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教師3年目

デート?

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「よーし、今日は遊ぶわよ!」 

アンが右手を高く掲げる。 
本日のアンは普段とはかなり違う格好。 
シンプルな白シャツにジーパンのようなパンツ姿。 
普段のようなつばが大きなタイプの帽子ではなく、スポーティーなキャップを被っている。 
聞いた話によれば、全てフィオナが作ったものらしい。 
家でやることがないからと、趣味が高じて最早ファッションデザイナーのようだ。 

腰まで伸びた綺麗な白髪を頭の後ろの方でお団子にしたアン。 
うなじが見えてとても健康的でグッドです。 

「ほら、行くわよ!」 

アンはライヤの手を引く。 
ちなみにライヤもアンに合わせてコーディネートされている。 
ただ、フィオナによってコーディネートされたはずのライヤはすでにアンを引き立てるだけの存在と化している。 
今日のアンは自分が自分であるということを隠していない。 
つまり、その白髪と紅い瞳を大っぴらにしている。 
圧倒的美少女であるアンが自分の存在を惜しげもなく晒しているのだから、それは衆目の視線を惹きつける。 
その上、そんな美少女が隣にいる男の子と心底楽しそうにしているのだ。 
その笑顔を見るだけで人々を笑顔にできるような魅力をアンは振りまいていた。 

さて、ここで疑問が一つ。 
なぜ二人は動きやすい格好でのデートを行っているのか。 

「ライヤそっち三匹!」 
「はいはい……」 

魔物狩りに来ているからであった。 
森の中で増えてしまった魔物への討伐依頼がキリシュライトのもとへ来ていた。 
これ幸いとばかりに飛びついたアンはライヤを伴ってストレス発散に来たのだった。 

「ウォーターフィールド!」 
「……雷の矢」 

アンが周囲にいる魔物の足元に水場を展開する。 
一拍遅れてライヤは意図を理解し、電撃を流す。 
一撃で絶命とまではいかないまでも、感電して動きが鈍くなった魔物たちを順に処していく簡単なお仕事である。 

「一旦休憩しようか」  

アンが出した水魔法は周囲の水を利用したものではなく、生み出したものだったので魔法を消せば元通り。 
多少大地が水に濡れるが、そんなもんである。 
しかし、ライヤの放った雷魔法で見るからに触ってはダメそうな容貌をしている草たち。 

「……一旦ここからは離れるか」 
「? そうね」 

草木たちに罪悪感のあったライヤはそこを離れることを提案する。 
アンも疑問に思いながらもついてきてくれた。 

 「こうしていると、昔を思い出すねー」 

森を抜けた先、ちょっとした平原。 
ライヤの腿に頭をのせてニコッと笑うアン。 
確かに昔はハイキングによくいっていたが、働き始めてからハイキングどころか休みもろくに取れない。 
特にズンバに来てからはハイキングは初めてだ。 

「こっちはちょっとじめじめしてるな」 
「そうだねー。まぁ、こういうしっとりした風も偶にはいいね」 

王国は比較的乾燥した気候なので風はさらっとしている。 
国としてハイキングが流行っている一因だ。 
そして海洋諸国連合。 
ほとんどの地が海に近いだけあって水分を含んだ風になっている。 
ハイキングがあまり推奨されていないのも頷ける。 

「ちょっとゆっくりしたら、また狩りにもどろっか!」 
「仰せのままに、お姫様」 
「うむ、苦しゅうない!」 

そう言ってニヒヒと笑うアンは表情は幸せに満ちていた。 
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