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王の試練
囮は損って言われるけどそうでもないことも多々あるよね
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ここで俺は部屋の外でキラの様子を見ておろおろしているルーリアを見つけた。
「おい、こういう時こそお前の出番じゃないのか」
「リブレ様……。しかし私はキラがあれほど取り乱したところを見たことが無いのです。キラの言うことですから根拠のないものだとは思いませんが、真偽を計りかねていて……」
【暴走姫】なんて二つ名ついてるのにこういう時は冷静なんだな。あ、これはあれか。他人が自分より冷静じゃなかったらなんか一気に自分が冷静になるやつ。キラが普段冷静なだけにより顕著にそれが出ているのかもな。
「その話なら本当だ。俺が調べた。ハンネにも確認を取ってもらおうと思ったんだけどどこにいるかわかる?」
「ハンネなら後ろに……」
「いますよー」
なんだよ! 普通に声かけろよ!
「なんで無言で後ろに回り込んでんだよ!」
敵意はないからわかんないしさー。
「それはお茶目心というやつだよ。で、硝石、あぁ硝石と呼ばれている物の真偽やっけ?」
「あぁ、そうだ。急いで調べてもら……」
「もう調べたよ」
早いな!
「あのキラがあんなに血相変えてるんだ。ただ事じゃない。すぐに周りから話を聞いて調べたのさ。まぁ私にとってすれば楽な仕事だったね」
「で、結果は?」
「完璧に黒。全くの別物だ。なんの石かまではわかってないから一概には言えないけど、人体への影響もないとは言い切れない」
「そして貴族たちの中にその黒幕がいると……?」
「俺はそう確信してる。だけどとっかかりがない」
応答してから気づいた。ルーリアから凄い黒いオーラがでてる。
「とっかかり? 必要ないです。一人ひとり聞いてみればわかりますから」
静かなのが逆に怖い。しかもそれ体に聞くってやつだよね。
「待て待て待て待て」
ハンネとレインも加わって、部屋に突入して尋問を始めようとしているルーリアを押さえつける。
「そんなことしたら解決はしても王政が死ぬぞ。王様に迷惑はかけられないだろ」
その一言で少し冷静になったらしい。
「じゃあどうしろと言うんですか」
そうだな。
「とりあえずあの場を終わらせてくれ。後にまた場を設けるとか言って。とにかくキラをあのままにしておくのはまずい」
「それはあたしも同意見だね。あのままじゃ黒幕以外の反感もかってしまう」
「わかりました」
そう言ってルーリアが颯爽と出ていく。
その間に……。
「ハンネ、君はその石の正体を探ってくれないか。何なのかわかっていたほうが絶対に相手を抑え込みやすい」
「なんであたしが……」
「協力してくれたらキラの説得に協力しよう」
「わかった! 頑張る!!」
ちょろいな。
「あれ? あたしはあんたも解剖したいんだけど…」
「さて、レイン」
俺はなんにも聞こえなーい。
レインが激しくつっこみたそうな顔をしているがどうにかこらえてくれたようだ。
「ここまで関わった以上俺は黒幕を見つけたいと思う。お前はどうする?」
「ついていきますよ。リブレさんは僕のパートナーですから」
うれしいことを言ってくれる。
「あはは、迷惑かけちゃったみたいだね」
お、キラがルーリアと戻ってきた。
「ここでは話しづらい。どっか部屋はないか?」
「なら私の部屋を使ってください。普通のひとは来れませんし」
そう言うので来てみたものの……。
広っ!!
え? これ一人部屋?
「少々狭いですがどうぞおかけになってください」
狭い? これが?
隣でレインもは? って顔をしてる。同士よ。
1つの部屋がレインの家の1フロアより大きいとかある?
「で、どうしてここに集まったのかな?」
そうだった。その話だ。
「俺としてはここまで関わった以上最後まで協力したいんだが構わないか?」
「むしろこちらからお願いしますわ。キラも信用しているようですし」
「じゃあここの4人とハンネは協力関係にあるとして話を進めるぞ」
正直もっと人数は欲しかったが。
「まずルーリアだが、普段通りにしていてくれ」
「それで黒幕を見つけられますの?」
「いやルーリアには何もしないでほしいんだ。いくらなんでも姫様が黒幕を探しているとなれば城中が大混乱になる。それが狙いである可能性を排除できない以上動かれるのは好ましくない」
建前でほんとはこの娘が動くとどうせ面倒なことになるだろうからだ。
「そしてキラ。逆にお前は全力で黒幕を探してくれ」
「いいのかい?」
「お前はもうみんなの前で気づいたことを暴露しちまってるからな。派手に動いても誰も調べていること自体は怪しまない」
「じゃあ二人はどうするんだい?」
「俺らが黒幕をひきずり出すのさ。俺らはほとんどの城内の人間に認知されてないからな。自由に動いていい許可さえもらえればこれほど調査にうってつけのやつはいない。キラが動くことによって他への警戒は手薄になるだろうしな」
「わかりました。お二人への許可は私が手をまわしておきます」
「助かる」
「あ、あと1点だけよろしいでしょうか」
「なんだ?」
「さきほどキラを連れ戻す際についかっとなって5日以内に査問会を開くと言ってしまったので、タイムリミットがあります」
初耳だな。
「なんでそう血の気が多いんだよ!」
「申し訳ありません!」
多少の誤算はあったがしょうがない。
「これは1国の姫ルーリアから依頼を受けたという体でいいかな?」
「それで構いません」
オッケー。それじゃ任務をしましょうかね。
「おい、こういう時こそお前の出番じゃないのか」
「リブレ様……。しかし私はキラがあれほど取り乱したところを見たことが無いのです。キラの言うことですから根拠のないものだとは思いませんが、真偽を計りかねていて……」
【暴走姫】なんて二つ名ついてるのにこういう時は冷静なんだな。あ、これはあれか。他人が自分より冷静じゃなかったらなんか一気に自分が冷静になるやつ。キラが普段冷静なだけにより顕著にそれが出ているのかもな。
「その話なら本当だ。俺が調べた。ハンネにも確認を取ってもらおうと思ったんだけどどこにいるかわかる?」
「ハンネなら後ろに……」
「いますよー」
なんだよ! 普通に声かけろよ!
