルさんは気にもかけていないようだ。大物だな。
「じゃあ、まず1つ目。カイルさんはドルガバの皇帝らしいけど、どこの種族なんだ?」
「見てもらったらわかる通り、ライオンだ。まぁ、種族長自体は既に息子に譲っているがね」
なるほどな。だからライオン族が参加していたのか。長の命令には従わなきゃいけないだろうからなぜ捕まっていた皇帝の種族が攻めてくるのかが疑問だったんだ。
「じゃあ2つ目。どうしてこんなことになるまで放っておいたんだ?他国に頼るなり、まだやれることがあったんじゃないのか?」
「それはその通りだ。だが、俺がそう思っていても国は動かない。各種族の長が賛同しなければ国として行動を起こすわけにはいかないんだよ。話し合いのために首長会議が存在している訳だしな。」
皇帝とは言っても独裁ではないのか。勝手に独裁政治なんじゃないかと思ってたけど、民主制だったんだな。
「最後の質問だ。お前あいつらが戦争起こすの知ってただろ」
ルーリアがビックリしてこちらを見る。
「そんな、あり得ませんわ!カイル殿は戦争を企てた方々によって拘束されていたのですよ!わかっていたなら、なぜそれを避けようと思わないのです!?」
「その理由自体はわからない。だが、カイルさんが知ってたってのは確かだと思うよ。さっき、ルーリアに謝罪の言葉を言っている間、カイルさんには{罪悪感}や{後ろめたさ}といった感情の代わりに{安心}があった。カイルさんは決して心を軽んじるようなヒトではない。なのに、そこに{罪悪感}はなく、{安心}している」
「すると、その{安心}はなにに対するものなのか、という疑問が出てくる。少し考えたが、俺には戦争の結果に対するものなのではないかと考えた」
「負けたのに、{安心}ですの?」
「あぁ。俺も何故だかわからなかったが、この世界には二つ名がある。皇帝になるようなやつがなにも持っていないとは考えにくい」
俺はカイルに向き直る。
「カイルさん。あんたはドルガバがうちに戦争を仕掛け、そして負けるというところまでわかっていたんじゃないのか?」
「そうだな。今回は俺の意図したことではないとはいえ、そちらの国に迷惑をかけたことは申し訳ないと思っている。この場で謝罪したい」
「幸い、こちらにも被害は出ませんでしたし、あまり気に病まないで頂けますか?お姫様方より事情も聞いておりますので…」
「そう言って頂けるとありがたいのだが…。そちらの方は納得していないようだな」
そう言って俺に視線を向ける。
「じゃあ、いくつかだけ質問させてもらっても構わないか?」
「もちろんだ」
俺の言葉遣いにルーリアとレインが慌てているが、カイルさんは気にもかけていないようだ。大物だな。
「じゃあ、まず1つ目。カイルさんはドルガバの皇帝らしいけど、どこの種族なんだ?」
「見てもらったらわかる通り、ライオンだ。まぁ、種族長自体は既に息子に譲っているがね」
なるほどな。だからライオン族が参加していたのか。長の命令には従わなきゃいけないだろうからなぜ捕まっていた皇帝の種族が攻めてくるのかが疑問だったんだ。
「じゃあ2つ目。どうしてこんなことになるまで放っておいたんだ?他国に頼るなり、まだやれることがあったんじゃないのか?」
「それはその通りだ。だが、俺がそう思っていても国は動かない。各種族の長が賛同しなければ国として行動を起こすわけにはいかないんだよ。話し合いのために首長会議が存在している訳だしな。」
皇帝とは言っても独裁ではないのか。勝手に独裁政治なんじゃないかと思ってたけど、民主制だったんだな。
「最後の質問だ。お前あいつらが戦争起こすの知ってただろ」
ルーリアがビックリしてこちらを見る。
「そんな、あり得ませんわ!カイル殿は戦争を企てた方々によって拘束されていたのですよ!わかっていたなら、なぜそれを避けようと思わないのです!?」
「その理由自体はわからない。だが、カイルさんが知ってたってのは確かだと思うよ。さっき、ルーリアに謝罪の言葉を言っている間、カイルさんには{罪悪感}や{後ろめたさ}といった感情の代わりに{安心}があった。カイルさんは決して心を軽んじるようなヒトではない。なのに、そこに{罪悪感}はなく、{安心}している」
「すると、その{安心}はなにに対するものなのか、という疑問が出てくる。少し考えたが、俺には戦争の結果に対するものなのではないかと考えた」
「負けたのに、{安心}ですの?」
「あぁ。俺も何故だかわからなかったが、この世界には二つ名がある。皇帝になるようなやつがなにも持っていないとは考えにくい」
俺はカイルに向き直る。
「カイルさん。あんたはドルガバがうちに戦争を仕掛け、そして負けるというところまでわかっていたんじゃないのか?」
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