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教師3年目

ズンバの街

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「今日はこのズンバの街をご案内させていただきます、ミクと申します」
「そんなに他人行儀な事ある?」

改めてズンバの街を見て歩くと領主に伝えたら、やたら他人行儀のミクが来た。

「冗談です。一応、お義父様から依頼されましたので最初くらいは依頼の体を作っておこうかと思いまして」
「わざわざミクに案内してもらわなくても、勝手に歩き回るけど?」
「私も家にいたらお手伝いをさせられるだけなので渡りに船だったのです。そういうわけですから、案内させていただけると嬉しいです」
「あぁー……」

覚えがある。
何をするでもなく、家にいたりすると何かしら手伝いをやらされるのはどこでも一緒なようだ。
その解決法としては、他に用事があること。
特に、他人が関わっている予定だと親もそれを放っておいて他の事をしろとは言いにくい。

「なら、キリトはどうした?」
「キリト君は宿題に追われてます」
「この前終わったって言って喜んでなかったか?」
「えぇ。それで宿題をイリーナ様に送って喜んでいたのですが、翌日また差出人がイリーナ様の小包が届きまして。まるでキリト君がどのくらいで宿題を終えているかを見透かしているようなタイミングでした」
「それで、またあいつは机に向かってるのか」
「はい。椅子に座って数分は茫然としていましたが。先ほど見てみたらほぼ半泣きでしたがちゃんとやっていました」
「……」

イリーナの手の届く範囲を離れてもその圧からは逃れられないのか。
いや、キリトには送られてくるものなんか放っておくという選択肢も一応あったはずだ。
逆に言えば、後に会った時に宿題をしていなかったらどんな目に合うかわからないというのが刷り込まれている証明でもあるか。
天狗になっていたキリトをしつけるにはイリーナが最善の人選だと思ってライヤはイリーナにお願いしたわけだが、最近はその選択を多少疑っている。

「じゃあ、行きましょうか?」

ミクが何にも言わないことから、キリトにはこのくらい必要だと思ってると推測できるが、あまりにも休みがなさ過ぎて可哀想だ。
今度少しだけでも休みをあげるように手紙を送っておこう。




「あら、ミクちゃん! 今日はお使いかい?」
「いえ、こちらの方々をご案内しているところです。この街で一番の八百屋はここなので」
「あらぁ、もう! よくわかってるわね! あんた、ミクちゃんの何だい!?」
「あ、教師です。この度分校を作ることになって……」

一瞬驚いた顔をした八百屋のおばちゃんはすぐに笑顔に戻る。

「先生様かい! こりゃ驚いた! どうするかい? 今日はいいキャベツが入ってるよ!」
「とりあえず今日はやめときます。この後も歩くのであまり重たいものはもてません」
「そうかい! じゃあまた来るのを待ってるよ!」

あったかいおばちゃんだなぁ……。
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