「なんで無言で後ろに回り込んでんだよ!」
敵意はないからわかんないしさー。
「それはお茶目心というやつだよ。で、硝石、あぁ硝石と呼ばれている物の真偽やっけ?」
「あぁ、そうだ。急いで調べてもら……」
「もう調べたよ」
早いな!
「あのキラがあんなに血相変えてるんだ。ただ事じゃない。すぐに周りから話を聞いて調べたのさ。まぁ私にとってすれば楽な仕事だったね」
「で、結果は?」
「完璧に黒。全くの別物だ。なんの石かまではわかってないから一概には言えないけど、人体への影響もないとは言い切れない」
「そして貴族たちの中にその黒幕がいると……?」
「俺はそう確信してる。だけどとっかかりがない」
応答してから気づいた。ルーリアから凄い黒いオーラがでてる。
「とっかかり? 必要ないです。一人ひとり聞いてみればわかりますから」
静かなのが逆に怖い。しかもそれ体に聞くってやつだよね。
「待て待て待て待て」
ハンネとレインも加わって、部屋に突入して尋問を始めようとしているルーリアを押さえつける。
「そんなことしたら解決はしても王政が死ぬぞ。王様に迷惑はかけられないだろ」
その一言で少し冷静になったらしい。
「じゃあどうしろと言うんですか」
そうだな。
「とりあえずあの場を終わらせてくれ。後にまた場を設けるとか言って。とにかくキラをあのままにしておくのはまずい」
「それはあたしも同意見だね。あのままじゃ黒幕以外の反感もかってしまう」
「わかりました」
そう言ってルーリアが颯爽と出ていく。
その間に……。
「ハンネ、君はその石の正体を探ってくれないか。何なのかわかっていたほうが絶対に相手を抑え込みやすい」
「なんであたしが……」
「協力してくれたらキラの説得に協力しよう」
「わかった! 頑張る!!」
ちょろいな。
「あれ? あたしはあんたも解剖したいんだけど…」
「さて、レイン」
俺はなんにも聞こえなーい。
レインが激しくつっこみたそうな顔をしているがどうにかこらえてくれたようだ。
「ここまで関わった以上俺は黒幕を見つけたいと思う。お前はどうする?」
「ついていきますよ。リブレさんは僕のパートナーですから」
うれしいことを言ってくれる。
「あはは、迷惑かけちゃったみたいだね」
お、キラがルーリアと戻ってきた。
「ここでは話しづらい。どっか部屋はないか?」
「なら私の部屋を使ってください。普通のひとは来れませんし」
そう言うので来てみたものの……。
広っ!!
え? これ一人部屋?
「少々狭いですがどうぞおかけになってください」
狭い? これが?
隣でレインもは? って顔をしてる。同士よ。
1つの部屋がレインの家の1フロアより大きいとかある?
「で、どうしてここに集まったのかな?」
そうだった。その話だ。
「俺としてはここまで関わった以上最後まで協力したいんだが構わないか?」
「むしろこちらからお願いしますわ。キラも信用しているようですし」
「じゃあここの4人とハンネは協力関係にあるとして話を進めるぞ」
正直もっと人数は欲しかったが。
「まずルーリアだが、普段通りにしていてくれ」
「それで黒幕を見つけられますの?」
「いやルーリアには何もしないでほしいんだ。いくらなんでも姫様が黒幕を探しているとなれば城中が大混乱になる。それが狙いである可能性を排除できない以上動かれるのは好ましくない」
建前でほんとはこの娘が動くとどうせ面倒なことになるだろうからだ。
「そしてキラ。逆にお前は全力で黒幕を探してくれ」
「いいのかい?」
「お前はもうみんなの前で気づいたことを暴露しちまってるからな。派手に動いても誰も調べていること自体は怪しまない」
「じゃあ二人はどうするんだい?」
「俺らが黒幕をひきずり出すのさ。俺らはほとんどの城内の人間に認知されてないからな。自由に動いていい許可さえもらえればこれほど調査にうってつけのやつはいない。キラが動くことによって他への警戒は手薄になるだろうしな」
「わかりました。お二人への許可は私が手をまわしておきます」
「助かる」
「あ、あと1点だけよろしいでしょうか」
「なんだ?」
「さきほどキラを連れ戻す際についかっとなって5日以内に査問会を開くと言ってしまったので、タイムリミットがあります」
初耳だな。
「なんでそう血の気が多いんだよ!」
「申し訳ありません!」
多少の誤算はあったがしょうがない。
「これは1国の姫ルーリアから依頼を受けたという体でいいかな?」
「それで構いません」
オッケー。それじゃ任務をしましょうかね。
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