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教師1年目
夏の終わり
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「では、来学期も配置はそのままという事で異論はありませんね?」
夏休みも終わろうかという頃。
教職員が集まっての職員会議が行われていた。
適切ではないと思われた先生は周りの先生から交代を打診されることもあるのだが、今回のライヤは見逃されたらしい。
ライヤは反対意見の一つや二つ出るだろうと思っていたので拍子抜けというものだ。
「先生方はテスト範囲の差異が前学期で見られましたので、そのあたりのすり合わせの方はお願いいたします」
これは学園長からのライヤへの指示だ。
ライヤ本人は間違っていないと思っているとはいえ、学園において各クラスでテスト範囲が異なるというのはかなりの問題である。
前はぎりぎりで間に合わせたのだ。
「では、今日はお開きにしましょうか。あぁ、ライヤ先生は残ってください」
「……?」
各先生が荷物をまとめて出ていく中、ライヤは一人残るように指示された。
「なんでしょう、学園長」
「そう大したことじゃないわ。S級に転入生を迎えるかもしれないから、その報告だけしておこうかと思ったの」
「大したことじゃないですか?」
S級への転入など少なくともライヤは聞いたことがない。
才能と努力がある程度伴っていなければ入学すら難しいS級。
転入ともなればよりハードルは上がっているだろう。
その生徒は少なくともそのハードルを乗り越えられるほどだということだ。
「A級とかではないんですか?」
「私の見立てでは、まず間違いなくS級ね。詳しいことは決定してからまた伝えるわ。あなたにとってもいい話じゃない? 二人組を作りにくいって話じゃなかったかしら」
「確かにそんな話はしましたけど。こんな形で解決されるとは思ってないですよ」
ライヤの方針として、学んだことを他人に自分の言葉で説明できるようになったらその分野に関しては大丈夫だという考え方をしている。
クラス内でペアを組ませて互いに説明をさせ、違うと思った部分をすり合わせることによって知識の定着を図っているのだが、クラスの人数が7人のためどうしても1人余ってしまう。
相手にライヤがなったり、3人組になったりなど色々試してはいるが、やはり先生とでない方がいいし、時間がかかったりもする。
8人になるのは正直ありがたい。
「まだ決まっていないというのが気になりますけど、決定次第教えてくれるんですよね?」
「もちろんよ」
「じゃあ、まだ俺から聞くことは無いですね。情報共有はお願いしますよ」
まだただの転入生という事に疑いを持っていないライヤを見送りながら学園長は苦笑する。
「学園創立初めての事よ。ただの転入生のわけがないでしょう?」
「……先生!」
「おぉ! 25メートル泳げるようになったか!」
夏休み最後のプール授業。
練習の成果もあってシャロンが25メートルを泳ぎ切れるようになった。
どうもシャロンはクロールやバタフライなどの体力を消費する泳法は苦手なようで、平泳ぎと背泳ぎが得意なようだ。
最初は背泳ぎが簡単そうだから背泳ぎにさせようと思ったのだが、既に相当な質量を持っている胸部が水上にぷかぷかと浮かんでゲイルの視線を奪っていた。
もちろん、その質量のおかげで浮きやすかったのだろうが、余計な心配を増やさないためにライヤは平泳ぎをメインにすることを選択した。
ライヤとしては自らが視線を向けてしまっている立場で言うのもなんだが、少しシャロンは自分の胸をコンプレックスに感じているようだ。
元々人見知りが激しい質なので、気遣ってあげたいというのがライヤの考えだった。
「……先生。ありがとう」
しかし、感謝の気持ちを込めて抱き着いてくるシャロンの感触を意識せずにはいられない。
「(落ち着け俺……。教師としての矜持を忘れるな……!)」
必死である。
夏休みも終わろうかという頃。
教職員が集まっての職員会議が行われていた。
適切ではないと思われた先生は周りの先生から交代を打診されることもあるのだが、今回のライヤは見逃されたらしい。
ライヤは反対意見の一つや二つ出るだろうと思っていたので拍子抜けというものだ。
「先生方はテスト範囲の差異が前学期で見られましたので、そのあたりのすり合わせの方はお願いいたします」
これは学園長からのライヤへの指示だ。
ライヤ本人は間違っていないと思っているとはいえ、学園において各クラスでテスト範囲が異なるというのはかなりの問題である。
前はぎりぎりで間に合わせたのだ。
「では、今日はお開きにしましょうか。あぁ、ライヤ先生は残ってください」
「……?」
各先生が荷物をまとめて出ていく中、ライヤは一人残るように指示された。
「なんでしょう、学園長」
「そう大したことじゃないわ。S級に転入生を迎えるかもしれないから、その報告だけしておこうかと思ったの」
「大したことじゃないですか?」
S級への転入など少なくともライヤは聞いたことがない。
才能と努力がある程度伴っていなければ入学すら難しいS級。
転入ともなればよりハードルは上がっているだろう。
その生徒は少なくともそのハードルを乗り越えられるほどだということだ。
「A級とかではないんですか?」
「私の見立てでは、まず間違いなくS級ね。詳しいことは決定してからまた伝えるわ。あなたにとってもいい話じゃない? 二人組を作りにくいって話じゃなかったかしら」
「確かにそんな話はしましたけど。こんな形で解決されるとは思ってないですよ」
ライヤの方針として、学んだことを他人に自分の言葉で説明できるようになったらその分野に関しては大丈夫だという考え方をしている。
クラス内でペアを組ませて互いに説明をさせ、違うと思った部分をすり合わせることによって知識の定着を図っているのだが、クラスの人数が7人のためどうしても1人余ってしまう。
相手にライヤがなったり、3人組になったりなど色々試してはいるが、やはり先生とでない方がいいし、時間がかかったりもする。
8人になるのは正直ありがたい。
「まだ決まっていないというのが気になりますけど、決定次第教えてくれるんですよね?」
「もちろんよ」
「じゃあ、まだ俺から聞くことは無いですね。情報共有はお願いしますよ」
まだただの転入生という事に疑いを持っていないライヤを見送りながら学園長は苦笑する。
「学園創立初めての事よ。ただの転入生のわけがないでしょう?」
「……先生!」
「おぉ! 25メートル泳げるようになったか!」
夏休み最後のプール授業。
練習の成果もあってシャロンが25メートルを泳ぎ切れるようになった。
どうもシャロンはクロールやバタフライなどの体力を消費する泳法は苦手なようで、平泳ぎと背泳ぎが得意なようだ。
最初は背泳ぎが簡単そうだから背泳ぎにさせようと思ったのだが、既に相当な質量を持っている胸部が水上にぷかぷかと浮かんでゲイルの視線を奪っていた。
もちろん、その質量のおかげで浮きやすかったのだろうが、余計な心配を増やさないためにライヤは平泳ぎをメインにすることを選択した。
ライヤとしては自らが視線を向けてしまっている立場で言うのもなんだが、少しシャロンは自分の胸をコンプレックスに感じているようだ。
元々人見知りが激しい質なので、気遣ってあげたいというのがライヤの考えだった。
「……先生。ありがとう」
しかし、感謝の気持ちを込めて抱き着いてくるシャロンの感触を意識せずにはいられない。
「(落ち着け俺……。教師としての矜持を忘れるな……!)」
必死である。
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