318 / 328
教師3年目
デート?
しおりを挟む
「よーし、今日は遊ぶわよ!」
アンが右手を高く掲げる。
本日のアンは普段とはかなり違う格好。
シンプルな白シャツにジーパンのようなパンツ姿。
普段のようなつばが大きなタイプの帽子ではなく、スポーティーなキャップを被っている。
聞いた話によれば、全てフィオナが作ったものらしい。
家でやることがないからと、趣味が高じて最早ファッションデザイナーのようだ。
腰まで伸びた綺麗な白髪を頭の後ろの方でお団子にしたアン。
うなじが見えてとても健康的でグッドです。
「ほら、行くわよ!」
アンはライヤの手を引く。
ちなみにライヤもアンに合わせてコーディネートされている。
ただ、フィオナによってコーディネートされたはずのライヤはすでにアンを引き立てるだけの存在と化している。
今日のアンは自分が自分であるということを隠していない。
つまり、その白髪と紅い瞳を大っぴらにしている。
圧倒的美少女であるアンが自分の存在を惜しげもなく晒しているのだから、それは衆目の視線を惹きつける。
その上、そんな美少女が隣にいる男の子と心底楽しそうにしているのだ。
その笑顔を見るだけで人々を笑顔にできるような魅力をアンは振りまいていた。
さて、ここで疑問が一つ。
なぜ二人は動きやすい格好でのデートを行っているのか。
「ライヤそっち三匹!」
「はいはい……」
魔物狩りに来ているからであった。
森の中で増えてしまった魔物への討伐依頼がキリシュライトのもとへ来ていた。
これ幸いとばかりに飛びついたアンはライヤを伴ってストレス発散に来たのだった。
「ウォーターフィールド!」
「……雷の矢」
アンが周囲にいる魔物の足元に水場を展開する。
一拍遅れてライヤは意図を理解し、電撃を流す。
一撃で絶命とまではいかないまでも、感電して動きが鈍くなった魔物たちを順に処していく簡単なお仕事である。
「一旦休憩しようか」
アンが出した水魔法は周囲の水を利用したものではなく、生み出したものだったので魔法を消せば元通り。
多少大地が水に濡れるが、そんなもんである。
しかし、ライヤの放った雷魔法で見るからに触ってはダメそうな容貌をしている草たち。
「……一旦ここからは離れるか」
「? そうね」
草木たちに罪悪感のあったライヤはそこを離れることを提案する。
アンも疑問に思いながらもついてきてくれた。
「こうしていると、昔を思い出すねー」
森を抜けた先、ちょっとした平原。
ライヤの腿に頭をのせてニコッと笑うアン。
確かに昔はハイキングによくいっていたが、働き始めてからハイキングどころか休みもろくに取れない。
特にズンバに来てからはハイキングは初めてだ。
「こっちはちょっとじめじめしてるな」
「そうだねー。まぁ、こういうしっとりした風も偶にはいいね」
王国は比較的乾燥した気候なので風はさらっとしている。
国としてハイキングが流行っている一因だ。
そして海洋諸国連合。
ほとんどの地が海に近いだけあって水分を含んだ風になっている。
ハイキングがあまり推奨されていないのも頷ける。
「ちょっとゆっくりしたら、また狩りにもどろっか!」
「仰せのままに、お姫様」
「うむ、苦しゅうない!」
そう言ってニヒヒと笑うアンは表情は幸せに満ちていた。
アンが右手を高く掲げる。
本日のアンは普段とはかなり違う格好。
シンプルな白シャツにジーパンのようなパンツ姿。
普段のようなつばが大きなタイプの帽子ではなく、スポーティーなキャップを被っている。
聞いた話によれば、全てフィオナが作ったものらしい。
家でやることがないからと、趣味が高じて最早ファッションデザイナーのようだ。
腰まで伸びた綺麗な白髪を頭の後ろの方でお団子にしたアン。
うなじが見えてとても健康的でグッドです。
「ほら、行くわよ!」
アンはライヤの手を引く。
ちなみにライヤもアンに合わせてコーディネートされている。
ただ、フィオナによってコーディネートされたはずのライヤはすでにアンを引き立てるだけの存在と化している。
今日のアンは自分が自分であるということを隠していない。
つまり、その白髪と紅い瞳を大っぴらにしている。
圧倒的美少女であるアンが自分の存在を惜しげもなく晒しているのだから、それは衆目の視線を惹きつける。
その上、そんな美少女が隣にいる男の子と心底楽しそうにしているのだ。
その笑顔を見るだけで人々を笑顔にできるような魅力をアンは振りまいていた。
さて、ここで疑問が一つ。
なぜ二人は動きやすい格好でのデートを行っているのか。
「ライヤそっち三匹!」
「はいはい……」
魔物狩りに来ているからであった。
森の中で増えてしまった魔物への討伐依頼がキリシュライトのもとへ来ていた。
これ幸いとばかりに飛びついたアンはライヤを伴ってストレス発散に来たのだった。
「ウォーターフィールド!」
「……雷の矢」
アンが周囲にいる魔物の足元に水場を展開する。
一拍遅れてライヤは意図を理解し、電撃を流す。
一撃で絶命とまではいかないまでも、感電して動きが鈍くなった魔物たちを順に処していく簡単なお仕事である。
「一旦休憩しようか」
