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教師3年目
顔芸
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「段々と形になってきたな」
「色んな意味でですねー」
最初は壊滅的だった生徒たちの魔力制御。
みるみるうちにとはいかずとも、徐々に改善がみられ、最初のように暴発で事故が多発することは無くなった。
何なら、彼ら自身が事故に慣れてこれ以上やったらヤバいというラインを察し始めたのが大きい。
大事になる前に自分でやめるので怪我するにしても軽傷で済んでおり、その都度ヨルが回復をする必要もない。
非常に快適である。
「こう考えると、F級とかの先生の方がS級の教師よりも凄いよな。どっちの方が優れてるっていうのはないけど、頑張ってるのはF急に近い先生の方だとは思う。だってさ、考えても見ろよ。1人で何人の生徒を見てると思ってるんだ」
「確かに……」
生徒に統率なんてものは無い。
ひとたび授業が始まれば、自由に挑戦を始める。
悪意のないチャレンジだからこちらが強制的に止めるわけにもいかないというところがみそだ。
魔力量の関係で大きな事故になるのはよりS級に近い方だろうが、それを超える心労があるだろう。
「でも、学園ではこんなに事故っていませんよね? 何が違うんでしょうか」
「考えられるのはいくつかあるよな」
まず、貴族並みの魔力量を持つ生徒たがこれほど一斉に魔力制御を習う機会がないという事。
学園でも同じ規模で授業を行えばこちらと同じく事故が頻発するのかもしれない。
次に、学年が違う生徒が一緒に学んでいること。
ライヤはこれが一番大きいのではないかと考えている。
高学年である年齢の生徒は年下よりもいいところを見せようとして無理をし、結果として暴発する。
低学年の生徒はそんな高学年の生徒の様子を見て手本として真似をするのでこれまた暴発する。
「初等教育って大事なんだなと実感したよ。今度また1年生を受け持つ時が来たら、より丁寧に教えられそうだ」
「おぉ……?」
青空教室から一歩進んで屋根付きの簡易的な勉強場所が出来た。
そして全員の学力を把握するための簡易テストを行ったのだが、軒並み成績がいい。
特に算数・数学。
「諸国連合は互いに交易を行って貨幣を循環させることで成り立っていましたから、お金の動きに敏感なんですよ。だから、最初に算数から教え始めるんです。特に領主クラスが計算できないとその領地が終わりますから」
「にしてはキリトは壊滅的だったけど」
「諦められてたんじゃないですか?」
「先生たち……。俺にわざわざ聞こえるように言うのはやめませんか……?」
ダメージを受けているキリト。
そんな大層なプライドがあったのか。
「ぐっ……!」
迫真の顔芸である。
「色んな意味でですねー」
最初は壊滅的だった生徒たちの魔力制御。
みるみるうちにとはいかずとも、徐々に改善がみられ、最初のように暴発で事故が多発することは無くなった。
何なら、彼ら自身が事故に慣れてこれ以上やったらヤバいというラインを察し始めたのが大きい。
大事になる前に自分でやめるので怪我するにしても軽傷で済んでおり、その都度ヨルが回復をする必要もない。
非常に快適である。
「こう考えると、F級とかの先生の方がS級の教師よりも凄いよな。どっちの方が優れてるっていうのはないけど、頑張ってるのはF急に近い先生の方だとは思う。だってさ、考えても見ろよ。1人で何人の生徒を見てると思ってるんだ」
「確かに……」
生徒に統率なんてものは無い。
ひとたび授業が始まれば、自由に挑戦を始める。
悪意のないチャレンジだからこちらが強制的に止めるわけにもいかないというところがみそだ。
魔力量の関係で大きな事故になるのはよりS級に近い方だろうが、それを超える心労があるだろう。
「でも、学園ではこんなに事故っていませんよね? 何が違うんでしょうか」
「考えられるのはいくつかあるよな」
まず、貴族並みの魔力量を持つ生徒たがこれほど一斉に魔力制御を習う機会がないという事。
学園でも同じ規模で授業を行えばこちらと同じく事故が頻発するのかもしれない。
次に、学年が違う生徒が一緒に学んでいること。
ライヤはこれが一番大きいのではないかと考えている。
高学年である年齢の生徒は年下よりもいいところを見せようとして無理をし、結果として暴発する。
低学年の生徒はそんな高学年の生徒の様子を見て手本として真似をするのでこれまた暴発する。
「初等教育って大事なんだなと実感したよ。今度また1年生を受け持つ時が来たら、より丁寧に教えられそうだ」
「おぉ……?」
青空教室から一歩進んで屋根付きの簡易的な勉強場所が出来た。
そして全員の学力を把握するための簡易テストを行ったのだが、軒並み成績がいい。
特に算数・数学。
「諸国連合は互いに交易を行って貨幣を循環させることで成り立っていましたから、お金の動きに敏感なんですよ。だから、最初に算数から教え始めるんです。特に領主クラスが計算できないとその領地が終わりますから」
「にしてはキリトは壊滅的だったけど」
「諦められてたんじゃないですか?」
「先生たち……。俺にわざわざ聞こえるように言うのはやめませんか……?」
ダメージを受けているキリト。
そんな大層なプライドがあったのか。
「ぐっ……!」
迫真の顔芸である。
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