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教師2年目

教訓は継がれる

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「ほぉ」
「志願させていただきました」

最初に進み出てきた人物にライヤは驚きの声をあげる。
だが、本人はいたって冷静で、何なら自分から望んだと言う。

「自信あるなぁ」
「自信など、さらさらないです。ですが、他の方の助けにはなるでしょう」

初めに出てきたのはミク。
実戦テストを初めて受けるキリトとミクは早くても2人目以降に出てくると考えていた。
テストがどのような様子なのかを見てから来るものだと思っていた。

「そういう事を言う奴が一癖も二癖もあったりするんだよな」
「失礼な。私がそんなことをするように見えますか?」
「まぁ、このクラスの中なら一番しそうかな」
「……」

無言でにっこりと笑うミク。
図星じゃねぇか。

「始めよう」
「お願いします!」

開幕、ミクは動きを見せない。
魔力が手に集中しているのが見えるから、魔法の発動準備はしているが、撃ってはこない。

「動いてやるか」

その場から風魔法を背中あたりで発動することでノーモーションで加速するライヤ。
最短でミクへと迫る。

「氷山!」

それを見て、というにはあまりにも早い反応でミクはライヤに向けてとげとげの氷魔法を発動。
ライヤが近づくのを防ぐ格好だ。
だが、残念。

「それは、去年見た」

ウィルがやっていたような、ライヤが迫ってくるのに合わせて罠を置くことで近づけさせないようにする戦法だ。
ライヤの動きを制限できればそれでよし。
こちらから高速で近づいているので制御をミスすれば氷山にぶち当たってライヤに攻撃が当たるチャンスと一石二鳥なのである。

「うっ!?」

ミクは横に転がってライヤを避ける。
塞いでいたはずの前面の氷にはちょうど人一人通れるくらいの穴が開いていた。

「後学のためにどうやったのか教えていただいてもいいですか?」

立ち上がり、剣を構えながらライヤに話しかけるミク。
それは相手を止めようとする意図のものではない。
負けを察したからこその言葉だった。
既にミクの背中にはライヤの手が添えられている。
もう片方の手には剣が握られているはずなので、負けだと判断したのだ。

同じく、もう決着はついたと分かっているライヤもそれに答える。

「単純な話だ。魔力制御で氷魔法の制御を奪って穴をあけただけ。で、ミクが転がって避けてる間は俺から意識が離れていたから後ろに回れただけって話だな」
「私の魔力制御は拙いですか?」
「テストだからはっきり言うけど、まだまだだな。これは俺相手にって話じゃなくて、一般的な話だけど。ミクたちは魔力制御を始めてまだ1年も経ってないし、仕方のないことではあるけど、いざ誰かと戦いになった時に自分の魔法を過信するのはやめておいた方がいい」
「先生でもですか?」
「俺はそれを賢者のじじいに教わったんだ。正直、それまで俺は自分の魔力制御を疑ってなかったけど、上には上がいるもんだと気づかされたよ」

若かりし苦い思い出と言ったところである。
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