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教師1年目
とんぼ返り
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「と、いうわけです」
ライヤは王城にてここ数日の出来事を報告していた。
数日と言っても、隣にいるヨルのことがメインではあるが。
とにかく王様の意見を聞かなければと2人だけで送り出されたのだ。
なぜなら、空中飛行の速さにおいてはアンすらも凌駕するから。
ヨルを抱えて王都まで戻り現状報告をしろとアンに言われ渋々引き返したライヤだが、途中あまりの速さにヨルが吐きかけ、めちゃくちゃ焦っていた。
「ふむ、ヨル殿」
「はい」
「大きくなったな」
「陛下に置かれましては、ご健在のようでなによりです」
ヨルも辺境とはいえ、領主の娘。
顔を合わせたくらいはあるのか。
他国の王と顔を合わせるのはどういった場なんだという疑問はあるが。
「あやつがヨル殿を逃がすほどとなると、諸国連合もかなり追い詰められているようじゃな」
「おっしゃる通りです。父は、自分が逃げては民に示しがつかないといい、残りました。陛下への言伝を預かっております」
「よい、申せ」
「『また共に酒を飲めず、すまん。娘を託すのにどこがいいかと悩んだ結果、どうなろうともお前のところが一番だと思ってな。ややこしくなっちまうだろうが、助けてやってくれ。親友のよしみだ。見た目は小さいが、能力は高い。お前の息子に嫁いでも文句は言われないだろう。最後に。誕生日おめでとう』」
「……」
「こちらを預かっております」
そう言って数少ない荷物からヨルが取り出したのは見ただけでいいものとわかる酒であった。
言伝から察するに、国王とヨルの父親は親友だったのだろう。
そして、国王の誕生日に一緒に呑もうと取っておいた酒をそのままにするのは忍びなく、ヨルに預けたというところか。
「相変わらず、変なところだけ律儀だな……」
目頭を押さえ、少しだけ物思いにふける王様。
しかし、顔を上げた時にはもう王様の顔に戻っていた。
「ライヤよ」
「はい」
「今から救助に行ってまだ生きていると思うか?」
「……現実的な話をします」
「あぁ」
ライヤと王様がヨルの父親を助ける話をしているのを見て、ヨルは目を白黒させる。
「現状では、生きている可能性が高いかと思われます。領地における求心力は高そうですし、兵の登用に領主は欠かせませんから。ヨルの亡命がバレていなければ通常通りという事もあり得ますが、流石にそれはないでしょう。最悪、もう処理されているかと思われますが、俺はそうは思いません」
「根拠は?」
「ヨルにつながる唯一のつながりだからです。ここでヨルの父親を殺してしまえばいよいよヨルが諸国連合に戻ることはなくなります。よって、拘留されている可能性が一番高いかと。ただ、助けられるかとなると話は変わるかもしれません」
「あ、あの……」
「ヨルの父親を助けようとしているのがバレたら交換材料に使われるかもしれません。割り切っていても相手を目の前にすれば揺らいでしまうのが人間というものですから、主軸はやはり防衛において、別動隊でどうにか、という感じでは?」
「そうじゃな……。いかに親友と言えど、国と天秤にかければどちらが重要かはわかりきっておる。少なくとも、今は処刑されることはないんじゃな?」
「その方の性格にもよりますが。馬鹿正直にヨルを逃がしたこととかを話していれば殺されるかもしれません」
「そこは心配せんでいいじゃろう。生き汚いことで有名じゃからな」
「助けていただけるのですか……」
ヨルは床に女の子座りをして涙ぐんでいた。
「ヨル殿。すまんが、父上を最優先というわけにはいかん。こちらにもやることがあるのでな。じゃが、協力を約束してくれるならできる限りのことはしよう」
「もちろんです! どうか父を……」
とりあえず、ヨルは王城へ預けられることとなった。
ライヤは王城にてここ数日の出来事を報告していた。
数日と言っても、隣にいるヨルのことがメインではあるが。
とにかく王様の意見を聞かなければと2人だけで送り出されたのだ。
なぜなら、空中飛行の速さにおいてはアンすらも凌駕するから。
ヨルを抱えて王都まで戻り現状報告をしろとアンに言われ渋々引き返したライヤだが、途中あまりの速さにヨルが吐きかけ、めちゃくちゃ焦っていた。
「ふむ、ヨル殿」
「はい」
「大きくなったな」
「陛下に置かれましては、ご健在のようでなによりです」
ヨルも辺境とはいえ、領主の娘。
顔を合わせたくらいはあるのか。
他国の王と顔を合わせるのはどういった場なんだという疑問はあるが。
「あやつがヨル殿を逃がすほどとなると、諸国連合もかなり追い詰められているようじゃな」
「おっしゃる通りです。父は、自分が逃げては民に示しがつかないといい、残りました。陛下への言伝を預かっております」
「よい、申せ」
「『また共に酒を飲めず、すまん。娘を託すのにどこがいいかと悩んだ結果、どうなろうともお前のところが一番だと思ってな。ややこしくなっちまうだろうが、助けてやってくれ。親友のよしみだ。見た目は小さいが、能力は高い。お前の息子に嫁いでも文句は言われないだろう。最後に。誕生日おめでとう』」
「……」
「こちらを預かっております」
そう言って数少ない荷物からヨルが取り出したのは見ただけでいいものとわかる酒であった。
言伝から察するに、国王とヨルの父親は親友だったのだろう。
そして、国王の誕生日に一緒に呑もうと取っておいた酒をそのままにするのは忍びなく、ヨルに預けたというところか。
「相変わらず、変なところだけ律儀だな……」
目頭を押さえ、少しだけ物思いにふける王様。
しかし、顔を上げた時にはもう王様の顔に戻っていた。
「ライヤよ」
「はい」
「今から救助に行ってまだ生きていると思うか?」
「……現実的な話をします」
「あぁ」
ライヤと王様がヨルの父親を助ける話をしているのを見て、ヨルは目を白黒させる。
「現状では、生きている可能性が高いかと思われます。領地における求心力は高そうですし、兵の登用に領主は欠かせませんから。ヨルの亡命がバレていなければ通常通りという事もあり得ますが、流石にそれはないでしょう。最悪、もう処理されているかと思われますが、俺はそうは思いません」
「根拠は?」
「ヨルにつながる唯一のつながりだからです。ここでヨルの父親を殺してしまえばいよいよヨルが諸国連合に戻ることはなくなります。よって、拘留されている可能性が一番高いかと。ただ、助けられるかとなると話は変わるかもしれません」
「あ、あの……」
「ヨルの父親を助けようとしているのがバレたら交換材料に使われるかもしれません。割り切っていても相手を目の前にすれば揺らいでしまうのが人間というものですから、主軸はやはり防衛において、別動隊でどうにか、という感じでは?」
「そうじゃな……。いかに親友と言えど、国と天秤にかければどちらが重要かはわかりきっておる。少なくとも、今は処刑されることはないんじゃな?」
「その方の性格にもよりますが。馬鹿正直にヨルを逃がしたこととかを話していれば殺されるかもしれません」
「そこは心配せんでいいじゃろう。生き汚いことで有名じゃからな」
「助けていただけるのですか……」
ヨルは床に女の子座りをして涙ぐんでいた。
「ヨル殿。すまんが、父上を最優先というわけにはいかん。こちらにもやることがあるのでな。じゃが、協力を約束してくれるならできる限りのことはしよう」
「もちろんです! どうか父を……」
とりあえず、ヨルは王城へ預けられることとなった。
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