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教師2年目

暗雲立ち込める体育祭

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「お邪魔するわね」
「……お、お邪魔します……」

週末。
王妃がライヤ宅を訪れていた。

「せめて先に連絡くらいしてくださいよ……。どこかに出かけていたらどうしたんですか」
「お家で待たせていただいたわ」
「それはそれで……」

家に帰ってきたら王妃が待っているという恐怖。

「で、シャロンも?」
「折角だから連れてきたの」
「何が折角なんですか……」

王妃は開き直っていた。
自分が蒔いた種で自分の娘が1人の男の下に嫁ぐ予定になったのだ。
もう何人でも変わらない! と。
どうせならシャロンの淡い恋心も応援してやろうという考えになっていた。

「夕食も食べていかれますか?」
「フィオナさんの負担にならないのならば、お願いしたいわ。気を悪くしないで欲しいのだけど、毒見は……」
「もちろん、大丈夫です」

アンとは違ってウィルの外出時や王妃の外出時はもちろん護衛がつく。
家の中までは来ていないが、敷地内を巡回中である。
その中に毒見役もいるという事だろう。

「ライヤさんは今度の体育祭についてどう思うの?」
「……決定したのですか」

アンとフィオナの表情が引き締まる。

「ここには生徒たちもいますが」
「どうせ次の月曜日にはわかることよ。それで、どう思うの?」
「……時期尚早だと思います。せめて、4年生くらいでないと……」
「お母様、ライヤさんも。ここまで聞かせたならちゃんと話して下さらないと余計に不安になるだけです」
「(コクコク)」

ウィルとシャロンが共に主張してくる。
大人組で唯一知らないヨルは拗ねてソファーに転がっている。
子どもか。

「簡単に言うと、魔物の討伐レースをするらしい」
「……生徒がですか?」
「あぁ。各クラスで魔物の討伐数を競うんだと。だが、あまりにも危険だ」
「うちの子たちも危険かしら」
「イリーナは大丈夫でしょう。第二王子殿も。ただ、ウィルは……」

ライヤは心配そうにウィルと、隣のシャロンに目を向ける。
あまりにも、実力不足だ。
いや、単純な実力だけで言うなら、王都郊外の魔物程度ならば対応可能な範疇だろう。
しかし、実際に対面すると普段の実力が出せないというのは良くある話だ。
そして何より。
体育祭の形式でやるとなれば、SクラスはFクラスと組むことになる。
単純に授業の進度からしてもFクラスが魔物との戦闘に利用できるような魔法を学んでいる確率は低い。
言い方は悪いが、足枷をして戦うようなものだ。
それも、Sクラス1人につきFクラスが何人になるか。
想像するだけで頭が痛い。

「(フルフル)」

シャロンはもう気を失いそうである。
ゆっくりと首を振っている。

「ライヤさんにも難しいかしら」
「あいにく、俺には膨大な魔力がないですし、1人なので。その形式上、班に分かれて行動するであろう生徒たちを全部見張るのは無理です」

学園は何を考えているんだ。
いや、王国か。
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