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教師2年目

見えない方がヤバい

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「そんなのどこで習ったのよ!」
「え? 街の人たちはやってるでしょ?」
「そんなの限られた人だけよ!」

大抵はそうでもしないとお金に困っている人達だ。
好きでやっている人もいるが。

「そうなの?」
「そうよ! あなたたちも聖王国の聖女がこれでいいの!?」

アンは矛先を護衛達に向けるが、反応は芳しくない。
アンは察する。

「なるほど……。だから強く出れないんだ……」
「お察しの通りで……」

彼らは皆、聖王国の騎士団でありながら聖女の誘惑に負けてしまった者たちだ。
最初の方こそ数が少ないのでバレていなかったが、多くなってバレる頃には処罰するには多すぎる人数となっていた。
結果、聖女の親衛隊として聖女に振り回される存在になったのである。

「とにかく! 簡単に体で解決しようとしちゃダメなの! わかった!?」
「は、はい……」

ミリアリアの方が年上ではあるが、アンの剣幕に怒られたことなど数えるほどしかないミリアリアは素直に頷く。

「わかったら服を着なさい!」
「えー……」
「このっ……!」

アンがひとまずその辺にあった大きなタオルを巻いて締める。

「ちょっと苦しいよー」
「服を着ないなら我慢しなさい!」

既にアンは疲労困憊である。

「見えた……。良かった……」

そこにようやく視力が回復してきたライヤがよろよろと起き上がる。
アンがミリアリアの背後に回ってタオルを締めているので最初に目に入るのはミリアリアである。
隠したと言ってもタオルでその胸部はより強調されたような形。
そしてタオルの長さが足りずにアンがぎりぎりまで締めている状態なので、山頂部の突起物の存在が確認できた。

「アン! まずい、よりまずくなってるから!」
「へ? なにがよ」
「いや、見て! 見て!」
「見て?」

ライヤがわたわたとミリアリアを指さしているのを見て、背後からのぞき込む。
そして抑えつけられて逆に存在感を発揮するその胸部と上から見てこそわかるその突起の見え方。
同性であってもいやらしく見えるような景色。
女性との関わりがアン以外にないライヤにはかなりの刺激であることが予想される。

「ライヤは見ちゃダメ!」
「うおっ!!?」

アンがライヤの顔面に向けて火球を撃ち、ライヤはその魔法の権利を奪って逸らす。

「洒落にならんが!?」
「こっち向くなって言ってるでしょ!」
「人の顔面に向けて魔法を放つ奴が目の前にいるのにどうして目を離せるんだ!?」

ぎゃあぎゃあと言い争いをする2人を眺めるミリアリア。

「仲いいね!」
「今はそこじゃない!」

ミリアリアが口を出したときにようやく2人とも今はそこじゃないのが自分たちだと気づいた。
そこからは迅速だった。
ライヤは本能が見ろと促すのを何とか堪えてソファーの裏にしゃがみ、アンはミリアリアが着てきたローブを拾い上げ上からズボッと被せる。

「前見えない!」
「前見えなくても服は着れるでしょ! 服の着方までわからないとは言わせないわよ!」

背中で止めるタイプの服ならともかく、てるてる坊主のように被るだけでいい代物である。
いくらなんでもわからないなんてことはない。

「えー、でもー……」
「……そろそろ本当に追い出すわよ?」
「ご、ごめんなさい」

馬鹿とはいえ場を読む力はあるらしく、これ以上はアンが限界ですというラインに達するとちゃんと謝る。
これが聖女の世渡り術か。




「それで本当の用件は何?」
「え? そっちの、ライヤ君? を篭絡することだけど?」
「なんで篭絡なんて言葉は知ってるのよ……」

アンはミリアリアの偏った語彙に嘆息する。

「そんなのがこの国では許されるの?」
「国、と言われますと違いますが、ミリアリア様に限っては……」
「そう、いいわ。なら真面目に答えてあげる。あなたなんかにライヤは渡さないわ」
「? 2人って恋人同士だったりするの?」
「違うわ」
「なら、別にいいんじゃん?」

恋愛の倫理には反していない。
あくまで恋愛に関してだけだが。

「ライヤは私の先生なの。それをいきなり取られちゃたまらないわ」
「先生? 何の?」
「魔法とか、色々よ」
「ふーん……。じゃあ、私の先生になってよ!」
「なんでそうなるのよ……」

話が通じない。

「ね、いいでしょお?」
「悪いけど、俺にそのつもりはないよ……。禿げそうだし……」

アンよりも気にしいなライヤにはストレス過多となるだろう。
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