アンが出した水魔法は周囲の水を利用したものではなく、生み出したものだったので魔法を消せば元通り。
多少大地が水に濡れるが、そんなもんである。
しかし、ライヤの放った雷魔法で見るからに触ってはダメそうな容貌をしている草たち。
「……一旦ここからは離れるか」
「? そうね」
草木たちに罪悪感のあったライヤはそこを離れることを提案する。
アンも疑問に思いながらもついてきてくれた。
「こうしていると、昔を思い出すねー」
森を抜けた先、ちょっとした平原。
ライヤの腿に頭をのせてニコッと笑うアン。
確かに昔はハイキングによくいっていたが、働き始めてからハイキングどころか休みもろくに取れない。
特にズンバに来てからはハイキングは初めてだ。
「こっちはちょっとじめじめしてるな」
「そうだねー。まぁ、こういうしっとりした風も偶にはいいね」
王国は比較的乾燥した気候なので風はさらっとしている。
国としてハイキングが流行っている一因だ。
そして海洋諸国連合。
ほとんどの地が海に近いだけあって水分を含んだ風になっている。
ハイキングがあまり推奨されていないのも頷ける。
「ちょっとゆっくりしたら、また狩りにもどろっか!」
「仰せのままに、お姫様」
「うむ、苦しゅうない!」
そう言ってニヒヒと笑うアンは表情は幸せに満ちていた。
0
お気に入りに追加
71
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの断罪イベントが終わった世界で転生したモブは何を思う
ひなクラゲ
ファンタジー
ここは乙女ゲームの世界
悪役令嬢の断罪イベントも終わり、無事にエンディングを迎えたのだろう…
主人公と王子の幸せそうな笑顔で…
でも転生者であるモブは思う
きっとこのまま幸福なまま終わる筈がないと…
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
転生したら大好きな乙女ゲームの世界だったけど私は妹ポジでしたので、元気に小姑ムーブを繰り広げます!
つなかん
ファンタジー
なんちゃってヴィクトリア王朝を舞台にした乙女ゲーム、『ネバーランドの花束』の世界に転生!? しかし、そのポジションはヒロインではなく少ししか出番のない元婚約者の妹! これはNTRどころの騒ぎではないんだが!
第一章で殺されるはずの推しを救済してしまったことで、原作の乙女ゲーム展開はまったくなくなってしまい――。
***
黒髪で、魔法を使うことができる唯一の家系、ブラッドリー家。その能力を公共事業に生かし、莫大な富と権力を持っていた。一方、遺伝によってのみ継承する魔力を独占するため、下の兄弟たちは成長速度に制限を加えられる負の側面もあった。陰謀渦巻くパラレル展開へ。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
公爵夫人のやけごはん〜旦那様が帰ってこない夜の秘密のお茶会〜
白琴音彩
ファンタジー
初夜をすっぽかされ続けている公爵夫人ヴィヴィアーナ。今日もベットにひとりの彼女は、仲間を集めて厨房へ向かう。
公爵夫人が公爵邸の使用人たちとおいしく夜食を食べているだけのほのぼのコメディです。
*1話完結型。
*リアルタイム投稿
*主人公かなり大雑把なので気になる人はUターン推奨です。
*食べ盛りの女子高校生が夜中にこっそりつくる夜食レベル
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい(完結)
優摘
ファンタジー
※プロローグ以降の各話に題名をつけて、加筆、減筆、修正をしています。(’23.9.11)
<内容紹介>
ある日目覚めた「私」は、自分が乙女ゲームの意地悪で傲慢な悪役令嬢アリアナになっている事に気付いて愕然とする。
しかもアリアナは第一部のモブ系悪役令嬢!。悪役なのに魔力がゼロの最弱キャラだ。
このままではゲームの第一部で婚約者のディーンに断罪され、学園卒業後にロリコン親父と結婚させられてしまう!
「私」はロリコン回避の為にヒロインや婚約者、乙女ゲームの他の攻略対象と関わらないようにするが、なぜかうまく行かない。
しかもこの乙女ゲームは、未知の第3部まであり、先が読めない事ばかり。
意地悪で傲慢な悪役令嬢から、お人よしで要領の悪い公爵令嬢になったアリアナは、頭脳だけを武器にロリコンから逃げる為に奮闘する。
だけど、アリアナの身体の中にはゲームの知識を持つ「私」以外に本物の「アリアナ」が存在するみたい。
さらに自分と同じ世界の前世を持つ、登場人物も現れる。
しかも超がつく鈍感な「私」は周りからのラブに全く気付かない。
そして「私」とその登場人物がゲーム通りの動きをしないせいか、どんどんストーリーが変化していって・・・。
一年以上かかりましたがようやく完結しました。
また番外編を書きたいと思ってます。
カクヨムさんで加筆修正したものを、少しずつアップしています。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる