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教師2年目

面接官

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結果から言えば、集団下校の申請は通った。
学園からの要望という事なら、と許可が下りたらしい。
誰が、というところが大事なのがらしいところだが。
これで事態が好転するなら何でもいい。

「引率者としての試験を希望する者は並んでください! あ、そこ、割り込みしないで!」

そして、今回も今回とて生徒の選抜を任されたライヤ。
責任を背負いたくない貴族の先生方曰く、「平民の力量把握は同じ平民のほうが良いだろう」と。
貴族が中心のクラスなどSとAの2つしかなく、残りの5つは平民で構成されることが多い。
なぜそんなメンタルでこの学校で教師をしていられるのだろうか。


「俺なら襲ってきた奴も返り討ちに出来ます!」
「ほー」
「誘拐なんて不届きなことを考えるやつは私が倒します!」
「ふーん」
「軍の方よりも活躍してみせます!」
「ほぉーん」

形式上、面接のようなものも必要にはなるが。

「納得いってなさそうですね」
「わかるか?」

引率者候補として面接を希望している生徒の整列に協力してくれているヨルに少々愚痴を垂れる。

「だってさ、皆口を開けば自分の手柄がどうのこうの……。目標を間違えすぎだろ。そもそも、襲われることがない方が正解なのにさ……」

非日常に少し興奮しているのだろう。
何の考えもなく、応募してきているのだろうと思わざるを得ない。
やる気を出すのもわかる。
彼ら平民にとってはどこかで活躍するしか出世街道を歩む術はない。
そして、活躍できる可能性のある場というのは人生に何度あるかわからない。
気合いも入るだろう。
だが、彼らが集められたのはあくまで女子生徒の安全のため。
そこを履き違えている。
そもそも、ここで多少活躍したところで登用されることなどあり得ない。
そんな説明をしても聞いてくれないが。

「で、何しに来たんだ?」
「俺にもやらせてほしい」
「ほしい?」
「……やらせてください」

前よりはしおらしい様子でライヤの前に立っているのはキリト。

「許可できないな」
「なぜだ!?」
「いや、そんな大声出すことじゃないだろ。俺の立場で、王国と諸国連合の戦争が終わったその後の懸け橋として来ているキリトを危険なことさせられると思うのか?」
「そこを何とか……!」
「そもそも、キリトが王国民であっても許可できない。街中で襲われた時にお前は周りに被害を出さずに撃退なんて器用な真似ができるのか? それが出来ないからイリーナのところに行かせていたはずだが。イリーナはなんて言ってる?」
「イリーナさんは……」

言葉に詰まるところを見るに、反対されたのだろう。
反対というか、話を聞いても貰えなかった可能性すらある。

「でも、生徒が攫われることに比べれば……!」
「お前が魔法をぶっ放した周りの家屋の壁が倒れて一般市民が下敷きになってもいいと。大層なご身分だな?」

何をキリトはそんなに焦っているのだろうか。

「勝手について行った場合には手に負えないとして諸国連合に送り返すからそのつもりでやるんだな。もちろん、ミクとは別だ。当然だろ? ミクは何も悪いことしてないし、お前が暴走した結果だ。結果を出せば、って話でもないからな?」

何をしでかすかわかったものではないので念入りに釘をさす。

「ほら、後ろが詰まってるんだ。戻れ」
「……失礼します……」

バタン!

「ちょっと厳しくないですか?」
「なんだ? 諸国連合出身としての意見か?」
「人生の先輩としての意見ですぅー。あそこまで言う必要ありました?」
「あれくらい言っててもやる奴はやるんだ。言っておいて、損はない」
「それって経験談だったりします?」
「……」

図星であった。
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